並行して幾つかのワークショップに参加したことが今に活きている
――ここからはキャリアについてお伺いします。昔から芸能活動に興味はあったんですか?
小西 最初に興味を持ったのは18歳のときです。大学に入ってから交友関係が広がって、周りに芸能関係のお仕事をしている友人が増えたんです。そのご縁でモデルのお仕事などをやらせていただいていました。お芝居に関しては、大学の実習で先輩方と自主映画を作ることになって、役者として参加することになったんです。その作品が小さな劇場でかかったのもあって、すごく楽しかったですし、身近な映画好きが映画作りに没頭している姿に刺激を受けました。それをきっかけに、もともと映画を観るのが好きだったのもあって、自分も参加してみたいという思いが強くなっていきました。
――なぜ制作側ではなく、お芝居に興味が湧いたのでしょうか。
小西 私が好きなお芝居は上手い下手よりも、その人のエネルギーや光るものがスクリーンに現れている瞬間で。そんなことが自分にもできる可能性があるなら一度挑戦してみて、お芝居の世界に入ってみたいと思いました。
――早い段階で『ファンシー』(20)、『初恋』(20)と連続で映画のヒロインが決まりましたが、どのタイミングで本格的に俳優をやっていこうと決意しましたか。
小西 これといったタイミングはなくて、自主映画の出演を重ねていったり、メディアに出たり。どの活動もお芝居をしたいからやっていたことで、いろんな人に知ってもらうためにSNSで発信もしていましたし、最初からお芝居一本でやりたいなと思っていました。
――発信するのは難しくなかったですか?
小西 大学の友達は、自分から発信をする行動力のある子が多かったので、それに触発されながらやっていました。
――大学では映画史も学んでいたそうですが、それが今の活動に活きている部分もありますか。
小西 お芝居をしていると、どうしても新しい邦画を観ることが多いんですが、映画史を学ぶことで、過去の作品にも興味が湧いて。洋画・邦画問わず昔の映画も観ることで、視野を広げることができました。
――俳優としてターニングポイントになった作品は何でしょうか。
小西 いろいろあるんですが、お芝居の面で大きく変わったなと思うのは、2020年に前田旺志郎さんとダブル主演を務めさせていただいたドラマ「猫」(テレビ東京)です。それまでの私は、お芝居が拙かったんですが、雰囲気でオファーしていただくことが多くて、それも込みでいいねと言ってもらっていたんです。それが「猫」を通して、お芝居の技術を積極的に学ぶことで、役に自分を寄せていく作業ができるようになったんですよね。実際に「猫」を観て、こういうお芝居ができるんだと知っていただき、オファーしてくださる方もいらっしゃいます。
――現場以外でお芝居を勉強する機会もあったんですか。
小西 いろんな方に紹介していただいて、並行して幾つかのワークショップに参加しました。一時期は週に1回は欠かさず何かのワークショップに通っていたんですが、良い人たちに恵まれたおかげで、今の自分のお芝居を作ることができました。
――どうして複数のワークショップに同時進行で参加したのでしょうか。
小西 監督によって演出も変わるので、自分のやり方はこうだと固執せずに、いろんなパターンを学びたかったんです。それが今の活動にも活きています。
Information
『ありきたりな言葉じゃなくて』
新宿シネマカリテ、シネ・リーブル池袋ほか全国公開中
出演:前原滉
小西桜子 内田慈 奥野瑛太 那須佐代子 小川菜摘 山下容莉枝 酒向芳
池田良 八木光太郎 沖田裕樹 敦士 鈴政ゲン 加藤菜津 佐々木史帆 高木ひとみ◯ 谷山知宏 今泉マヤ 根岸拓哉
チャンス大城 土屋佑壱 浅野雅博 外波山文明 玉袋筋太郎
脚本・監督:渡邉崇
原案・脚本:栗田智也
製作・エグゼクティブプロデューサー:若林邦彦 企画:陣代適 統括プロデューサー:阪本明 粟井誠司 安田真一郎
プロデューサー:丸山佳夫 キャスティングプロデューサー:山口良子 脚本協力:三宅隆太
©2024 テレビ朝日映像
32歳の藤田拓也(前原滉)は中華料理店を営む両親と暮らしながら、テレビの構成作家として働いている。念願のドラマ脚本家への道を探るなか、売れっ子脚本家・伊東京子(内田慈)の後押しを受け、ついにデビューが決定する。夢を掴み、浮かれた気持ちでキャバクラを訪れた拓也は、そこで出会った“りえ”(小西桜子)と意気投合。ある晩、りえと遊んで泥酔した拓也が、翌朝目を覚ますと、そこはホテルのベッドの上。記憶がない拓也は、りえの姿が見当たらないことに焦って何度も連絡を取ろうとするが、なぜか繋がらない。数日後、ようやくりえからメッセージが届き、待ち合わせ場所へと向かう。するとそこには、りえの”彼氏”だという男・猪山衛いのやままもる(奥野瑛太)が待っていた。強引にりえを襲ったという疑いをかけられ、高額の示談金を要求された拓也は困惑するが、脚本家デビューを控えてスキャンダルを恐れるあまり、要求を受け入れてしまう。やがて、事態はテレビ局にも発覚し、拓也は脚本の担当から外されてしまう。京子や家族からの信頼も失い、絶望する拓也の前に、りえが再び姿を現す。果たして、あの夜の真相は?そして、りえが心に隠し持っていた本当の気持ちとは……?
小西桜子
1998年3月29日生まれ。埼玉県出身。応募総数約3,000人の中から映画『初恋』(20)のヒロインに抜擢され、注目を集める。そのほか映画『猿楽町で会いましょう』(21)、『はざまに生きる、春』(23)、『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』(23)など多数の映画に出演。『佐々⽊、イン、マイマイン』(20)、『初恋』(20)、『ファンシー』(20)の演技で、第42回ヨコハマ映画祭 最優秀新⼈賞を受賞。近年には、ドラマ「猫」(20/TX)、「スイートモラトリアム」(23/TBS)、「御⼿洗家、炎上する」(23/ Netflix)などにも出演。来年1月11日スタートのドラマ「風のふく島」(テレビ東京系)、1月14日スタートのドラマ「まどか26歳、研修医やってます!」(TBS系)に出演する。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:KOTOMI GOSHIMA,STYLIST:SHUHEI SAKAUE