ジョギング中には過去の曲も聴きながら「高校時代に作った曲」は自分の第一歩に
――最新アルバム「HAPPY」をひっさげて、2025年2〜6月にはツアー「高橋優 LIVE TOUR 2025『ARE YOU HAPPY?』」も行脚します。
高橋 ライブが想像つかないほど、アルバムでは色々とやってしまったんですよ。タイトルのとおり、幸せについて考えるシーンをステージで作るために、死に物狂いで臨もうと思っています。特に楽しみな曲としては「リアルタイムシンガーソングライター」があって、曲中でテンポ変わるんです。ジャズシンガーの人でしたら対応できそうですけど、僕自身としては初挑戦でしたし、生のステージでどうなるかとワクワクしています。
――ツアー直後、2025年7月にはメジャーデビュー15周年を迎えますね。
高橋 メジャーデビュー翌年には東日本大震災があって、その翌月、2011年4月にメジャー1stアルバム「リアルタイム・シンガーソングライター」をリリースさせてもらったんです。収録した「福笑い」は2011年上半期の「ラジオエアプレイチャート」で1位を獲得し、うれしかったのですが、その反面、震災の直後ということもあり多くの事を考えさせられました。災害も戦争も起こってほしくないと思っているし、メジャーデビュー曲「素晴らしき日常」から様々な巡り合わせがあって歩んできた15年間を経ても変わらず、歌わせていただいている感謝を忘れたくないです。
――今でも、過去の曲を聴く機会もあるんでしょうか?
高橋 曲づくり中に、似た曲を作らないためにとして聴くときはありますね。でも、それだけではなくて。日課のジョギング中、同じコースを走るマンネリを防ぐために、色んな曲を聴くんです。そのときに自分の曲を聴くこともあって、高校時代に作った曲まで、さかのぼったりもするんです。当時、卒業式に向けてクラスの合唱曲を作って、ピアノの伴奏を友だちに任せて、MTR(マルチトラックレコーダー)を持っている友だちに録音してもらい、一発録りで収録したんです。今思えば、ハモリがバラバラだったり、聞いてられないぐらいのクオリティですけど(苦笑)。どのコード進行にするのかと手探りしながら、友だちの家で朝方まで必死に曲を作っていたのを鮮明に覚えているし、ここまで走ってきた第一歩になったなと、今でもしみじみ思います。
――思い出も詰まった高校を卒業後、大学時代からは路上ライブもやっていたそうですね。そこへと至った音楽歴も改めて、伺いたいです。
高橋 地元は秋田県横手市で、山奥で18歳まで育ったんです。中学時代にX JAPANのhideさんに憧れて購入したエレキギターが、初めて手にしたギターでした。でも、音楽雑誌に載っていた通販で安いエレキギターを買ったんですけど、スピーカーやエフェクターを繋がなければいけないのが面倒くさくなって、いったん弾くのをやめてしまったんですよ。その後、高校入学してすぐにアコースティックギターを買って、山の中で毎日のように歌っていて、札幌の大学への進学が決まってからは「街中で歌ったら誰かが立ち止まってくれるかな」と妄想していたんです。入学直前、六畳一間の木造アパートで一人暮らしをはじめてからは、山の中でずっと歌っていたルーティンも染み付いていたし、我慢できなくなってしまって。札幌の狸小路で路上ライブをやっていた人たちをマネして、僕も弾きはじめました。