“自分軸”“他人軸”についての曲を作りたかった

――7thデジタルシングル「ヴィンテージカー」のコンセプトを教えてください。

松田今宵(以下、松田) 誰もが少なからず傷ついたり、心に隠したいもの、抱えているものがあると思うのですが、何か抱えながらも前向きに進んでいこう、自分の意思で進んでいこうという気持ちを込めました。

――曲作りはどのような過程で進めましたか?

松田 日々考えていることを曲に反映させていく感じなのですが、この曲を書いている時はちょうど“自分軸”、“他人軸”についてよく考えている頃でした。ラジオを聴いたり、本を読んだりながら、自分なりの解釈で考えた時に、自分軸というのは、「ハンドルを握って進んでいく」みたいなイメージで、他人軸は他人にハンドルを握ってもらって運転してもらう。そんなイメージが膨らんでいきました。

――面白い発想で素敵ですね。

松田 他人にハンドルを握らせて自分が乗っているだけだと、進むのは楽だと思うのですが、例えば、崖に落ちちゃった…という時に、運転していた人は降りられるけれど、自分は降りられないみたいな。それってすごく悲しいことだなと思って。自分でハンドルを握って、自分で運転するような曲を作りたかったんです。

――軸を表現するにあたり、車をモチーフにした理由は何ですか?

松田 元々サビのメロディーがストックとしてあって、当てはまる歌詞をずっと考えていました。ハンドルを握る、舵をとるという意味では、船や他の乗り物でも良かったのですが、タイミングよく知り合いが赤い中古車を買ったんです。それがすごく可愛いくて、素敵だなと思って。お風呂に入っている時に歌詞を考えていたら「ヴィンテージカー」というワードがハマって。そこからヴィンテージカーだったらどういうストーリーにしようかなという空想を膨らませていきました。

――制作で印象に残っていることはどんなことですか。

松田 車=人生という風に考えました。生まれた時は新品の車に乗っていて、そこからたくさん道を走ったり、砂漠や砂利道に遭遇したら、タイヤは擦り切れて、車体もへこんだりして。そこに個性が出て、人生もそれぞれの経験が個性になっていく所が似ているなと。

――車と人生をリンクさせて表現したんですね。

松田 この曲の主人公は「真っ赤なヴィンテージカー」という、真っ赤なことに誇りを持っています。でも元々赤かったのか、それとも旅の途中で赤くなったのかは分からない。とにかく今、真っ赤であることに誇りを持っていて、「この赤イケてるでしょ。カッコいいでしょ」とウィンクしながら走っているイメージです。自分の傷も、短所としてではなくて、自分の個性として前向きにとらえて、ハンドルを持って進んでいこうみたいなメッセージを込めています。

――松田さんにもヴィンテージカーの様な存在はいますか?

松田 ギターです。ちょっと傷ついちゃったりしていますが、それも味だなって。他の方のギターも見たら誰のか分かりますしね。皆さんにもきっとそんなものがあると思うので、思い浮かべてもらえたらさらに嬉しいです。