安井謙太郎さんとはプライベートでも親交があって感情移入しやすかった

――菅野監督は今回の映画のために、たくさんの曲を書き下ろしています。

平岡 もっと、たくさんの曲を作ったそうです。おそらく城島みたいに全裸で作っているのでは(笑)。

――冒頭から城島が全裸で曲作りするシーンが登場しますが恥ずかしさはなかったですか?

平岡 恥ずかしさよりも、場所が山奥で、夜遅くの撮影だったので、とにかく寒かったです(笑)。

――城島に共感できる部分はありましたか?

平岡 僕自身、DTMをやっているときに煮詰まることがあるので、そこは共感しました。城島のように作曲家で成功されている方は一握りですから重圧もすごいでしょうし、第一線でやっている人たちは自分自身と戦いながら創作活動しているんだろうなというのは演じながらヒリヒリと伝わってきました。

――菅野監督の音楽スタジオに行った感想はいかがでしたか?

平岡 マンションの一室だったんですが、アシスタントの方もいらっしゃるので、二人分の機材が置いてあって。中でも鍵盤が多くて、ピアノ室もありました。DTMerとしては、たくさんのサウンドトラックを手掛けている菅野監督が、何の機材を使っているのか見るだけでも楽しかったです。

――平岡さんも機材にはお金をかけているほうですか。

平岡 僕はコンパクトDTMerを目指しているので、そこまで機材にはこだわっていないです。ただ今年、GENELECのスピーカーを買いました。ちゃんとした音で聴かないと分からないことも多いんですよね。

――けいちゃんさんの印象はいかがでしたか。

平岡 気さくな方で、SNSなどに出せるようにと、映画の撮影とは別に二人で連弾している様子をこっそり撮影しました(笑)。けいちゃんさんのピアノを聴くと、クラッシックからポップスまで何でも弾けて、それでいて個性もあって素晴らしかったです。

――城島の弟子・姫野を演じた安井謙太郎さんはいかがでしたか。

平岡 安井さんとはプライベートでお友達なんです。今や事務所の社長ですが、かわいらしいところもありつつ、妖艶さや独特の美しさも持ち合わせていて、姫野というミステリアスな役柄に説得力がありました。面識がある分、感情移入もしやすくて。城島と姫野が互いの友情を再確認するシーンでは気持ちが高ぶって、自然と涙が流れてきました。ところが、そのシーンを菅野監督は引きで撮っていたんです(笑)。良い意味で捉えると、感傷に流されないクールな撮影だったと思います。

――最後に『REQUIEM〜ある作曲家の物語〜』の見どころをお聞かせください。

平岡 菅野監督の狙い通り、今までに観たことのない不思議な映画で、色彩も美しい、映画館で体感できるアート作品に仕上がっています。美術館に足を運ぶような気持ちで映画館に足を運んでいただけたらうれしいです。

Information

『REQUIEM〜ある作曲家の物語〜』
新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかより全国ロードショー中

平岡祐太
桜井玲香 安井謙太郎 けいちゃん
関川ゆか 上地由真 藤田多梨亜 西尾聖玄
加藤雅也

監督・音楽:菅野祐悟
脚本:宇咲 海里
Ⓒ2024「REQUIEM」製作委員

『天賦の才』が故に翻弄される作曲家、城島匠(平岡祐太)。傍目には「売れっ子作曲家」として、順風満帆に見える城島だが、今は亡き親友、神野慎吾(けいちゃん)と交わされた『約束』を果たすために、人知れず苦悩しながら作曲を続けている。たまたま取材を通して知り合った向井紗枝(桜井玲香)は天真爛漫な性格で、真っ直ぐに城島に向き合い想いを寄せていく。弟子の姫野(安井謙太郎)も二人の関係に巻き込まれていく。そんな時、城島の最大支援者、“伯爵”菅原正義(加藤雅也)の周囲に黒い事件が巻き起こる……。心に深い闇を抱え、多くの愛を受けながらも、愛に飢え、愛に苦しみ、葛藤し続ける作曲家がたどり着いた音楽(レクイエム)とは?

公式サイト

平岡祐太

1984年9月1日生まれ 山口県出身。2002年、第15回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを獲得。2005年、映画『スウィングガールズ』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2010年には大河ドラマ「龍馬伝」に陸奥宗光役で初出演を果たし、2016年にはNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」にも出演。「新・浅見光彦シリーズ」(TBS)では4代目・浅見光彦を演じる。近年では「放課後カルテ」(日本テレビ・2024)、「マイ・ワンナイト・ルール」(テレビ東京・2025)、映画『忌怪島』(清水崇監督・2023)、『夏目アラタの結婚』(堤幸彦監督・2024)、舞台ではa new musical『ヴァグラント』(明治座・新歌舞伎座・2023)など話題作に出演。主演映画『REQUIEM〜ある作曲家の物語〜』が公開。

PHOTOGRAPHER:YASUKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE: MIZUHO(Vitamins),STYLIST:石橋修一
衣装協力店
JOSEPH HOMME
KASHIYAMA
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