落ち込んでいる時期に生まれた楽曲「無視」

――4曲目の「無視」も「上出来」とともに先行配信されていました。こちらも生田さんが作詞作曲を手掛けていますが、こちらの曲はどのようなイメージで作られたのですか?

生田 この曲を作っていた時期は、私自身が心を閉ざしたり、言葉にするのを諦めたりしていた時で、外のベンチで夜風に当たりながら作った曲なんです。そんな時でも自分の状態を沈ませるのではなく、少しでも意味のあるものにしたいなと思って、曲にするという行為がその時の自分の何か希望になっていたのかもしれません。だからこそ、自分自身はとても落ち込んでいるのに、頭の中に浮かぶ音楽はこういう明るく弾んだ曲だったんだと思います。

――曲にすることで、ご自身の心が浄化されたような感覚もあったのでしょうか?

生田 ​​そういう時期って鬱屈した気分になりがちだと思うんですけど、どんな曲にしようか?と考えると、それが自分にとっての楽しみになっていって、最初は1人ぼっちだったのが誰かが聴いてくれることをイメージするようになるんですよね。そうすると、イメージ上だったとしても1人じゃないと思えるようになって、それがモチベーションにもなりましたし、そう考えることで自分の気持ちが引き上げられているんだなという感覚はありました。

――「上出来」と「無視」では曲作りのスタイルがまったく違うんだなと感じましたが、日々思いついたフレーズをボイスメモに録音したり、歌詞をメモしたり…そういったこともされるのですか?

生田 私はまだまだ独学で作詞作曲を始めたばかりなので、そんなにスタイルは定まっていないんです。曲を作ろうと思って、ピアノにかじりついてみたこともあるんですけど、何も思い浮かばずにただただ1日が過ぎた…ということもありました(笑)。だいたい曲が生まれる時は、ふわっと言葉とメロディーが一緒に浮かんできて、そこから一気に広げていくことが多いかもしれません。先日、ラジオ番組で竹内まりやさんと対談させていただいた際に、気になったので曲作りについてお聞きしたところ、シャワーを浴びている時など無防備な時、何にも囚われていない時ほど曲が降ってくるというお話がとても印象的でした。私もシャワーを浴びている時にパッと思い浮かぶことがあって、それまでは気にせず流してしまっていたんですけど、最近はもうシャワーから出て慌ててスマホに録音してからまたシャワーに戻る…みたいなこともやっています。「寒っ」とか言いながら(笑)。

――曲作りの貴重なお話をありがとうございます。再び、EPの楽曲解説に戻りますね。2曲目の「アンサンブル・シャングリラ」はsumikaの片岡健太さんによる提供曲、そして、3曲目の「Clap & Clap!」はmeiyoさんによる提供曲ですが、それぞれどのようなオファーをされたのですか?

生田 sumikaさんは、NHKの歌番組『Venue101』に出ていただいた時に、そのパフォーマンスに惹きつけられて、曲をたくさん聴くようになって、ライブも観に行かせていただいて、自分もsumikaさんのように聴いている人を引き込む多幸感のある楽曲を歌いたいと思って、ライブで盛り上がる曲をお願いしたいです!とオファーさせていただきました。実際に、片岡さんは私のライブも観に来てくださって、そこからイメージを広げて曲にしてくださったので、今からライブで披露するのがとても楽しみな1曲です。meiyoさんには、かまいたち濱家隆一さんとのユニット・ハマいくの曲を作っていただいていて、私達にとって大事な曲なので、個人としても是非meiyoさんに曲を作ってもらえたら嬉しいなと思ってお願いしました。meiyoさんの楽曲はキラキラしていて一度聴いたら口ずさめるような曲でありつつも、歌詞を見ると少し影があって、上手くいかないことも含めて輝かせてくれるような感じがとても好きだったので、それがこの楽曲にも盛り込まれているので自分も歌っていて楽しいですし、聴いてくれる皆さんにも一緒に楽しんでもらえたら嬉しいなと思います。

――では、ここから後半戦です。5曲目の「かくれんぼ」は『NHKみんなのうた』になっていましたが、改めてどんな楽曲でしょうか?

生田 作曲の矢吹香那さんは小さいお子さんがいるお母さんで、お子さんがかくれんぼが大好きだというところから曲の構想が始まっています。『NHKみんなのうた』ということもあって、親子はもちろん色々な世代の方に響いて聴いてもらえたらいいなと思ったので、恋愛のドキドキ感みたいな部分にもリンクするといいなと思ってストーリーを考えました。