父の勧めで受けた「ニコラモデルオーディション」でグランプリを受賞して芸能界入り

――共演者について、それぞれの印象を教えてください。

松井 大貫さんは初めて本読みでお会いしたとき品のある方だなと思いました。でも撮影に入ってみたら、意外とおふざけにも乗ってくださったりと違う一面も見られました。つかみどころのない方というか。そういう面では山手そのものでしたね。あと大貫さんは人のことをすごく褒めるんです。スタッフさんの小さな変化にも気づきますし、気配りがナチュラルにできる方で、すごいなと思っていました。私もたくさん褒めていただきました(笑)。

――沢村さんはいかがですか?

松井 初めてお会いしたときは、一つひとつの言葉を選んで丁寧に話しているという印象で、真面目な方という印象でしたね。ところが現場に入ってみると、ご本人も「よく言われる」と仰っていたんですが、変な人でした(笑)。何が変と言われたら難しいんですが、たとえば急に変顔をするとか、そういうことがたくさんあるんです。ちゃんと私も変顔で返したりしましたけどね。

――まきの憧れの先輩・寄島みゆみを演じた吉本実憂さんの印象は?

松井 同い年なんですが、とても人懐っこくて、とにかくかわいいんです。ドラマでは、寄島は年上なのですが、小動物を見ているような感覚で、常にキュンとさせられていました。

――現場の雰囲気の良さが伝わってきます。

松井 現場は和気あいあいとしていました。他のキャストの方々も含めて距離感が近くて、みんなで楽しく喋っていました。

――ここからはキャリアについてお伺いします。松井さんは2009年に「第13回ニコラモデルオーディション」でグランプリを受賞して、この世界に入ります。もともとお芝居に興味はあったんですか。

松井 それが全くなかったんです。「絶対できない!」と言い切っていました。というのも事務所に入りたてのときに演技レッスンに行ったのがトラウマになってしまって。

――トラウマになった理由は?

松井 そもそも人前に出ることすら苦手な人間でしたから、どうして人前でこんなことをしないといけないのかと思ってしまって。

――それなのに、どうしてオーディションを受けようと思ったんですか。

松井 父が「オーディションに受かったら携帯を買ってあげる」と言うから受けたんです。正直、自分の意思はほとんどなかったですね。姉が『nicola』を読んでいたので、一緒に見ることはあったのですが、そもそも芸能界に行きたいという発想もなかったです。

――どうしてお父様はオーディションを勧めたんですかね。

松井 後から聞いたところによると、私の引っ込み思案な性格を変えたかったようです。そのおかげで私もだいぶ変われたので、父には感謝しています。

――お父様は、松井さんの活動について何か言ってくることはあるんですか。

松井 それが「つらかったら帰っておいで」ぐらいで、何も言わないんですよ。私に干渉せず、見守ってくれています。

――オーディションでグランプリを受賞した翌年からアイドルグループ「さくら学院」のメンバーとして活動します。

松井 人前で歌を歌ったこともなく、ダンスも踊ったことがない状態でさくらに入ったので、一人だけ何もできず、みんなについていけなくて悔しい思いをして、家に帰って自主練習していました。昔から負けず嫌いだったので、「負けてたまるか!」という強い精神で頑張っていました。今は歌もダンスもやらないですが、さくらで培ってきたことが今に繋がっていると感じることも多いので、活動してよかったと思います。

――モデル活動のほうはいかがでしたか?

松井 みんながポーズをパシパシ決めていく中で、私だけ「どうやってポーズをとろう……」と悩むところから始まりました。人見知りなので、モデルの子たちとも会話できないほどだったのですが、徐々にみんなと打ち解けられてきてからはモデル活動も楽しくなりました。

――いつ頃から、この世界でやっていこうと決断したのでしょうか。

松井 高校を決めるときですね。中学の2年間は地元から通っていて、進路をどうするか考えたときに、上京することにしたんです。家族や友達は私が上京するなんて思っていなかったと思います。親も「東京に行くんだ!」って驚いていました。だから上京する時点で、ある程度の覚悟はしていたのかなと今振り返ると思います。

――どうしてその覚悟が決まったんですか?

松井 何ででしょうね……そのときの記憶はあんまり覚えてないんですが、負けず嫌い精神だったのかもしれません。