普段から演じるにあたって大事にしているのが、仕事を抜きにしたときの人物像

――ドラマ「東京貧困女子。-貧困なんて他人事だと思ってた-」の脚本を読んだ印象からお聞かせください。

三浦 貧困というものが、これだけ身近にあるものなんだとびっくりしました。なかなか日常では気づけない問題ですが、もしかしたら今まで自分が会ってきた人たちの中にもいたのかもしれないなと。センシティブなテーマなので、見てくれた人に正しく伝わるといいなという気持ちもありました。

――三浦さんが演じる風俗ライターの﨑田祐二は、ぶっきらぼうでクールな印象を抱かせますが、貧困女性の気持ちをよく理解しています。役作りではどんなことを意識しましたか。

三浦 風俗ライターという仕事に関しては、原作の『東京貧困女子。彼女たちはなぜ躓いたのか』も読んで、こういう職業なんだと理解を深めました。ただ、普段から演じるにあたって大事にしているのが、仕事を抜きにしたときの人物像です。そこはとにかく本を読み込んで、喋り方はどうなのか、どういうところで生まれて、どう育ってきたのかなどを、自分の中で想像することにしています。それは今回のドラマでも変わらずやりました。あと監督から、全体的に重いテーマなので、ことさら暗くなりすぎないようにと言われたので、その辺を調整しながらやりました。

――﨑田は取材相手によって、対応に多少の違いがありますよね。

三浦 すごくぶっきらぼうではあるんですけど、本を読んだときに、長く風俗ライターをやっている方のヒントとして、インタビューする相手によって喋り方を変えている人なんだろうなと感じたんです。たとえば大学生だったらフランクに喋るのかなとか、年上の女性だったらちょっとだけ丁寧なのかなとか、相手によって変化させながらお芝居をしました。

――貧困女性を演じる俳優さんたちが醸し出す、日々の生活の疲れみたいなものが、とてもリアルでした。

三浦 皆さんすごかったですよ。インタビューをするシーンは1日で撮ることが多かったんですが、まあセリフが長いわけです。撮影初日に「よろしくお願いします」と現場入りして、すぐにセリフを言わなきゃいけない。僕は全話に出演しているので大丈夫でしたが、いきなりシチュエーションに入るのは大変だろうなと思いつつ、みなさん素晴らしかったです。

――ドラマは経済誌の契約編集者である雁矢摩子と﨑田がタッグを組んで貧困女性に迫っていく、いわゆるバディ物ですが、摩子を演じた趣里さんの印象はいかがでしたか。

三浦 趣里さんとは何度か共演していますので、すごく信頼している役者さんですし、大好きな芝居をされる方なので、今回も何も問題ないだろうと思っていました。そういう信頼関係もありますし、僕が何をやっても受け止めてくれる懐の深い方なので、非常にやりやすかったです。

――何度も共演していると、そこまで事前に話さなくても阿吽の呼吸みたいなものがあるんですか。

三浦 そうですね。話さずとも伝わる部分がありますし、何度も共演しているから、どういうスタンスで芝居をやっている人なのか分かるんですよね。それに、ちょっとした空き時間のときに、「さっきのセリフだけど、もうちょっと早めに言っていい?」と気軽に聞けるんです。役者さんによっては、本番でやったものが全てだから、あまり事前に話をしたくないタイプの方もいます。でも趣里さんはそういうタイプの人じゃないのも分かっているので、そこは大きかったです。

――特に衝撃を受けた貧困女性のエピソードは何でしょうか。

三浦 風俗で医学部の学費を捻出する大学生のエピソードです。大学では部活もやっているのに、実は貧困って周りは気付かないじゃないですか。僕も大学に通っていた頃、そういう人がいたのかもしれないし、当時よりも日本の経済状況は悪化しているから、より問題は深刻化しているのだろうなと。あと趣里さん演じる摩子自身も、家庭の事情で貧困の瀬戸際にいるけど、それに本人には気づいていないというのも、そういうケースがあるんだという気づきになりました。