アフレコ現場でキャラクター同士が「やっと繋がれた」

――現在上映中の『ヤマトよ永遠に REBEL3199「第三章 群青のアステロイド」』は、全七章(全26話)構成の『ヤマトよ永遠に REBEL3199』シリーズ最新作で、1980年に公開された劇場映画第3作『ヤマトよ永遠に』を原作に新解釈を加えて再構成した作品です。オファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか。

上村 『宇宙戦艦ヤマト』の主題歌には馴染みがあったんですが、原作の「宇宙戦艦ヤマト」をちゃんと見たことがなくて。自分がシリーズに関われるとは思っていませんでしたし、自分がヤマトのキャラクターに声を吹き込む機会があるなんて恐れ多いと感じました。でも託されたということは、ヤマトをどっぷり体験していない僕の世代だからこそフレッシュな視点で挑むことが求められているのかなと。思い切りぶつかっていこうという気持ちでご依頼を受けました。

畠中 僕も原作の「宇宙戦艦ヤマト」は序盤しか見ていない状態でオーディションを受けたんですが、そのときに渡されたキャラクター概要を見たら、自分が演じる土門竜介の運命が書いてあったので、それ以上見るのはやめようと思いました。新しく自分なりの解釈で挑みたかったので、あえて見ないようにしたんです。

上村 確かに見てしまうと、原作で演じられていた方々の影響を受けてしまう可能性もあるからね。

畠中 ただ1作目は序盤を見ただけでも凄まじい熱量を感じました。単なる勧善懲悪の物語ではなく、戦いを通して何を大切にしたいのかという思いが描かれていて、その重みがフィルムに乗っかっている。このリメイクシリーズにも、そうした思いはしっかりと引き継がれていると思います。人と人との触れ合い、温もりや愛おしい気持ち、宇宙人と地球人がどう共存していくのか、差別の問題など、芯の部分は変わっていないんじゃないでしょうか。現代的なテーマも加わって複雑化していますが、本質は受け継がれているなと感じます。

――それぞれ演じられているキャラクターについてお聞かせください。

畠中 土門は周りがよく見えなくなるタイプで、自分の思いにまっすぐ邁進してしまう。一度信じたら、信じる気持ちを貫く素直さがあり、艦長の古代 進に対する複雑な思いも、そういうところから抱いていて。特に第三章ではその思いが揺らいで、様々な方向から発破をかけられてストレスにさらされている状況です。演じている僕としても「もっと深呼吸すればいいのに」と思うのですが、深呼吸せずに演じました。とにかくイライラしている状態で大変でした。

上村 第二章の上映イベントでもそういう話をしていたよね。

畠中 第三章でさらにストレスは溜まっています(笑)。艦長との繋がりがシリーズを通して重要なテーマで、艦長から教わったことが多いからこそ、「僕らのヤマトを捨てないで欲しかった」「ちゃんと責任を取ってくれる人だったのに」という思いがある。そこが今後どう進展するのかも大きな見どころです。

――艦長の気持ちも理解できますか?

畠中 僕自身は理解できます。すべてを失った訳ですから。でも土門としては知ったこっちゃないんですよね。「あなたが私たちの道標だったんだから」という気持ちがあり、どちらの立場も理解できるからこそ演じるのが難しかったです。

――上村さん演じる揚羽 武についてはいかがですか?

上村 最初に総監督の福井(晴敏)さんから揚羽についてのお話を聞いたときに、このキャラクターは過去のある出来事が原因で斜に構えてしまう部分があり、その過去は第三章で紐解かれますが、それで土門とギクシャクした関係になってしまったと。それを機に本音を出さない性格になってしまったんです。実力は申し分なく、頼りになる存在ですが、一方で自分のこととなると冷静さを欠く面があります。周りのことはちゃんと見えているのに、芯に迫ったところになると揺らぐ部分があって。カリスマ的な雰囲気もあり、御曹司でもあるので、少し他のクルーとは立場が違う部分もある。でも演じていくうちに、どんどん近しい存在に感じられるようになりました。今回のお話では、やっと土門と分かり合えたのかなという描写もあるので、かわいらしいなと。その変化を自分の中でも楽しみながら演じられました。

――アフレコの現場は一緒だったんですか?

畠中 最初は別々だったのですが、終盤の重要なシーンは一緒に収録することができて良かったですね。

上村 ある意味、アフレコ現場でキャラクター同士が「やっと繋がれた」という感じがしました。第二章まではほとんど一緒に収録していなかったので、まさにキャラクター同様の変化を体験できたと思います。