草彅剛さんは普段の話し方から優しさがにじみ出ている方
――どのシーンも映像のクオリティが素晴らしかったですが、撮影中に技術的な面ですごいなと感じることはありましたか。
豊嶋 いろいろあったのですが、個人的には照明のこだわりがすごいなと感じました。スーパースローで私が歩いているシーンを撮って、それをモニターで見せていただいたときに、私が言うのもおこがましいんですが、照明の当たり方が素晴らしかったんです。自分が映っている映像を見て感動してしまいました。あとカメラマンの一坪悠介さんは、『都会のトム&ソーヤ』(21)という映画でご一緒したことがあって。今回、私は壮絶な役柄だったので、重要なシーンで泣いていらっしゃって。でもレンズを覗いていない目からだけ涙を流されていてプロだなと思いました(笑)。初めて一坪さんにお会いしたのは中学生のときでしたが、私の成長を見せられたのかなと思います。
――Netflix映画の出演は2023年の『ちひろさん』に続いて二度目ですが、改めて他の作品との違いはいかがでしたか。
豊嶋 セットの規模が本当にすごくて、車内を撮るのにも外に全面LEDがあって、車窓の動きがリアルに見えました。
――特撮と実写の境目が全く分からないですよね。
豊嶋 模型も大きなスケールだったので、熱心な特撮ファンの方も満足できるクオリティですし、鉄道が好きな方にも楽しんでいただける作品だと思います。個人的にリアルさの追求がすごいなと思ったのは、車窓から見える新幹線を見に来たやじうまの人たちも本物で、走行中の車両から撮っているんですよね。
――車内が揺れているシーンをセットで撮るときはどうしていたんですか。
豊嶋 実際にセットを揺らすこともありましたし、カメラを揺らすこともありました。感情を爆発させるシーンもあるので、大変なエネルギーを使いました。
――主人公を演じた草彅剛さんの印象はいかがでしたか?
豊嶋 普段の話し方から優しさがにじみ出ている方で、最初は緊張していたんですけど、すぐにほぐれました。草彅さんは現場にギターを持ち込んでいらっしゃったんですが、お借りして弾かせていただく機会がありました。
――過去に共演経験のある方はいらっしゃいましたか?
豊嶋 尾野真千子さんとは『外事警察 その男に騙されるな』(12)という映画でご一緒させていただいて、それ以来の共演だったので、楽しくお話をさせていただきました。
――柚月の通う高校の教員・市川さくらを演じた大後寿々花さんとの掛け合いも素晴らしかったです。
豊嶋 大後さんとは初共演だったんですが、以前から「似てる」と言っていただくことがあって、今回共演できてうれしかったです。一対一のシーンでは、大後さんから「私はこう演じるから自由にしていいよ」といったお声掛けをいただくこともあって助けられました。
――完成した作品を見てどんな印象を受けましたか?
豊嶋 Netflix感満載のオープニングから迫力がすごく最高にかっこ良かったです。そこに自分の名前が出て、「来た!」とテンション爆上がりでした。何度でも楽しめる作品ですし、海外の方が観てもハラハラする内容になっていると思います。