想像が外に膨らむようなライブを作ってみたい

――今後、単独ライブでファッションショーの要素を取り入れたい気持ちはありますか。

Novel Core そうですね。今までも具体的なコンセプトやイメージ、メッセージがあって、それを演出に取り入れることが単独ライブでは多かったんです。例えば「“BRAIN LAND” at K-Arena Yokohama」では、「皆さんを僕の頭の中にご招待します。複雑なカルチャーが混ざっている僕のルーツをそのまま表現して、僕の頭の中でどれくらい小さな爆発が日々起こっていて、それがいかに面白いものかを見せる」という分かりやすいコンセプトがあって。OUTER(※ファンの呼称)のみんなは、事前に僕から説明があってライブを見ているので、すーっと入り込めるものが多かったと思います。ただ今後は、もうちょっと抽象性の高いメッセージやコンセプトも大切だなと思っていて。先ほどお話したみたいに、僕が説明をするんじゃなくて、みんなの中で個々に解釈をして、「こういう解釈だと、このセットリストの意味が分かるな」みたいな想像が外に膨らむようなライブを作ってみたいです。

――過去の単独ライブで、そういう試みをしたことはありますか?

Novel Core 2023年1月21日に開催した「-Untitled-」は抽象性の高いコンセプトで、地球が崩壊して人類がほぼ残っていない首都・東京で改めてライブをして、音楽の必要性を考えてもらうという特殊なコンセプトでライブをやらせてもらったんです。そのときはMCを一切なくして、コンセプトの説明もしないで、曲だけでストーリーを見せるみたいなことをやりました。今だったら、もっとビルドアップしたものができると思うんですよね。そういうショーとしてクオリティの高いものをやりたいなと思いつつ、それをやるんだったら、東京国際フォーラムのように自由度の高いホールで、セットや起用する役者さんまで、ちゃんとアイディアを練ってやりたいですね。今はライブ感を大事にしているので、今すぐではないですが、良きタイミングで作り込んだショーをやりたい気持ちはあります。それに備えて、今のうちからライブを重ねて、たくさんの曲を書いて、球数を増やしていって、音楽を通してパフォーマンスで自分を表現できる幅を広げたいですね。

――良きタイミングとは、どういうときだと考えていますか。

Novel Core 僕は超ライブ人間なので、ストレートに感情が動くものが大好きですし、そういうライブは変わらずやっていきますが、その合間に想像が膨らむコンセプチュアルなものを差し込んでいくみたいなイメージが近いかもしれないですね。去年、僕は「来年ヒップホップアルバムに着手する」と言ったんですが、それを一旦ストップしたんです。

――どうしてですか?

Novel Core 一つのジャンルにフォーカスするのではなくて、自分自身の複雑なルーツだったり、いろいろな音楽性だったり、人間性だったり、ファンとの空気感だったり。そこにもう1回ちゃんと向き合って、メッセージを大事にしてアルバムを1枚作りたいと思ったんです。それで今アルバム制作に動いているんですが、もしかしたらヒップホップアルバムを世に出すタイミングこそが、さっき話したコンセプチュアルなライブを作るのに良きタイミングなのかなと。そのときは曲の流れや演出でお客さんが考えさせられるものをやりたいなと思うし、ポリティカルなメッセージなども差し込めるのがヒップポップの良いところなので、それらを反映させたコンセプチュアルなショーをやりたいです。

過去の連載記事はこちら
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Novel Core

東京都出身、24歳。ラッパー、シンガーソングライター。
SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル “BMSG” に第一弾アーティストとして所属。
高いラップスキルと繊細な歌唱技術を保有する一方で、決してジャンルに縛られることのない特有のスタイル、等身大で発せられる強いメッセージがファンを集め、過去に発表した全てのアルバム作品が各チャートで日本1位を獲得するなど、その名を確かなものにしてきた。
Zeppを中心とした大型のライブハウスを周遊する全国ツアーや、日本武道館での単独公演を完全ソールドアウトで成功させ、2025年には自身初となるアリーナ単独公演を決行。
ライブの総合演出をはじめ、衣装のスタイリングからアートワークのデザイン / ディレクションに至るまで、全てをNovel Core自身が担当している。
また、ミュージシャン / ディレクターとしての存在感を示す一方で、FERRAGAMOやETROなどのトップメゾンのモデルに起用されるなど、ファッション業界からも注目を集めている。
音楽、ファッション、アートワークなど、多種多様なカルチャーへの愛とそれを裏付ける実力で、Z世代を牽引する新世代アーティスト。

PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:RITSU OHSOI,WRITER:TAKAHIRO IGUCHI