子役時代は花開かず“えびちゅう”オーディションにかけて「ダメならもうあきらめよう」
――このインタビュー序盤で、1st写真集撮影のタイミングは「17歳の“一番いい時期”」と語っていました。なぜ、そう思うのか気になりまして。
仲村 お姉さんメンバーから「一番いい、無敵な時期だから」とよく言われるからです(笑)。「華のセブンティーン」とも言いますし、グループの出席番号が「17番」なので「17」の数字にも、思い入れがあるんです。(桜井)えまが16歳の当時に「出席番号16番、16歳の桜井えまです」と自己紹介していたのも「いいな〜」と思っていたし、やっと巡ってきた「私の17歳!」って感じです。
――とはいえ、ひそかに「大人になりたい」という気持ちも?
仲村 あります。お姉さんメンバーを見ていると、憧れるんです。でも、それぞれ違うイメージの大人で、真山(りか)さんと(中山)莉子ちゃんは年相応でしっかりしているし、2人とも「私はもう大人だと思ってる」と言っているんです。彩ちゃん(安本彩花)と(小林)歌穂ちゃんは「中学生のまま大人になった」という印象かな(笑)。4人を見ていると「半々ぐらいの大人になれたら」と思うし、年相応な大人になりたい気持ちも、このままの自分でいたい気持ちもあるから、4人のいいところをもらって、自分も成長していきたいです。
――真山さんと中山さん、安本さんと小林さんにあるイメージの違いは、なんとなく分かります。そうして、お姉さんメンバーに憧れる仲村さんにとっては、人生の転機もあって。芸能界へ入ったのは、10歳だったそうですね。
仲村 はい、小学4年生でした。AKB48さんが好きでよくマネしていたし、地元のお祭りで間近に見ていた橋本環奈さんが一気に注目されて、私も「アイドルをやりたい」と思っていたんです。でも、憧れがあっただけでした。芸能界入りは、お母さんが見つけてくれた(所属事務所の)スターダストプロモーションのオーディションがきっかけだったんです。地元にあるイオンモール福岡で、全員面接のオーディションがあると教えてくれて。じつは当日、寝坊しちゃったんですけど…。なんとか間に合って、受けられました(笑)。
――そこから合格して、えびちゅうへ転入(加入)する15歳までは、どのような活動をしていたんでしょう?
仲村 子役として再現VTRに出演したり、ちょこちょことお仕事をしていました。でも、オーディションを受ける機会の方が多かったですね。ドラマや映画のオーディションをたくさん受けて、お芝居への興味が強くなりました。小学生から中学生にかけては、オーディションのために1人で福岡から東京へ通って泊まるのが日常で、えびちゅうへの転入後、福岡から通うのがそれほど大変でなかったのは、当時の経験があったからだと思います。
――当時「オーディションを受ける機会の方が多かった」ということは、なかなかチャンスをつかめなかった?
仲村 そうなんです。最終審査まで行っても、結局は落ちるのがお決まりのパターンでした。1次審査や2次審査で落ちるなら「もっと演技を頑張ろう」と思えるんですけど、最終審査で何度も落ちてしまうのは「何が足りないのか分かんない」となっていました。
――多感な時期ですし、自分だと想像すると泣いてしまいそうです。数あるオーディションの中で、特に落ち込んだ経験も?
仲村 めっちゃへこんだのがあって、自信があったオーディションで数名しか残らないカメラテストの審査まで行ったのに、落ちてしまったんです。お芝居が上手にできたと思ったけど、監督さんから「僕のこと、嫌いなのかと思った」と言われました。たぶん、余裕がなかったのか、周りの子みたいに「ありがとうございました!」と、元気いっぱいの受け答えができなかったんです。誰かと一緒にお仕事をするには、技術だけではなくて「相手の気持ちくみとる、思いやりも大事なんだ」と学ぶきっかけでした。
――それでもめげず、えびちゅうへの転入でようやく花開いて。チャンスをつかんだえびちゅうのオーディション当時は、どのような心境だったんでしよう。
仲村 絶対に入りたいと思っていたけど、えびちゅうのオーディション当時にはほぼ心が折れていました。当時のマネージャーさんには「これでダメなら事務所をやめて、勉強に専念します」と伝えていたんです。合宿でも「ここでダメならもうあきらめよう」と思いながら、挑んでいました。
――悔しさを噛み締めた10歳からの約5年を経て、えびちゅうへの転入後は日常も様変わりしたと思います。
仲村 福岡から上京して、友だちもいない環境で「大都会の生活になじむ」ところからのスタートでした。子役時代は大勢のうちの1人として勝ち抜く世界でしたしけど、えびちゅうはグループとしての活動になるので、一緒に高め合う仲間と出会えたのも大きな変化だったんです。部活もやっていなかったので、周りと「協力する」感覚も分かっていなかったし、チームワークや団結力の大切さを学びました。
――えびちゅうへの転入で、自分が「強くなった」とも感じますか?
仲村 はい。メンタルは確実に強くなったし「努力する力」も付きました。転入した時点でグループは完成されていたし、歌もダンスも初心者の私がポンッと入るのは怖かったんです。
でも、メンバーになったからには「ちゃんとできるようにやらなきゃ」と思って、何事も「できるまでやる」「苦手なことでも努力する」という姿勢は、転入後に意識するようになりました。子役時代はダンスが苦手で、当時のマネージャーさんに「ダンスレッスンは入れないでおくね」と言われるほど、逃げていたんです。でも、自分を変えるきっかけになったえびちゅうに入れて、本当よかったと思います。