今を見て、今を生きることにフォーカスしていきたい
――ここからはキャリアについてお伺いします。俳優を志したきっかけを教えてください。
永田 高校時代、エネルギーがあり余り過ぎて、いい大学に行こうと思って勉強を頑張ったんですよ。特に何の野望もなく、それで未来は明るくなると信じていたんです。無事に希望大学に入れたんですが、自分のやりたいことも分かってなくて。パソコンが好きだったので一応システムエンジニアになる学科で勉強をしていたんですが、いざ大学に通ってみると、自分的には本当に面白くなかったんです。
そんなときに地元・熊本でしか流通していない雑誌の編集の方と、たまたま知り合う機会があって。そこでモデルをやらせていただいて、いきなり表紙を飾ったんですが、撮影も楽しかったですし、自分が雑誌の表紙になっていることが本当にうれしかったんです。

――もともと人前に出るのは得意なほうだったんですか?
永田 小さい頃から目立ちたがり屋で、みんなの前で歌ったり、バンドを組んだりしていました。それで最初は地元でモデル活動をしていたんですが、その編集の方に「俳優でもやってみたら」と言われて、鵜吞みにしたんです(笑)。それで人前に出る仕事がしたいということで東京に出てきて、俳優の養成所に入りました。
――大学はどうされたんですか。
永田 親が心配するので一応休学にはしたんですが、心の中では辞めると思っていましたし、結果的に大学3年生で中退しました。親からは猛反対されましたが、意志は曲げなかったです。今でも「帰ってきなさい」と言われるんですけどね(笑)。でも僕の出演する舞台があるときは必ず東京に来てくれるし、イベントも来てくれるし、それが一つの趣味になっているみたいでうれしいですね。
――上京するにあたって、何かツテはあったんですか。
永田 全くなかったです。いろんなオーディションを受けたんですが、田舎の茶坊主みたいな奴だから、なかなか引っかからず。そんな中で養成所に合格しました。正直、それまでは俳優という職業があることも、ちゃんと理解していなかったし、こんなに東京で演劇が行われていることも知らなかったんです。養成所に入って、みんなで自主舞台をやっていく中で、俳優の世界を知って、東京ワンピースタワーのオーディションに受かって、本格的な活動が始まりました。

——俳優としての理想像はどのようなものでしょうか。
永田 共演した方々や監督を始めとしたスタッフさんに、「彼がいると助かるよね」と思ってもらえるような俳優になりたいなと。二十代の頃は一心不乱にやってきたんですけど、余裕がなさ過ぎて、視野が狭かったんです。僕は三十代を「第2章」と呼んでいるんですが、もっと視野を広げて、自分だけじゃなくて誰かのために何かできることがないかと考えられるようになっていきたいという目標があります。まだまだ未熟ですけどね。
——自分に対して厳しすぎる面もあるのでしょうか?
永田 理想が高過ぎるんですよね。そのせいで自分自身を苦しめていた瞬間もたくさんあって、常に「全然駄目だ」という気持ちでやってきたので、ちょっと後悔している部分もあります。だから第2章は背伸びをするのではなく、今を見て、今を生きることにフォーカスしていきたいですね。
Information
(インフォメーション)
『W3 ワンダースリー』
[東京公演]
劇場:THEATER MILANO-Za
公演日程:2025年6月7日(土)~6月29日(日)
[兵庫公演]
劇場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
公演日程:2025年7月4日(金)~7月6日(日)
井上瑞稀 平間壮一/永田崇人 松田るか 相葉裕樹
彩吹真央 中村まこと/成河 ほか
原作:手塚治虫 「W3(ワンダースリー)」
脚本・作詞:福田響志
演出・上演台本・作詞:ウォーリー木下
音楽監督・作曲・作詞:和田俊輔
主催:[東京] フジテレビジョン、ミックスゾーン、キューブ、シーエイティプロデュース
[兵庫] 兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
制作協力:手塚プロダクション
製作:フジテレビジョン、ミックスゾーン、キューブ、シーエイティプロデュース
企画:シーエイティプロデュース
日本の田舎にある小川村に住む星真一は漫画を描くことが好きな少年だった。宇宙にある銀河系のすぐれた生物の集まりである銀河連盟では、地球の存続について激しい口論が繰り広げられていた。多数決は同数で決着がつかず、銀河連盟は調査員を派遣して地球の様子を探らせることにした。W3(ワンダースリー)と呼ばれる銀河パトロールのボッコ、プッコ、ノッコの三人は、地球人に怪しまれないように、それぞれウサギ、カモ、馬の姿に変身し、小川村に潜入し調査を開始する。そこで彼らは真一と出会い、行動をともにすることになる。一方、真一の兄、光一は家族にも身分を隠し秘密諜報機関フェニックスの一員として、兵器の開発拠点となっているエーグニ領のユダ島へ潜入していた。そこで待ち受けていたのはエーグニ警備隊のランプだった。
公式サイト:https://w3-stage.com/
公式X:https://x.com/w3_stage
永田崇人
1993年8月27日生まれ 福岡県出身。ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー‼』シリーズで人気キャラクター音駒高校・狐爪研磨役として出演し、その演技が注目され人気・実力ともに急上昇。2024年にABEMA SPECIALチャンネルで配信されたリアリティーショー『私たち結婚しました5』への出演で話題を集めた。近年の主な出演作に、【舞台】『眠くなっちゃった』『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』『バンズ・ヴィジット』(23) リーディング音楽劇『ジャングル大帝』(25)、【映画】『向田理髪店』(22)、『徒桜』(21)、【ドラマ】『30歳目前、人生設計狂いました』(BUMP/FOD・24)、『君とゆきて咲く~新選組青春録~』(EX・24)、『無能の鷹』(EX・24)など。
PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:TACACO MOTEYAMA,STYLIST:DAISUKE MORIMUNE
