10周年を経て、新たな旅立ちとなるニューアルバムが完成

――STREAMには2023年8月以来、二度目のご登場です。前回は10周年イヤーのタイミングということで、デビューからの10年を振り返っていただきましたが、今回はニューアルバムのお話を中心に色々聞かせてください。オールタイムシングルベストや10周年ライブツアーのファイナル公演のライブアルバムのリリースはありましたが、オリジナルフルアルバムとしては約2年半ぶりのリリースなんですね。今回はどんな作品になりましたか?

大原櫻子(以下、大原) 私自身にとってチャレンジングな曲があったり、ロックや牧歌的な曲、壮大なバラードがあったりもして、このアルバムの中を旅しながらレコーディングしていたという感覚がありました。聴いている方にも1枚のアルバムを通して楽しい旅だったと思ってもらえたら嬉しいなと思って、『Traveling』というタイトルにしました。

――アルバム制作の初期の段階から、「旅」というテーマは決まっていたのでしょうか?

大原 10周年を経て、新たな旅立ちという意味合いもあって「旅」というキーワードはずっとあったんですけれども、『Traveling』というタイトルは、全曲収録した後に付けました。先ほども言ったようにチャレンジングな曲も多かったので、「チャレンジ」や「挑戦」といったワードがタイトルに入っていてもいいんじゃないかなと思ったんですけど、とても強い印象になってしまうなと思いまして…。もっと楽しさや可愛らしさ、ユニークさもあるようなタイトルにしたいと考えた時に、『Travel』ではなく『Traveling』という音の響きが今回の楽曲達に合っているんじゃないかなと思ったんです。間もなく始まる全国ツアー『Trip To rakko Traveler』で初披露することになる新曲も多いので、ぴったりだったなと感じています。

――タイトルが最後に付いたという話は少し意外でした。12曲を通してストーリーが感じられるような印象も受けましたが、曲順にもかなり拘りましたか?

大原 そうですね。この曲はここで歌うしかない!という感じで、この順番しか考えられませんでした。1曲目は「ベイビートラベラー」という“さぁ旅に出るよ!”といった感じの元気な曲で始まり、12曲目の「⾵の冒険者」で旅はいったん終わるんですけど、また新たな始まりを匂わすような楽曲にもなっています。特に、1曲目と12曲目はこれしかないよね!とみんなで話し合って決めました。本当にループしてアルバムを何度も聴いていただけたら嬉しいです。

――では、ここからダイジェスト的にはなりますが、収録曲について紹介していきます。まずは1曲目の「ベイビートラベラー」、作詞・作曲・編曲は伊藤⽴さん。今回、伊藤さんの楽曲が2曲収録されていますが、「ベイビートラベラー」については、最初どのような印象を受けましたか?

大原 この軽快なメロディーがとても好きなんですけど、最初は結構ネガティブな女の子の曲だったんですよね。私はそれだとこのメロディーがもったいないかなと思って、主人公の思考をガラッと変えて作っていただいたんです。そこは拘った点です。新しい何かを探す旅というのは、まさに今の私のテーマですし、皆さんにとっても人生のテーマだと思うので、そんなメッセージをユニークでポップな曲に乗せて歌えたのは本当に嬉しいことだなと思っています。

――今回は既発曲も含め、色々なアーティストからの提供曲がたくさん収録されていますが、2曲目の「Speechless Love」の作詞・作曲はさかいゆうさんです。この曲はいかがでしたか?

大原 これが最もチャレンジングだった曲です。何とも言えないようなアンニュイな感じやさかいゆうさんにしか漂わせられない空気感があって素敵な曲だなと思いつつも、今の私に当てはまるのかな?とも思ったので、ディレクターさんにそう伝えたんですけど、「絶対に素敵な曲にするから任せてくれ!」と言ってもらえたので、背中を押されてチャレンジできた1曲です。洋楽っぽいR&Bテイストの曲調というのも新しいチャレンジでしたし、2曲目に持ってきたので、聴いているファンの皆さんも驚くんじゃないかなと思います。本当に新しい扉が開いたというか、新しい私を見つけてもらえたような感覚でした。私の音楽人生の中でもとても嬉しい出会いになったと思っています。

――そして、3曲目の「Collection」、作詞・作曲は絢⾹さんです。

大原 絢⾹さんは本当に大好きで、小さい頃から憧れている方だったので、まさか曲を書いていただけるとは思ってもいませんでした。この曲からは、私がファンだった頃の絢⾹さんの楽曲とはまた違った匂いを感じています。絢⾹さんもお母さんになって、色んな人生を歩んでいるということがこの楽曲に詰まっているなと思ってとても感動しました。