「もっとブラック櫻子を出して!」と言われてレコーディングに臨んだ楽曲
――続いて、4曲目は⾼橋啓太さんが手掛けた「Deep Blue」。⾼橋さんの曲もアルバムには2曲収録されていますが、まずは「Deep Blue」はどんな楽曲でしょうか?
大原 もちろんアルバム全楽曲好きなんですけど、「Deep Blue」はこのアルバムで一番好きだと言っても過言ではないくらい大好きな1曲です。最初はアルバムの1曲という感覚で聴いていたんですけど、歌っているうちに、この曲は私にとってなくてはならない存在だと思うようになってきました。本当に歌っていて気持ち良かった曲ですし、今の私の年齢にもすごく合っていると思いました。
――そして、5曲目は、いきものがかりの⽔野良樹さんによる「櫻」。水野さんとは何度かご一緒していますよね?
大原 これまで何度も楽曲を提供していただいていますが、水野さんの曲はどの曲も聴くと母校のことを思い出すんですよね。私の学校は“清く正しく美しく”をモットーに、勉学に励む学校だったんですけど、水野さんの楽曲には真っ直ぐで純粋なところがあって、いきものがかりさんの楽曲も学校で歌われるような曲が多いですし、この「櫻」という曲も本当に子ども達にも聴いてほしいと思うような曲になりました。
――6曲目が再び、⾼橋啓太さんによる楽曲「Sound of Music」です。この曲では、旅の折り返し地点といった印象も受けましたが、いかがでしょうか?
大原 この曲の“何にもない”や“関係ない”という歌詞がとても耳に残るので、マネージャーさんがずっと歌っています(笑)。先日、北海道の帯広に行った時にも景色を眺めていたら思わず、歌い出しの“何にもない沈黙の草原”の部分を歌っていて…、思わず動画を撮ってディレクターさんに送りました(笑)。この曲はライブで披露するのが楽しみな曲でもあります。疾走感があって、世界観がはっきりしているので、セットリストの前半に組み込んで歌えたらいいのかなと思っています。
――そして、7曲目「Hero」、8曲目「Fighter」とライブ映えするような曲が続いていきます。アルバムの後半に向かって気持ちがさらに高まっていく感じですね。
大原 「Hero」はめちゃくちゃ可愛いヒーローちゃんといったイメージです。ヒーローと言うと男の人をイメージしがちですけど、この曲のヒーローはキューティーハニーのような可愛いイメージです。しかも、コーラスというか、バックで「S・A・K・U・R・A・K・O」と私の名前を言っているので、ライブではファンのみんなの声を受けて歌いたいですね。あとは、“つまらないオトコはもう Bye bye”の“Bye bye”の歌い方は結構拘った部分なので、そこはたくさん聴いてほしいです。そして、「Fighter」はレコーディングの時に、ディレクターさんから「もっとブラック櫻子を出して歌ってくれ」と言われた曲です(笑)。ライブで「READY GO!」という曲を歌う時に、私が「てめーら、声出てねーぞ!」みたいなことを言っていて…。あ、これ文字にしたら酷い言葉ですみませんって書いておいてほしいんですけど(笑)、今のディレクターさんが、私のそういう姿を去年のライブで初めて観て気に入ってくれたみたいなんです。ロックな曲だし、私はテンション高く楽しくレコーディングに臨んだつもりだったんですけど、そしたら「もっとブラック櫻子を出して!」と言われました(笑)。
――ブラック櫻子…、貴重な裏話をありがとうございます(笑)。そして、9曲目は再び伊藤立さんによる「I am you」。こういった曲もライブで聴くのが楽しみですね。
大原 そうですね。ライブで歌ったら可愛い曲だと思いますし、立さんのチャーミングな部分、ユニークなポイントが出ている曲だなと思っています。最初にメロディーを聴いた時は、冬っぽい曲だなと感じたんです。今の時期に合うのかな?と思ったら、あの「ブラック櫻子を出せ」と言ってくるディレクターさんが「いや、僕的には絶対に夏だと思う」みたいな感じて言ってきて…。最初は誰かとくっ付いていたいような人肌恋しい冬の寂しさを感じましたけど、結果的には季節感を問わず、キュンとするような安心感のある最高の曲になりました。
――確かに“安心感”という表現がしっくりきますね。続いて、10曲目が「伸ばしかけ」、作詞・作曲はフジタカコさんです。この曲もまた雰囲気がガラっと変わりますね。
大原 最初に聴いた時に絶対に歌いたいと思った曲です。デモを聴いた時、メロデューが好きなので、歌詞が変わったバージョンも聴いてみたいですとお願いすることがたまにあるんですけど、この曲はもうこの歌詞でこのメロディー!天才現る!と思いました。でも、今回レコーディングした中ではダントツで苦戦しました。絶妙な心情の変化を表現するのが難しかったです。やっぱり、情景が浮かぶ曲ほど難しいですね。