佐藤新さんは自分が納得いくまで突き詰める作業ができる方

――そのほかに朝葉を演じる上で苦労したことはありますか。

渡邉 十代の男女が主人公というのもあって、恋愛映画と思われがちなんですが、心の成長を描いたヒューマンドラマなんですよね。だから朝葉が佐藤新さん演じる同級生の聖を見るときの目線ひとつ取っても、一つ違えば     聖に対する思いがライクからラブになってしまう。そうすると作品のニュアンスが変わってしまうというのは、事前に監督とプロデューサーに言われていました。朝葉は聖を拠り所にしているけど、決して恋愛感情が先行している訳ではない。もしかしたら映画では描かれていない後々のストーリーで、そういう展開になっていくかもしれないけど、この作品においては、一人の人間として支えてくれる人という感情を真ん中に置いて、役作りをしました。意外と恋愛映画に見えないようにするのは難しくて、「今の目線は、ちょっと押さえて」と言われることも多々ありました(笑)。

──W主演の佐藤さんとは初共演ですが印象はいかがでしたか?

渡邉 今回の共演が決まってから、IMP.さんのミュージックビデオなどを拝見させていただいて、キラキラしたアイドルの佐藤さんから入ったのですが、実際にお会いして、一緒にお芝居をさせていただく中で、プロフェッショナルな面を間近で見させていただきました。キラキラした裏側には、真っ直ぐな思いがあるんだと強く感じましたね。お芝居でも、監督が「OK」と言っても、「もう一回やっていいですか?」と自分が納得いくまで突き詰める作業ができる方なんです。その一声を出すのは勇気のいることですし、妥協しないという姿勢は私も見習いたいと思いました。アーティストとして活動しているときのお話などを聞いていても、ファンの皆さんに対して真摯に向き合っているのが伝わってきましたし、だからこそ全てのお仕事に対して前向きに活動することができるんだろうなと感じました。

──渡邉さんもグループ活動をされていたからこその共感もあったのではないでしょうか。

渡邉 アイドルと役者の両立が大変なのは私も分かりますし、スケジュール的にも忙しいと思うんですが、現場でもずっと明るくて、座長として引っ張ってくださったので尊敬しかなかったです。また年齢が一つしか変わらないのもあったかと思いますが、とても気さくで、初日からコミュニケーションもスムーズで、すごく接しやすかったです。そのままの雰囲気を、お芝居にも投影できたのかなと思います。