良いものは良いという感じで、それぞれの物差しでアリかナシかを決めていければ良い

――今季はファッションショーをチェックしましたか?

古川 PRADAとMIU MIUは見ましたが、そこまで細かくは見ていません。最近、ヴァージル・アブロー(2021年没)が生きていた頃にデザインを担当していた、2019年のLOUIS VUITTONのショーを見ました。ブラッド・オレンジというアーティストがショーの音楽を担当して、生でライブをしながらの演出が素晴らしかった。6年前くらいですが洋服も古く見えない。当時はそこまで注目していなかったんですが、再度ヴァージルのすごさを認識しました。

――こまめにファッションを追うというよりも、自分の興味があるカルチャーを追うという感覚ですか?

古川 そうですね。でも、もちろん最先端もある程度知っておかないといけないし、昔のコスプレをしていきたいわけでもないので、自分なりに色々なものを取り入れつつ、2025年を作ろうと楽しんでやっている感覚です。

――先ほど話題にでたLOUIS VUITTONですが、今年も注目度高かったですね。

古川 ニゴーとファレル(ウィリアムス)が担当したLOUIS VUITTON、良かったですね。ヴァージル含めですが、彼らならではのストリートのヴァイブスが入ってから、モノグラムだけじゃない主張があったり、色も緑とか青とかがアリになったりとか、すごく良いなと思っています。モノグラムに代表される“いわゆるヴィトン”というのも歴史があって廃れないものですが、よく見たらヴィトンなんだと思うような、色物で派手というかなのも最近気になっています。

――ハイブランドはハイブランド、古着は古着でまとめるのではなく、壁を作らずにミックスするのが普通になりましたよね。

古川 その感覚は、僕にとっては裏原世代のカルチャーが教科書的な感じで、自分のスタイルを作る上で参考になりました。1990年代に藤原ヒロシさんがHERMESのダッフルコートのオレンジを着て、Levi’sを履いてとか、僕的にはその頃のシーンのオシャレな人たちってそういう印象があります。

――裏原カルチャーは古川さんに大きな影響を与えているんですね。

古川 もちろん、どこを軸にするかでも変わります。ストリートなのか、ロックなのか、ヨーロッパのシックな感じとか。当時のスタイリストの方を見てもスタイルがわかるというか、馬場圭介さんはブリティッシュ、祐真朋樹さんはヨーロッパのようなクラシカルでシックなモード、野口強さんはグランジ、ロック寄り。それぞれ色々なスタイルで古着とかハイブランドを混ぜてやっていたから、自分的には良いものは良いという感じで、それぞれの物差しでアリかナシかを決めていければ良いんだと思っています。

古川毅(SUPER★DRAGON)

2015年に結成した志村玲於、古川毅、ジャン海渡、飯島颯、伊藤壮吾、田中洸希、池田彪馬、松村和哉、柴崎楽の9人からなるミクスチャーユニット「SUPER★DRAGON」のメンバー。ラップやダンス、メンバーによるヒューマンビートボックスまで融合させた、Newミクスチャースタイルな楽曲に、目まぐるしく変わる9人のフォーメーションダンス、そしてキャッチーで一緒に踊りたくなる振り付けが魅力。個人としても2018年資生堂・シーブリーズのCMキャラクターに抜擢され、ドラマ「兄友」で俳優デビュー。主な出演作は、ドラマ「3年A組-今から皆さんは人質です」「結婚できないにはワケがある。」「箱庭のレミング」「僕らが殺した、最愛のキミ」、映画『犬鳴村』など。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:RITSU OSOI