同居していた映画監督の影響で、より映画を好きになった
――上京後も映画熱は変わらなかったのですか?
酒井 より好きになりました。当時、4歳年上の映画監督と同居していたのですが、その影響で、よりフランス映画にハマりましたし、インディーズの映画も観るようになりました。映画館で言うと、ヒューマントラストシネマ渋谷などのテアトル系やアップリンクに行くことが多かったですね。
——どういうきっかけでその映画監督と知り合ったんですか。
酒井 養成所時代に「シネマプランナーズ」という映画製作・制作支援サイトを通じて、監督の長編作品に出演したことがきっかけで意気投合して、一緒に住もうということになりました。監督は主にアート系の作品を撮る方で、以前アップリンク吉祥寺で若手映画監督3名による撮り下ろし最新作を一挙上映していたのですが、今も僕の活動を応援してくれていますし、いつかまた一緒にお仕事したいなと思っています。
——その上映会にも行ったのですか?
酒井 行きました。監督のやりたいことを「どうだ!」と見せてくれる想いが伝わって来て面白かったですし、刺激になりました。
――今も映画館に足を運ぶことが多いんですか?
酒井 基本的に上京してからは、映画館で映画を観ることが多いですね。映画館の雰囲気自体が好きなんです。
——最後に、この1年間で観た映画の中で印象に残っている作品を挙げていただけますか。
酒井 イギリス映画で『リトル・ダンサー』です。2000年の作品ですが、2024年にデジタルリマスター版が公開されたので、映画館に観に行きました。
――どんなストーリーなのでしょうか。
酒井 舞台は1984年のイングランド北東部の炭鉱町。母親を亡くした11歳の少年ビリーが主人公で、父親に言われるがままボクシング教室に通わされていました。たまたま目にしたバレエ教室でバレエに興味を持ち、こっそり教室に通い始めるんです。男の子がバレエをやることに否定的な時代だったので、父親の反対に遭うんですが、自分を貫いて、いろんな障害を乗り越えて、最後は大舞台で自分の夢を叶えるんです。その大舞台に父親も招待するんですが、観客の喝采を浴びながらステージに上がって終わる。僕は基本的にバッドエンドが好きなんですが、この作品はハッピーエンドで、すごく気持ちのいい終わり方だったんです。こういう映画も自分は好きなんだという発見がありました。
Information
舞台「狂人なおもて往生をとぐ~昔、僕 達は愛した~」(稲葉賀恵演出)敬二役で出演決定!
2025年10月11日(土)~18日(土) 東京・IMM THEATERにて公演予定。
PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI