自分で作ることの楽しさを思い出した初監督作映画『解放』
――『ROPE』は音楽も作品の空気感を上手く表現していましたが、芋生さんは普段、どんな音楽を聴きますか?
芋生 コロナ禍のときにBTSの曲で元気をもらったので、今もK-POPを聴くことが多いんですが、わりと多ジャンルを聴きます。最近は千葉雄喜さんの曲もよく聴きます。7月3日の日本武道館ワンマンライブにも行きました。
――ヒップホップもお好きなんですか。
芋生 そんなにヒップホップは聴かないんですが、千葉さんがやっているブランドのモデルをやらせていただく機会があって。普段の千葉さんは礼儀正しくて、柔らかい雰囲気なんですが、パフォーマンスは圧倒的なオーラとパッションがあって。曲もヒップホップだけど、ロック的な要素や、昭和歌謡みたいな要素もあって。そのギャップも魅力です。
――千葉さんのように仕事で知り合って、聴くようになったアーティストは他にもいらっしゃいますか?
芋生 アーティストのときは「HIMI」名義の佐藤緋美くんと仲良しなんですが、彼の曲も映画で共演してから聴くようになって、友達だけどファンみたいな感覚でライブにも通っています。普段はどうってことのない話をしているんですが、曲を聴いたら「やっぱり天才かも!」って思いますね。
――俳優さん以外との交流も多いんですか?
芋生 ファッション関係や音楽関係の人との繋がりは多いですね。自分で何かを作る人に興味があるというか、話していて楽しいです。もちろん私は俳優さんも大好きなので、共演するとみんな大好きになっちゃうんですけど(笑)。なかなか同業者ではない人と知り合う機会もないので、余計に出会ったときの衝撃がデカいんです。たとえば友達のライブに行ったときに、曲に没頭して感動しているのと同時にクリエイティブ脳みたいなものが働いて、「思いついた!」という瞬間があるんです。先日、知り合いの付き添いで初めて銀杏BOYZのライブに行ったんですが、すごく感動しながらも、急に自分が撮りたい映画の最初と最後が思い浮かんで。「忘れちゃう!」と思って、ライブを観ながら頭の中にメモっていました。
――今年は芋生さん自身が主演・脚本を担当した初監督作映画『解放』が公開されましたが、昔から制作側にも興味はあったのでしょうか。
芋生 小さい頃から絵を描くのが大好きで、自分で何かを作りたいという欲求は強かったです。ただ役者を目指して上京してきてからは、誰かが作る世界の中で生きるというところが多かったので、自分で作ることの楽しさを忘れかけていたんですよね。でも、また自分で作ることに挑戦しようと思って、そのきっかけとして一昨年、『解放』を作ったんです。
――映画を監督してみて、お芝居にも変化はありましたか?
芋生 まるで変わった感じがあります。毎回いろんな現場で勉強させていただいていますが、監督をやると見え方が変わりますし、責任の持ち方も違います。監督をやることによって得た視野の広さと責任感は、役者としてどの現場に行っても、きっと頼りになるというか、いい形で現場に存在できるのかなと思っています。
Information
『ROPE』
2025年7月25日(⾦)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
樹 芋⽣悠 藤江琢磨 中尾有伽
倉悠貴 安野澄 村⽥凪 ⼩川未祐 ⼩川李奈 前⽥旺志郎
⼤東駿介 荻野友⾥ ⽔澤紳吾
監督・脚本:⼋⽊伶⾳
劇伴:TAKU(韻シスト)
主題歌:⽟置周啓(MONO NO AWARE/MIZ)
©映画「ROPE」
不眠症に悩まされている無職の⻘年 平岡修⼆(樹)。彼は謝礼の10万円を⽬当てに、失踪した20代⼥性「⼩川翠」(芋⽣悠)を探し続ける。徐々に彼⼥に意識を占領されていく修⼆。なぜ翠は“尋ね⼈”となってしまったのか。そこには悲しすぎる過去があった。
芋⽣悠
1997年12⽉18⽇⽣まれ。熊本県出⾝。2015年のデビュー以降、映画、ドラマ、舞台などで活動。出演作は映画『ソワレ』(外⼭⽂治監督)、映画『左様なら』(⽯橋⼣帆監督) 、映画『ひらいて』(⾸藤凛監督)、映画『37seconds』(HIKARI監督)、ドラマ『SHUT UP』ほか。2024年には映画『夜明けのすべて』(三宅唱監督)、映画『⻘春ジャック ⽌められるか、俺たちを2』(井上淳⼀監督)、Netflixシリーズ『極悪⼥王』などに出演。2025 年には映画『おいしくて泣くとき』(横尾初喜監督)などに出演、⾃⾝初監督作映画『解放』を公開。公開待機作に、映画『次元を超える』(豊⽥利晃監督)が控えている。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:ARISA MURAMIYA,STYLIST:SHIZUKU