みんなで歌えるパートを制作の段階から作ることが増えた

――実際に映画で流れている「where you come from」を聴いて、どう感じましたか。

ロザリーナ 子ザメちゃんを意識して作ったというのもあって、自分で言うのもなんですけど、イントロが流れたときに違和感なく聴こえたというか、子ザメちゃんが歩いているようだなと感じました。

――アレンジ面でも子ザメちゃんの動きを意識されたのですか?

ロザリーナ 無意識レベルで意識していました。変拍子なんですけど、その不思議な感じが、子ザメちゃんがあちこちお出かけしている姿に合っていたんですよね。

――歌い方でも子ザメちゃんを意識したのでしょうか。

ロザリーナ 子ザメちゃんがピュアなキャラクターなので、ストレートに歌うこととエモさは意識しました。

――アレンジも一発OKだったのでしょうか。

ロザリーナ アレンジの段階でバージョン7とバージョン8という二つのパターンを提出したんです。2サビの後のBメロ部分は、いつも私の中で自由演技みたいなパートとして認識しているんですが、その部分が違うバージョンを提出して。私的にはバージョン7が良かったんですが、みんなはバージョン8を選ぶんだろうなと思っていたんです。というのもバージョン8のほうがエモマシマシでドラマチックだったんですよね。案の定、バージョン8がいいと言われたんですが、そこで私は考えて、7.5というバージョンを作ったんです(笑)。それが主題歌になったバージョンなんですが、自分的には7よりも8よりも、7.5が良かったです。皆さんの意見があって生まれたバージョンで、どちらかが譲るということもなく、お互いの欲しいところを入れられて、さらに良いものになって大成功でした。

――自分の好きなバージョンと、みんなが好きなバージョンを客観視できるのがすごいですね。

ロザリーナ 確かに王道的なものと自分の好みは、普段から気を付けるようにしていますね。

――カップリング曲の「chop tap」(チャップタップ)はライブ映えする楽曲ですが、意識的に制作されたのでしょうか?

ロザリーナ かなり意識しました。ロックテイストな曲をやりたかったんですが、普段はアコギ1本で曲作りをすることが多いので、BPMの速さだったり、ギターやドラムのテクニックだったりを想定しながら一人で曲を作る方法が分からなくて、それで共作という形になりました。他にも幾つか候補曲があったんですが、この曲を初めて聴いたときに、ライブの情景が思い浮かんだんですよね。「みんなに、ここを歌ってほしい」というところが見えて、一瞬でサビができたんです。それが“チャップタップ”という言葉だったんですが、これは私の造語なんです。曲を聴いた時点でパッと浮かんで、サビにハメたくなったんですよね。もともと「早く!」という意味の“chop chop”というスラングがあて、そこに「軽く叩く」という意味の“tap”を合わせて、「早くタッチして」という鬼ごっこのような世界観が浮かんで、そこから歌詞が広がっていきました。

――別の方が書いた曲に歌詞を乗せる作業はいかがでしたか。

ロザリーナ 歌詞をつけていく段階で、「メロディーが変わっても全然OK」ということだったので、かなり自由に書かせてもらって。「このメロディーだと字余りしちゃうな」というところは、その言葉がハマるようにメロディーも変えて、自由度が高かったです。

――共作での楽曲制作はいかがでしたか?

ロザリーナ めちゃ楽しかったです。自分にない引き出しですし、ずっとソロで活動しているので、誰かと作品を作るのはワクワクします。

――コーラスに加えて、コール&レスポンスのパートもありますが、最近のロザリーナさんの曲は、ライブで盛り上がるポイントを入れることが多いイメージです。

ロザリーナ もともと精力的にライブをするタイプではなかったのですが、コロナ禍のタイミングで無観客ライブをやって。改めて有観客ライブがやれることのありがたさ、幸せに気づきましたし、それによってライブに対する思いの強さも変化したんですよね。あとイヤモニを外して、自分の作った歌をお客さんが歌っているのを聴くことに憧れがあったんです(笑)。

――ライブのクライマックスで、よく観ますよね。

ロザリーナ あれがやりたくて、みんなに歌ってほしいなと。そもそも自分が書いた曲を、誰かが歌ってくれたり、カバーしてくれたりは、めっちゃうれしいことなんです。だから、なるべくみんなで歌えるパートを制作の段階から作ることが増えて。ライブを重ねていく中で、こういうパートはみんなが歌いやすいんだと分かっていって。「chop tap」も、きっとみんなが歌ってくれるだろうと思いながら作りました。