新しい曲や新しいコードが弾けるようになるのが楽しかった

――ここからはロザリーナさんが音楽を始めた頃のお話をお聞きしたいんですが、音楽に興味を持ったきっかけは何だったんですか。

ロザリーナ 上に兄弟がいるんですが、おさがりでCDをもらうことが多くて。音楽を好きになったきっかけかは分からないんですが、「たくさん曲を知っているほうがかっこいい」みたいな感覚は小学生ぐらいからありました。あと兄弟はギターも弾いていたので、家にギターがあったんです。それでギター自体に興味を持つのではなく、テレビで観るアーティストがギターを弾く姿がかっこいいと思って、自分でもギターを弾きたいと思ったんです。

――“かっこいい”が重要なキーワードだったんですね。

ロザリーナ それで小学生のとき、お年玉でもらった5000円を握りしめて楽器屋さんに行って、「ギター買いたいです」と言ったら、5000円で買えるギターは売っていなかったんです。でも優しい店員のおじさんが「ギターを始めたいの?」と聞いてくれて、「じゃあ、おまけしてあげるね」と言って、幾らかは分からなかったんですけど、その値段でアコギを売ってくれて。しかも「応援しているから頑張ってね」とストラップなど、いろいろ付けてくれたんです。それでアコギを弾き始めたんですが、私は熱しやすく冷めやすいので、小学校の頃は一旦やめちゃって、しばらくギターは埃を被っていました。

――再びギターを手に取ったのはいつ頃でしょうか。

ロザリーナ 厨二病の中学2年生のときに、今度は制服姿でギターを背負って登校する先輩がかっこいいと思い始めて(笑)。私もギターを背負って登下校したいと思ったんです。それで埃を被っていたギターを背負って、学校に通っていました。ギターをやりたいという友達もいたので放課後に集まったり、カラオケに行くお金はないけど、ギターだったらお金がかからないから、ギターで伴走を弾いたり。本格的に音楽を始めるというよりは遊び感覚でギターを弾いていました。

――誰かからギターを教えてもらったことは?

ロザリーナ 完全に独学でした。好きな曲を弾くのが楽しかったんですよね。マメができるまでは指が痛いんですけど、その痛みを通り過ぎると無敵で、ずっと弾いていられるようになる。新しい曲や新しいコードが弾けるようになるのが楽しくて、それを努力とも思っていなかったんです。

――歌手を目指したのはいつ頃でしょうか。

ロザリーナ 今となっては行っておけばよかったと思うんですが、大学に行きたくなくて……。大学イコール勉強というイメージがあったのですが、もう勉強なんてしたくないという思いがあったんですよね。でも親は大学に行くことが普通と考えていたので、大学に行かない方法を探したんです。それで熱しやすく冷めやすい私が、唯一続けてられていたのがギターだったんですよね。だったら歌手になろうと(笑)。特に歌に自信があった訳でもないんですけどね。

――歌手を目指して、具体的にどんな行動をとりましたか?

ロザリーナ もちろん周りに歌手はいないから、なり方が分からなくて。ただ何となく曲を書けないと歌手になれないという思い込みがあったんです。それで独学で曲を書くようになったんですが、それがシンガーソングライターだというのは後から知りました。

――学生時代はどんなアーティストを聴いていましたか?

ロザリーナ いろんなアーティストの方を聴いていましたが、小学生の頃は兄弟の影響でゆずさん、Mr.Childrenさん、BUMP OF CHICKENさん、MONGOL800さんなど。中学生になると、洋楽を聴いているとかっこいいというのがあって、オアシスやマルーン5とか。その後はクラブミュージックやヒップホップなど、いろいろなジャンルを聴くようになって、今もストリーミングなどのお気に入りリストは雑食です。

――歌い方は誰かの影響を受けたのでしょうか?

ロザリーナ 歌っていくうちに自然と今のようになっちゃいました。レコーディングを重ねていくうちに、「あ、こんな歌い方をしているんだ」と気付いて、今以上に最初はクセ強だったので、自分なりに矯正していったんです。

――クセ強というと?

ロザリーナ 自分の好きなように歌っていたから、頭で奏でている歌声と、実際に鳴っている歌声が違っていたんですよね。だいぶ癖はなくなってきているはずなんですが、いまだに周りの友達からは誇張したモノマネをされます(笑)。当時は人前が苦手というのもあって歌いたくなくて。ライブもしたくないし、曲作りだけしたいと思っていました。曲を作ることは最初から楽しかったんですよね。ただ徐々にファンの方が増えていく中で、ライブの楽しさも知って、今があります。

――今はギター以外で曲作りをすることもあるんですよね。

ロザリーナ ほぼ弾けないんですが、ピアノで曲を作ることもあります。デビューしてから独学で始めたんですが、ギター1本だと曲の雰囲気が限られてしまうんですよね。同じコードでもピアノで弾いてみると、思い浮かぶメロディーが違ったりするんです。DTMも触るので、メロディーや歌詞が思い浮かばないときは、先にDTMで好きなコードを打ち込んで、その上に「ららら」をループで流して、いろいろなメロを作って。インスピレーションが降りてきたら、さらに作業を進めるみたいな流れです。

――最後に今後のライブについて教えてください。

ロザリーナ 今、「STATIONシリーズ」と銘打ったライブをやっていまして、その第4弾となる「OTSUKIMI STATION」を10月18日に開催します。毎回、タイトルの駅名を変えているのですが、STATIONによって構成や曲に変化をつけて、いろんな雰囲気を楽しんでもらえるライブを心がけてやっているので、ぜひ足を運んでください。

Information

ニューシングル『where you come from』
2025年8月20日リリース

完全生産限定盤(CDのみ) SRCL- 13390 / 1,800円(税込)

1. where you come from
2. chop tap

STATIONシリーズ第4弾
「OTSUKIMI STATION」
日程:2025年10月18日(土)
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
会場:青山 月見ル君想フ
(東京都港区南青山4-9-1 B1F)
料金:前売¥5,800
※入場時にドリンク代が別途 ¥700 必要となります。
ゲスト:Klang Ruler、オープンニングアクト:浮世

ロザリーナ

東京都生まれ。2018 年のメジャーデビュー以降、「からくりサーカス」「歌舞伎町シャーロック」「my star」等、多くのTV アニメテーマ曲を担当。NHK『みんなのうた』への楽曲書き下ろしや、THE ORAL CIGARETTESの「Don’ t you think feat. ロザリーナ」でコラボレーションを実現させるなど、活動は多岐にわたる。
2016年には、西野亮廣原作の絵本『えんとつ町のプペル』のテーマソングを担当。そこから数年を経て、2019年公開のアニメ映画『映画 えんとつ町のプペル』ではエンディング主題歌も務め、作品とともに成長するアーティストとして印象づけた。
2020 年1月29 日にリリースした1st Album『INNER UNIVERSE』収録曲の「何になりたくて、」が10 代学生を中心に口コミで広がり、YouTube での再生回数は785万回を突破。2022 年1月19 日にデジタルリリースした「Life Road」は「コカ·コーラ福ボトル」TVCM「魔法は。すぐそばにある」篇にも大抜擢され、自身初のCM 出演も果たす。更にはAmazon Music ブランドCM「Following is Cheering」篇にも出演したりと話題を呼んだ。2023年4月19日にリリースした「I knew」は、テレビ朝日ドラマ『unknown』挿入歌、「no plan」は2024年5月24日公開の映画『帰ってきたあぶない刑事』挿入歌に。
また2024年11月には音楽劇『姉さんは、暖炉の上の、壺の中 – My Sister Lives on the Mantelpiece』で俳優デビュー。2025年6月放送のテレビ朝日ドラマプレミアム『看守の流儀』では、複雑な背景を持つ受刑者役に挑むなど、音楽を起点に、映像、演劇、言葉といったさまざまなジャンルを横断しながら表現者としての幅を広げ続けている。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:MAI TOKUNAGA (BEAUTRIUM),STYLIST:TAKAAKI UCHIDA (A-T Co.,Ltd.)