スーパー戦隊シリーズを通じて知り合い、イベントで親交が深まった
――どういうきっかけでお二人は出会ったのでしょうか。
酒井 僕が『百獣戦隊ガオレンジャー』、白川が『忍風戦隊ハリケンジャー』に出演していて、『忍風戦隊ハリケンジャーVSガオレンジャー』という作品で共演したんです。スーパー戦隊シリーズの1年先輩・後輩なので、中学の1年生、2年生みたいな関係で。
白川 親交が深まったのは、リーダーが新宿のロフトプラスワンでプロデューサーみたいなことをやっていたんですが、そこで僕たちスーパー戦隊出身の俳優がイベントをやらせてもらっていたんです。いつもリーダーがMCをやってくれて、そういったところで密になって仲良くなったんですよね。あと僕は「ハリケンジャー」が終わった年の年末に『天罰屋くれない 闇の始末帖』という時代劇ドラマに出演していて、リーダーがゲスト出演してくれたんです。そのとき、一緒にカラオケに行ったんですよ。そこで僕の歌声を聴いて、「あれ?こいつムード歌謡に合うんちゃうか」と思ったみたいで。
酒井 この歌声で尾崎豊を歌っていたんですが、ムーディー尾崎みたいな(笑)。それでムード歌謡をやろうと思ったときに、自分の記憶を辿ったら、すぐに「あの声や!」ってなったんです。
――もともと歌に自信は?
白川 全くなかったです。歌を歌うのは好きだったんですけど、歌手を目指しているとか、そういったことではなかったし、ただカラオケが好きな人。まさか自分に声がかかるとは思わなかったです。数いる友達の中から、自分の声に惚れてくれて、声をかけてもらったのはうれしかったですし、面白そうだなと思いました。
――結成メンバーは全員、酒井さんが声をかけていったんですか。
酒井 そうです。人柄も重要視しましたし、家庭環境やマネージャーと上手くいってるかどうか、本人の現状に対する不満の状態、収入など全部調べました。
――素行調査ですね(笑)。声をかけたけど断られた方もいたんですか?
酒井 いました。スーパー戦隊で言うと、「ガオレンジャー」の2年前にやっていた『救急戦隊ゴーゴーファイブ』のレッドを演じた西岡竜一朗くん。彼も先ほど話に出たカラオケにいて、俺から言わせると歌のプロが二人おったんです。ムード歌謡のリードボーカルはハゲているほうがいいというイメージがあって、すでに西岡くんは生え際が後退していた(笑)。だから西岡くんをリードボーカルにして、白川は僕らと一緒に後ろでワワワーとやってんねんけど、「後ろの人のほうがかっこよくない?」みたいなパターンに持っていこうかなと思っていたんです。実際、みんなでレッスンもやったんですが、すでに西岡くんはバイク屋さんを起業していて、社員もいて。「酒井くん。やっぱり僕はバイク屋さんも始めているし、社員もおるから、ここで別れよう。お互い頑張ろうね」ということで別れを告げて、白川に「君がリードボーカルだ。レッツゴー!」と。
白川 まだ肩が温まっていないのにと思いましたが(笑)。
――当時、白川さんは、酒井さんにどういう印象を抱いていたんですか。
白川 リーダーってちょっと怪しい人だから、いろんな人から、いろんな情報を聞く訳ですよ。あの当時から突拍子もないことをよく言ってたから、周りも「何言ってんの、この人?」みたいな。しかも直接会ったこともないのに、そういうことを言う人もいたんです。僕は実際に接してみないと分からないなと思って、会ってみたら、面白いお兄さんだなという第一印象で。僕が考えつかないようなこと、周りが考えつかないようなことがポンポン出るんですよね。それが刺激的で。この人は怪しいって言われているけど、怪しいだけじゃなくて、ぶっ飛び過ぎちゃっている、あまりにも前に行き過ぎちゃっているから、時代が追いついてないのかなと思ったんです。一緒に活動を始めたら優しいし、いろいろアドバイスをくれるし。悩みも相談しながら、関係を築いていきました。
――酒井さん自身、怪しいと思われている自覚はあったんですか。
酒井 うん。ちっちゃい頃からそうだから。ものすごく魅力があるクラスメイトなのに、親から遊ぶのを止められている子どもっておるじゃないですか。まさに僕がそれで、親に怒られるからと渋る友達を引っ張り出して遊んでいたら、その子の親が「何してくれてんねん!もう、あの子と遊ばないで」としゃしゃり出てくるんです。でも人間は魅力のあるほうに引っ張られるから、親なんかすっ飛ばして、僕のところに来る訳。それをやり過ぎた結果、どの親からも「あいつと遊ぶな。あいつと遊ぶと、うちの子どもが狂ってまう。遊び狂いや」と言われるようになって。僕も、そうなっちゃうのはしゃあないやんと開き直っていました。そういう風に誤解を招いてナンボっていう態度で生きてきてるから、そりゃあ大人になったら怪しいって思われるよね。僕としては、ずっと口八丁手八丁でやってきて、それでメシを食ってる感覚なんです。
――それで、ここまでの成功を収めている訳ですからね。
酒井 そこら辺の社長も、みんな僕と同じようなもんですよ。ただ、こうやって純烈をやらせてもらっているのも、応援してくれるファンのおかげよね。スタッフもメンバーもよう耐えたし、その上、ファンのみんなが喜んでくれるっていうのは。もはやミステリーよ。