想いの先にコミュニティがあれば、それは必ずビジネスになる
――アイドリストのこれから展開はどのように考えていますか?
稲留 まだビジネスとしては10%くらいの土台作りの段階です。スモールスタートではじめて、少しずつ作っていっているという感じです。なので、まずは土台をしっかり作り上げて、地道にコツコツと浸透させていくことに集中していきます。クリエイティブは森田さんに主導してもらい、僕はビジネスに集中しています。役割分担ができているのでコミュニケーションもスムーズで、ありがたい存在です。
森田 僕は映像出身なので見え方や言葉、そして関わる人の想いを具現化していくことを中心に考えながら進めていきたいです。稲留さんがビジネスの裏付けをつけてくださるので、僕としてもストレスなく進められています。
――アイドリストの活動でいうとどのような展開を考えていますか?
稲留 現状は年2回、約600人規模の会場でワンマンを開催しています。次のステージはZepp規模のライブを年に1回以上実施できるよう目指しています。そのために、ジャンルの違うアイドリストのユニットを展開したり、働いている社会人の方々がアイドルにチャレンジしたいと思ってもらえる裾野を広げていきたい。
森田 まずは集客ですね。会場をスケールアップしていくためにも応援してくださる方を増やしていきたいです。Zepp規模でライブができるようになると、アイドル好き以外の一般的な方々からの知名度も獲得できますし、知名度が上がっていけば、このプロジェクトに興味を持つ方々はもっとたくさんいると思うので、そういう子たちの目に触れて、プロジェクトにジョインしていただきたいですね。
――ライバーやSNSなど自己表現の場は増えていますが、一般の社会人がリアルの観客を集める場はまだ限られていますよね。
森田 そうですね。アイドリストも今の形が正解だとは思っていなくて、ジョインした方々が自分の想いをAmaductioNにどんどん言ってもらって、それが良ければスピーディに、ダイナミックに変えていく。そのサイクルが加速するほど、いろんな場ができて、もっと面白い社会になるんじゃないかなと思います。

――少しリアルな部分に踏み込んで伺いますが、ビジネス面のリアルとして例えば売上目標などはあるのでしょうか?
稲留 経営からトップダウンでの売上目標の設定はしないです。現場の裏付けがない数字は虚構になりますから。現場主導で売上目安を置きつつ、目標の8割達成以上くらいを最低限に考えて運営します。仮に8割を下回ればビジネスとしての仕組みを再検討します。売上8割程度では崩れないビジネスモデルをつくるのが経営の責任だと思いますし、最終判断は、実際にプロジェクトを動かす現場チームに委ねます。だから、売上に関してあれこれ口出しすることは基本的にないですね。
森田 僕は数字に関しては勉強中なので、稲留さんのスタンスは非常にやりやすいですね。
――ボトムアップでビジネスをつくられているんですね。そうなるとより一層、組織づくりも重要だと思いますが、組織運営で大切にしていることを教えてください。
稲留 理想は現場が意思決定する組織です。ヒト・モノ・カネを実際にプロジェクトを現場で動かしている人間が決めていくのが組織としてあるべき姿ではないかなと。これは既存の事業だけじゃなくて、新規事業をつくるときも同じで、コミュニティにつながるなら基本なんでもやっていいスタンスで、現場からの意見でしっかりとまわっている事業が正義と考えてます。
――既存事業、新規事業問わず、社員一人ひとりがチャレンジできる土壌があるということですね。
稲留 そうですね。想いを持ってやりたいことにチャレンジしてほしいです。想いの先にコミュニティがあればビジネスになります。最近、ガンプラが好きな社員が「女子ガンプラ」という超ニッチなイベント企画していました。カフェなどに展開するとさらに面白くなりそうですよね。とにかくやりたいことにチャレンジしてほしいです。
森田 明日入社して、明後日やりたいことを提案したとしても、良さと熱量があれば「じゃあやってみよう」となる会社です。年齢も立場も関係ありません。
――チャレンジできる土壌があるAmaductioNですが新規プロジェクトをやる基準などはありますか?
稲留 コミュニティが生まれるかどうかですね。世代を超えて層が形成されれば何でも事業化できます。
森田 AmaductioNはコミュニティの熱がある方向へ走る会社だと思っています。そういう意味では、他の会社とフィロソフィーが違うし、他の会社とは全然違う可能性を秘めていると感じています。

過去のAmaductioN CROSS INTERVIEWはこちら
AmaductioN CROSS INTERVIEW #1 × 鶴見 至善
https://strmweb.jp/archives/9986/
AmaductioN CROSS INTERVIEW #2 × 鶴見 至善
https://strmweb.jp/archives/10228/
稲留 慶司
株式会社AmaductioN 代表取締役
1987年生まれ。福岡県立修猷館高等学校を卒業後、単身中国に渡る。2010年上海交通大学卒業。総合広告代理店に入社後、広告プランナーとして従事し、大手カメラメーカーのキャンペーン等の企画を担当。その後、若年層マーケティング企業で新規事業を多数手がける。2016年株式会社AmaductioNを立ち上げ、コンテンツ開発や広告事業、飲食店コンサルティングを展開している。
森田亮
映像監督・映像クリエイター
1981年、東京都羽村市生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、映像制作会社ロボットに入社。2013年よりディレクターとして頭角を現し、数々のミュージックビデオやCMを手がけ、2017年に独立。翌2018年には自身の映像演出事務所「リル株式会社」を立ち上げた。
手掛けるジャンルは幅広く、アンジュルム、けやき坂46、GLAYをはじめとするアーティストのMVから、タイミー、明治などなどのTVCM、さらにはドラマその柔軟な感性と確かな演出力で、注目を集める。
PHOTOGRAPHER:asary,INTERVIEWER:DAISUKE MATSUBARA
