「パラレルキャリアアイドル」という新しいアイドルの価値観を生み出せた
――先ほどの「ニッチなマーケット」について話が出ましたが、なかなかビジネスとして成立させるのは難しいですよね。
稲留 そうですね。多くの人が「開拓してもビジネスにならない」と思って手を出さない領域ですから(笑)。
森田 ただ、ビジネス以外の視点だと、エンターテインメントには必ず個人の人生があります。ビジネスになっていないからこそ救い上げられなかった想いがあるし、逆にビジネスにできればその想いをスケールできることに価値を感じます。アイドリストのプロジェクトでも、アイドルに挑戦せずに諦めて就職した子が「働きながらアイドル活動ができて良かった。」と言ってくれたり。メジャーだけでは叶わない方々の挑戦の場があるのは素晴らしいことだと思います。
――今、まさにアイドリストといビジネスでその場を創り出している。
稲留 誰もやらないカテゴリに挑み、その当事者たちの想いが重なって熱が高まるとマーケットができる。ユニドルのときもまさにそうでした。
――とはいえ、難易度は高いと思うのですが、難しい方へ行くモチベーションはどこからくるのでしょうか?
稲留 難しい方へ行っているとは思っていなくて、そこに人の熱や願いがあるかどうかだと思います。今もK-POPのコピーダンスイベントをやっていますが、想いが最優先でそろばんの方はまだこれからです(笑)。ロマンとそろばんを成立させるのは難しいですが、それがAmaductioNの存在価値だと感じます。

――アイドリストで感じている手応えはありますか?
森田 パラレルキャリアアイドルという新しいアイドルの価値観を生み出せたと思います。働きながらでも大きな舞台に立てたり、ワンマンライブも実現している。今後はフェス出演など、さらに活躍の場を広げていきたいです。
稲留 あと二兎を追ってもいいという考え方を広げたいですね。
――アイドル業界自体はある意味、飽和状態になりつつありますが、この点についてはどう見えていますか?
森田 これまでとは違う考え方が必要だと思います。クレバーで魅力があるのに、アイドルにチャレンジできていない方もたくさんいる。そんな方々に何も失わず表に出られる。そういう価値観が浸透すれば、マーケットも変わっていくと思います。新しいアイドルの形を提示できればと。
稲留 アイドルプロデュースの観点で見ると、メンバー確保は至難の業だと思います。良い人材は取り合いになっていて、メンバーを揃えるのは大手芸能事務所であってもなかなか難しい。でも僕たちは、他の事務所さんとは違った方々を対象に人材を発掘していて。働いている人や、一度、芸能を離れた人にも門戸が開いていて、むしろブルーオーシャンです。
