誠実に作品に向き合ってやられている松村さんの姿が素敵だった

――それぞれ演じた役柄に、どんなイメージを抱きましたか。

白洲 夫はとにかく動物が大好きで、底抜けに温厚なんです。怒らないというか、怒れないんでしょうね。もちろん心の中で思うところもあるんだろうけど、悪い部分はフォーカスせずに、良い部分だけにフォーカスできる、小さな幸せを見つけるのが上手な人です。そこは僕も見習いたいなと思ったところですね。僕はどちらかというとネガティブ寄りで、失敗するとすごく落ち込みますが、夫みたいな人になれたら自分も幸せになれるし、一緒にいる人も幸せにできるだろうなって学びを得ました。

松村 私は妻さんの元気で溌剌としたところが素敵でいいなぁって思いました。感情で生きている喜怒哀楽がはっきりしているタイプで、特に夫に対しては思ったことは何でも言いますが、良い意味で自分の世界に夫を巻き込める人なんですよね。

白洲 妻は自分の気持ちに正直ですよね。

――松村さんのパブリックイメージと近いところもあるように感じました。

松村 何事に対しても好き嫌いが明確にあるところは似ているなと感じますが、私は妻さんほど周りを振り回すタイプじゃないですね。ずっと大所帯のグループにいたので、どちらかと言うと自分を殺すほうが得意かもしれないです(笑)。

白洲 松村さんもはっきりした意見を持っているけど、声を大にしては言わないタイプですよね。

松村 そういえば、この作品に入る直前に、別の作品で白洲さんが女性に告白しているドラマを観たんです。

白洲 撮影二日目に「違う女の人に告白してたよね」と言ってたね(笑)。

松村 役とは言え、複雑な気持ちで現場に入ったので、そこは声を大にして言いました(笑)。

白洲 それぐらい感情移入して観ていただけたのはうれしいですね。先ほど松村さんのパブリックイメージというお話がありましたが、僕もテレビの画面越しで見る松村さんは溌剌とした印象でした。ところが実際に会ってみると、そこまでテンションは高くないんですよ。それに気づいてから、改めてバラエティに出演している松村さんを見ると、「キュンキュン」「ハートハート」とかやっていても、そこまでテンションが高くないんです。

松村 そうなの!気づいてくれてありがとうございます。

白洲 僕なりに研究したんですよ。バラエティのイメージが先行しているけど、実はテレビでも素なんですよね。共演する前は、あのキャラは無理して作っているのかなと思っていたんですが、松村さんそのままなんです。

松村 正解です。みなさん勝手に明るいイメージを持ってくれていますけど、テレビでも暗いんですよ。

白洲 意外と声も小さいですしね。テレビだから切り替えるのではなく、松村さんまんまで出ているところがすごいなと思います。それと共演して感じたのは、本当に真面目な方だなと。誠実に作品に向き合ってやられている姿が素敵でしたし、僕の価値観に合う方だなと思いました。松村さんが現場の空気を良くしてくれていて、スタッフさんからは「姫」って呼ばれていましたからね。それぐらい、みんながかわいいと心から思っていたし、現場でも無理してないから、自然と周りに溶け込んで、それがこの作品の空気感になっていったんです。いつも撮影の中心にいたのは松村さんでした。

松村 私は白洲さんの俳優としての才能に助けられました。

白洲 うれしいですね(笑)。

松村 私は俳優としての経験がそれほどないので、「演じるってなんだ?」みたいな迷いもあったんです。白洲さんは俳優としての地位を確立されている方だから、白洲さんのおかげで現場がまとまっていくんです。私はクランクインするまで、妻さんを掴み切れずにいたんですが、白洲さん演じる夫と喋っていると、自然と私の中の妻さんが出来上がっているなと感じました。全面的におんぶに抱っこで引っ張ってもらいましたね、

白洲 そんな意識はなかったですけど、お互いに助け合えたってことですかね。