激動の2025年、シングルが2作連続で出演するTVアニメのテーマ曲に
――2025年も残り2か月を切りましたが、前島さんにとっては、どんな1年でしたか?
前島亜美(以下、前島) 一言で言うと「激動」の1年でしたね。昨年11月にソロアーティストとしてデビューさせていただいたのですが、デビューが決まったのは昨年の春頃で、そこから一気に制作活動が始まって、とても1年半とは思えないくらい中身の濃い日々を過ごさせていただきました。大変なことや不慣れなことももちろんありましたけど、それ以上に楽しいことや新たな出会いが溢れていたので、デビューすることが出来て本当に良かったなと思っています。体感的には3年ぐらい経ったような感覚もあるんですけど、激動の1年を走り抜けて、デビュー1周年という節目に辿り着けたんだと思うと、とても感慨深いものがあります。

――充実した1年だったということが表情や声色からも伝わってきました。
前島 ありがとうございます。以前、グループ活動をしていたこともあって、音楽の世界にまた飛び込んだからこそ再会できた人もいましたし、コンペでは世の中に溢れる才能に触れられて、楽曲との出会いもとても楽しいなと感じています。
――そんな激動の2025年の活動の中で、特に印象に残っているお仕事や出来事を挙げるとしたら何でしょうか?
前島 1stシングルの「Wish for you」で初めてTVアニメのオープニングテーマを担当させていただいたことが、今年1年というか…、私の人生の中でもビッグニュースだったなと思っています。もともとアニメが大好きで、アニメを見ることで元気をもらったり、勇気をもらったりするような学生生活を送ってきたので、まさか自分が声優のお仕事をして、声優アーティストになって、出演するアニメ作品のオープニングを歌うことになるなんて…。とても尊くて幸せな、誰もが憧れるような夢のパッケージを叶えることができたので、私も本格的に声優アーティストとしてデビューできたんだと実感できて、本当に嬉しかったです。
――そして、2ndシングル「不器用に 君のとなり」がリリースされるわけですが、今回はTVアニメのエンディングテーマということで…、2作連続で夢のパッケージが叶いましたね。
前島 そうなんです。今回はTVアニメ『不器用な先輩。』のエンディングテーマなんですが、アニメ自体はいわゆるオフィスラブを描いた心温まる作品になっています。不器用な女性と後輩の男の子の物語で、私は堀田美緒ちゃんという、男の子の同僚の役を演じています。原作の漫画を読ませていただいた時に、とにかく温かい作品だなと感じたので、エンディングテーマとして作品の余韻を大切にした楽曲にしたいと思って、コンペから進めていきました。アニメの制作スタッフさんからは、懐かしさを感じられるような楽曲にしたいという希望もいただいていたので、色々な情景が思い浮かぶようなゆったりとした楽曲を選んで、制作スタッフの皆さんに聴いていただいたところ、バッチリですと言っていただけて、このような作品に寄り添える楽曲になりました。
――なるほど。そのような流れで、コンペで楽曲を選定して制作を進めていったのですね。ちなみに、楽曲を聴いた時の第一印象はいかがでしたか?
前島 温かみも感じましたし、今回の作品のテーマである「不器用さ」を音の中からも感じ取れる楽曲だなと思いました。不器用って、思いやりの裏返しのような感じがしていて…。思いやる心があるからこそ、配慮があるからこそ、つい不器用になってしまうのかなと思うんですよね。そんな不器用さを音でもそうですし、歌詞でも表現していただけたので、とても作品ともリンクしていますし、楽曲として聴いていただいた方にも共感できる部分がたくさんあるんじゃないかなと思っています。

――不器用の解釈や説明がとても素敵だなと感じました。ありがとうございます。前島さんご自身はどうなのでしょうか?不器用だと感じることはありますか?
前島 私自身も生きていて、自分は不器用だなと感じることが多いので、原作を読んだ時もアフレコの時も共感することばかりでした。でも、不器用な方にも救いがあるといいますか、人との繋がりや思いやりって素敵だよねと改めて思わせてくれるような、不器用さも愛せるような作品なので、私も曲の中でそういった要素をちゃんと表現できればいいなと思って歌っています。
――お気に入りの歌詞や推しポイントなども是非教えてください。
前島 (とても悩んだ感じで)うわぁ…。もう全部大好きなんですよね。いろいろある中で今回一つ挙げると、Dメロの「誰だって自分を 信じきれなくて 臆病になって それでも誰かが 寄り添ってくれたら 癒える傷もある」というところでしょうかね。まさに、作品の主人公の鉄輪梓さんのことを表しているようで、人は1人では生きていけないんだということをポジティブな意味で捉えられるというか、周りの人や自分と関わってくれる人をより大切にしたいと思える言葉だなと感じました。「不器用に 君のとなり」というタイトルも私にぴったりだなと思っています。今まで不器用に生きてきた私ですが、これからも聴いてくださる方々や応援してくださる方々の隣で、この曲を歌い続けていけたらいいなと思っています。
