“誇りの推し”だと思ってもらいたい!そんな願いを込めて作詞した「Adaptation」

――「不器用に 君のとなり」のMUSIC VIDEOではコーヒーを淹れたり、ストレッチしたりする朝のルーティーンのような姿が描かれていますが、実際の前島さんはどうなのでしょうか?

前島 あそこまで丁寧な暮らしはできていないですね(笑)。私の理想が詰まっているといった感じです。でも、私も実際に猫ちゃんと暮らしているので、部屋着や猫ちゃんと戯れている姿はとてもリアルです。これまでのMVではキラキラした美しさや作り込んだものを見せるといった感じでしたが、今回は背伸びせずに、ありのままの姿やナチュラルさを大切にして撮影しました。監督さんに「猫ちゃんに出てもらうのはどうでしょうか?」と提案したところ、モデル猫ちゃんを呼んでいただけて…。

――なんと、プロの猫だったのですね?

前島 そうなんです(笑)。人生で初めてプロの猫さんとお仕事をして、とても感動しました。にぼしちゃんという猫ちゃんだったんですけど、巨匠といいますか、演技派猫でして…。我が家の猫ちゃんは天真爛漫でツンデレなので、あまり言うことを聞いてくれないんですが、にぼしちゃんはクランクインした瞬間からずっとベストなポーズを維持されていて、一発OKでカット!ってなった瞬間にさっと帰られました(笑)。本当にプロフェッショナルでした。

――素敵なエピソードをありがとうございます。あとは、MVの後半も見所のひとつですよね?

前島 今回はMVの後半にアカペラを取り入れています。監督さんからの歌うというよりも語りかけるように…というオーダーで、鏡の中の自分に向かって歌っています。「不器用に 君のとなり」の「君」は猫ちゃんだったり、日々の生活を見守ってくれている植物だったり、読んでいるお気に入りの本だったり、色々なものに例えられるんですけど、鏡の中の自分もまた「君」という風に捉えることができるなと思って、自分の内面や幼少期、これまで生きてきた鏡の中の自分に対しても歌っているというとても深い意味を持たせてくれるシーンになったなと思っています。あとは、MVの中に出てくる本や携帯電話も私物なので、より私の日常のリアルさが伝わったらいいなと思っています。

――では、ここからはカップリング曲についても聞かせてください。まずは2曲目の「恋愛主義にクエスチョン」。1曲目とはガラッと雰囲気が変わりますが、こういう前島さんを待っていた、こういう楽曲をライブで聴きたいと感じたファンの方も多いのではないでしょうか?

前島 今回は、私の希望でシンガーソングライターの山崎あおいさんに曲の制作をお願いしました。もともと私が山崎さんのファンで、ソロで活動されている楽曲はもちろん、ハロー!プロジェクトのアンジュルムさんやJuice=Juiceさんに提供されている楽曲がどの曲も素晴らしいので、いつかご一緒したいとずっと思っていたんです。そんな中、今回ダメ元でお願いしてみたところ、ご快諾いただけたので本当に嬉しかったです。私は、山崎さんの美しいメロディーもそうですけど、歌詞の繊細さがすごく好きで、女の子の気持ちや人間の機微を描かれていて素敵だなと思っていたので、事前に打ち合わせをさせていただいた際に、私が個人的に思っていた世の中の恋愛至上主義に異を唱えたいという気持ちをお伝えしました。都市伝説じゃないですけど、たくさん恋愛している方がお芝居が上手くなるとか、芸事が上達するとか、人生が豊かになる…みたいな暗黙の定義というか空気に私は違和感があったんです。もしかしたら、それが私の不器用さなのかもしれないんですけど、お話した内容をすごく反映していただいて、このような楽曲に仕上げていただきました。この曲の中にも、不器用でも真っ直ぐ生きていきたいという思いが込められていて、しかも、かっこいいメロディーに乗せて歌っているので、ライブでも盛り上がる曲になるんじゃないかなと思っています。

――そして、作詞を手がけられた3曲目の「Adaptation」についても聞いていきたいのですが、前島さんはもともと日記を書いたり、文章を書いたりすることがお好きだったのですか?

前島 本が好きだということもあり、書くことへの憧れはずっとありましたし、以前エッセイの連載をさせていただいて、本を出させていただいたこともあったので、素人ながらに書くことは大好きでした。デビュータイミングで初めてリード曲の作詞をさせていただいてから、今までに3曲作詞させていただいています。作詞の実力はまだまだだなと思いますけど、アーティストとして歌唱力を伸ばしながら、これからも作詞力ももっと身につけていきたいなと思っています。今回のリリースタイミングでちょうどデビュー1周年になるので、デビュー曲の「Determination」から始まった旅を1年間どのように過ごしてきたのか?そして、これからどうなりたいのか?という思いを歌詞の中で綴れたらいいなと思って、「Adaptation」の歌詞を書かせていただきました。

――では、まさに今しか書けないというか、今の前島さんの思いがぎゅっと詰まった歌詞になっているのですね?

前島 そうですね。かなり本音を綴っているので、気恥ずかしさといいますか、どう思われるかな?といった不安な気持ちもあったんですけど、応援してくださる方には“誇りの推し”だと思ってもらいたいという気持ちが昔からずっとあったので、前島亜美を見てきて本当に良かったと思ってもらいたい、ありのままにナチュラルに不器用だとしてもそのままの私をお見せして何かを感じてもらいたい、そんな願いも込めて歌詞を書きました。