僕が演じることで生まれる面白さや、志沢匠の愛嬌を出したかった

――まずドラマ『シナントロープ』のオファーがあった時のお気持ちからお聞かせください。

萩原 監督の山岸聖太さんとは何度かお仕事でご一緒していて、そのご縁でお声がけいただきました。山岸さんと原作・脚本の此元和津也さんが組んで、深夜枠でドラマを作るというだけで面白そうだなとワクワクしました。此元さんが脚本を担当したアニメ『オッドタクシー』(21/テレビ東京)も大好きでしたから。主題歌の「ときめき探偵 feat. Le Makeup」が柴田聡子さんとElle Teresaさんのコラボということも含めて、この企画全体に期待感がありました。

――柴田聡子さんとElle Teresaさんの楽曲は普段から聴くんですか?

萩原 お二人とも大好きです。この主題歌によって、ドラマの最後のピースがハマった感があって、シナントロープの世界観が拡張されているなと思いました。

――台本を読んでの第一印象を教えてください。

萩原 最初に全話の台本をいただいたのですが、セリフの言い回しが独特で、全12話を一気に読みました。緻密に伏線を張り巡らせつつ、いろいろな要素を織り交ぜているので、読み応えがありました。

――一見すると気づかない伏線もありますよね。

萩原 台本だとト書きで補足があるので、どういう展開になるのか分かりましたが、パッと映像で見ると、見逃してしまうところもあって、それを見つけるのも楽しいですよね。

――スタイリッシュな映像も大きな魅力ですが、台本の時点で想像できましたか。

萩原 具体的な映像は想像もつかなかったのですが、会話劇なので、こっちから、あっちから、いろんな方向から、いろんなキャラクターが喋るのを考えると、エネルギッシュな映像になるのかなと思っていました。完成したドラマは、おしゃれで洗練されていますよね。いい意味で深夜ドラマっぽいというか。意欲的な深夜ドラマがたくさん生まれていた時代の雰囲気があって、それでいて現代っぽさもあって、そのバランス感覚が好きです。

――萩原さんの演じられた志沢匠は、バーガーショップ「シナントロープ」で働く8人の中で、もっともミステリアスで内面の読めないキャラクターです。

萩原 最初から「不気味」「謎」「無口」といったキーワードをもらっていて、かなりキャラクター性が強いなと台本を一読して感じました。そのイメージ通りにやりつつも、僕が演じることで生まれる面白さや、志沢の愛嬌みたいな部分も出てきたらいいなと考えていました。

――何を考えているか分からないけど憎めないところもあります。特徴的な髪型は指定だったんですか。

萩原 指定でした。イラストもいただいたんですが、初期段階から、あの髪型に決まっていたそうです。決定稿の前から、「パク・セロイ(※韓国ドラマ『梨泰院クラス』でパク・ソジュンが演じた主人公)みたいな髪型だな」というセリフがあって、そういうイメージなんだなと納得しました。

――8人全員が映るカットの時に、志沢のいる場所が常に独特で面白かったです。

萩原 ほとんど山岸さんに指定された位置にいたんですが、半分隠れているような“半身状態”にこだわられていたようです。

――ドラマの大半がシナントロープ内で進むので、舞台のように、ご自身がメインのシーン以外でも、常に画面内にいることが多いですよね。

萩原 ずっとお店の中にいました。メインで会話している人たちに注目するのではなく、ちゃんと店員として振舞わなければいけないので、そこが難しかったですね。「面白すぎてどうしよう」みたいな(笑)。