水上恒司さんのアドリブが毎回ツボだった
――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。
萩原 すごく和やかで、居心地が良くて、素敵な現場でした。

――8人のテンポ感が重要なドラマでもあるので、キャストさん同士の空気感に左右される部分もあったのではないでしょうか。
萩原 そこは先輩の俳優さんたちが上手く誘導してくださったのもあって、いい空気感で本番にも臨めました。
――アドリブかなと感じるセリフも多かったですが、実際はいかがでしたか。
萩原 端々で入れていました。山岸さん的にも、リアルなものが現場で生まれていったほうがいいんじゃないかとおっしゃっていて、みんないろいろやっていました。特に都成剣之介を演じた水上恒司さんが、シーンの終わり際に、必ずその状況にアドリブで一言ツッコミを入れるんですよ。おそらく7割くらい使われていないと思うんですが(笑)。僕的には、それが毎回ツボでした。
――山岸監督の演出で印象的なことはありましたか。
萩原 アドリブの話につながるんですが、山岸さんとしては、みんなの中から生まれたグルーヴ感みたいなものを生かしたいという演出意図があったようで、あまり細かいことは言わないんです。ただ僕の場合は、独特なキャラクターなので、立ち位置から、うなずくタイミングやスピードまで細かく指定されました。感情を出さないように首を動かさないほうがいいという指示もありましたし、ほとんど言いなりでした(笑)。
――自由自在に動くカメラワークも素晴らしいですが、カメラの数は多かったんですが。
萩原 それが2カメくらいで、入念にカメラの動きを打ち合わせしていました。それで役者の細かい動きまで、ちゃんと収めてくれるのでありがたかったです。

――撮影期間はどのくらいでしたか。
萩原 3ヶ月間くらいです。撮影順はテレコで、僕が最初にインしたのは4話の撮影だったので、時系列が混乱することはありました。ただバーミン側のキャラクターは、回を追うごとに感情も大きく変化していきますが、シナントロープの8人は感情を積み上げていくキャラクターが少ないので、そこまで気持ちの切り替えは難しくなかったです。
――完成した映像を見た印象はいかがでしたか。
萩原 映像は綺麗なんですけど、やっていることは全然綺麗じゃなくて泥臭い。すごく原始的なことをやっているというのが、個人的にいいなと思いました。
――最終回の見どころを教えてください。
萩原 細かく伏線が張られているので、それが解消されていく気持ち良さがあります。とにかく謎なドラマで、どの回から見ても謎。だからこそ視聴者の方が嗅ぎ取るドラマという気がしていて、前のめりになって見てもらうと、さらに楽しめると思います。逆に「なんかやってるなぁ」と思いながら流し見でも、会話のやり取り自体が面白いので楽しめるはずです。
