歌詞は自分の中の陰の部分を書いている感覚、メロディーは人と会ったり体を動かしたりしている時に浮かぶもの
――ここから後半戦です。7曲目「おまえらミュート!」からいきましょう。この曲からも相当な怒りを感じましたが…。
八生 めっちゃキレてますよね(笑)。この曲は自分でも挑戦的な歌になったなと思っています。日記にも色々な怒りを書いていたので、SNSで見られる揚げ足の取り合いに突っ込んでみようと思って書き始めた曲です。歌詞も「ぶん殴りてー」とか「スマホ落として割れちまえ」とか、相当ヤバい奴だと思われそうですけど、みんなも絶対そういうこと思っているでしょ?と考えながら、しっかりと書いて歌っています。

――この曲は意外な共感性もありそうなので、反響が楽しみですね?
八生 そうですよね。みんな普通にSNSを使っていますし、そこにスポットライトを当てたので、鬱憤が溜まっている人にたくさん聴いてもらって、鬱憤晴らしをしてもらいたいなと思っています。
――そして、8曲目が「東京迷子」。こちらはどのような曲ですか?
八生 この歌の支柱にあるのは、後悔と懺悔と別れの衝撃です。サビで転調するんですけど、そこで自分が彼を突き放してしまったことに気付いて、後悔して懺悔していくという…思いっきりギアがかかっていくところなので、是非そこに注目して聴いてほしいなと思います。
――ちなみに、タイトルは「東京迷子」ですが、曲自体は高知で作ったのでしょうか?
八生 そうです。高知で作りました。インタビューなどでよく「東京に来ることで曲作りへの影響や刺激がありますか?」と聞かれるのですが、私の場合は歌詞よりもメロディーが浮かぶことの方が多いですね。それをボイスメモに残したり、コードと合わせてみたりしているので、東京に来るとストックが溜まって嬉しいなという感じです。
――都会の景色や人間観察などから歌詞が浮かぶものなのかなと思ったので、そのお話はとても興味深いです。
八生 歌詞は特に高知にいる時に書くことの方が多いですね。作詞は何て言うんでしょう…、人には言えないような、隠したい本音を書いている、自分の中の陰の部分を書いているような感覚です。だから高知の方が落ち着いて書けるのかも知れないです。一方で、友達と遊んだ時や気晴らしで散歩している時、体を動かしている時とかに明るいメロディーが浮かんでくることが多いので、もしかしたら自分でも気付かぬうちに、バランスを取っているのかもしれません。
――ありがとうございます。作詞・作曲術のお話も聞けて良かったです。そして、9曲目は「ターミナル」。とても情景が浮ぶ曲だなと思いました。
八生 この曲はかつて遠距離恋愛をしていた時に、夜行バスに飛び乗って会いに行っていたことを思い出しながら書きました。2人の関係が順調な時は、シートを倒してブランケットをかけて、アイマスクしてネックピローもして万全の状態なのになかなか辿り着かない…といった感じだったのですが、潮時が近いと肌で感じ始めると、「なんでこんな風になってしまったの?」とか色々考え事をしていたらもう着くじゃん!みたいな(笑)。不思議だなと思いつつ、そういうところも表現できたらいいなと思って書いた歌です。

――そして、10曲目の「運命的ヒエラルキー」も八生さんワールド全開だなと感じましたが、この曲も日記に書き留めていたことから生まれたのですか?
八生 日記を色々見直していたら、自分は“羨ましがり”だなと思ったので、そこを書こうと思って作りました。三角形の頂点にいるような人達に向けて曲を書いてきたので、思春期に現れるような凶暴で攻撃的な部分をアルバムの最後の方にギュッと詰め込みたいなと思い、この曲を10曲目に配置しました。
――後半でより攻撃的な一面を見せつつも、最後は「後悔後を絶たず」という曲で終わることでアルバムが締まるというか、グッとくる感じもしました。この曲についてはいかがですか?
八生 この曲は絶対にアルバムの最後の曲にしたいとずっと考えていました。完全に後悔をテーマにした曲なのですが、人生は選択の連続じゃないですか。選択肢の数だけ、分岐する数だけ後悔があると思っているので、すごくネガティブな考え方だと言われたりもするのですが、後悔を消すのではなく一緒に生きていくということをしっかりと表現できたと思っています。覚悟も込めて作りました。
――ありがとうございます。駆け足にはなりましたが、全曲語っていただくことで、八生さんの曲作りや物事の捉え方、音楽への姿勢まで知ることができて良かったです。では、このファーストアルバムを携えて、2026年これからどのような活動をしていきたいですか?
八生 まずは、このアルバムを色々な方に届けたいという思いが強いですし、ライブをとにかく楽しみたい、頑張りたいという気持ちが強いです。普段からステージに立つ前が一番緊張するのですが、最近はその緊張感を持ったピークの状態でステージに立つことが楽しいと思えるようになってきたので、観ている皆さんに何か感じてもらえるようなライブをこれからもしていきたいと思っています。
――さらに先に掲げているシンガーソングライターとしての夢や目標も聞かせてください。
八生 シンガーソングライターとしては長く聴いてもらえる歌を作る、みんなに口ずさんでもらえる歌を作るということが目標です。誰もが名前を知っている、歌も知っているという存在になりたいですし、ワンマンライブも全国ツアーもやりたいですし、大きな会場でライブもしたいです。野望はいっぱいあります。というか、野望ばっかりです(笑)。それらを叶えるためにも、今はライブで自分の持てる力をすべて出し切るという活動をコツコツ続けていくということだと思っています。
――それでは、最後の質問です。曲を作っている時が一番楽しいというシンガーソングライター八生さんの原動力となっているものは何でしょうか?
八生 以前は、うちに秘めていた方が爆発するような歌が書けると思っていたのですが、人と話すことによって新しい気付きを与えてもらうことも多いので、最近は人と話すことが私の原動力になっているのかなと思っています。あとは寝ることです(笑)。
――ありがとうございます。アルバム収録曲全曲について触れたことで、八生さんの色々な一面を知れた気がします。今後の活躍に期待しています。
Information
<RELEASE>
八生 First Album『ハッピーエンドは未配達』
2026.3.26 Release
価格 3,300円(税込)
VPCC-87327
収録曲
1.ユートピアで眠りたい
2.しゅらばんばん
3.大感謝祭!
4.ドリーマーズ
5.オニオンスープ
6.線
7.おまえらミュート!
8.東京迷子
9.ターミナル
10.運命的ヒエラルキー
11.後悔後を絶たず
<LIVE>
【愛知】栄ミナミ音楽祭
日程:2026年5月9日(土)・10日(日)
https://sakaeminami-ongakusai.com/
【石川】百万石音楽祭2026 ~ミリオンロックフェスティバル~
日程:2026年6月6日(土)・7日(日)
会場:石川県産業展示館1~4号館
時間:OPEN10:00 / START10:30
https://www.millionrock.com/
PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:ATSUSHI OINUMA
