初めて会った時からフィーリングが良かった

――お二人の出会いからお聞かせください。

Novel Core 思い返すと奇跡だったと思うんですけど、僕が三軒茶屋を歩いていた時に、たまたま肩がボンとぶつかって。「痛ぇ!」と思って振り返ったら、ギターを抱えた男の人がいて。めちゃめちゃ髪の毛が長くて、顔はライオネル・リッチーに似ていて。直感で「こいつだ!」と思って、オファーしたんですよね。

クマガイ 記憶にございません(笑)。本当の話をすると、ドラムのHibiki(Sato)とは昔からの知り合いで、「Novel Coreって知ってる?」と急に電話がかかってきて。「この日は絶対に空けといて」みたいなことを言われて。「え?Novel CoreってCore-Boyじゃん!」と。ヒップホップが好きだったので、存在は知っていたんですよね。それでジョインしたのが始まりです。

――その時点でCoreさんはクマさんのギタースタイルも知らなかった?

Novel Core そうです。演奏も見たことがなくて、僕が初めてKT Zepp Yokohamaでやった「I AM THE TROUBLE」という公演(2022年6月3日開催)を、バンド体制でやろうと思って。Hibikiとは路上時代からずっと一緒にやっていて、「いつか自分がバンドでやるようになったら必ずうちでドラムを叩いてくれ」という約束をしてから、路上を辞めたんです。その約束を果たすためにHibikiに連絡して、ギターもいるなとなった時に、「誰か紹介してほしいんだけど」と言ったら、「Coreくんのバンドだったら、ロックはもちろんだけど、ヒップホップが好きな人じゃないと無理だと思う。ヒップホップが大好きなギタリストがいるから紹介するよ」と言ってくれて、会う時間を作ってもらいました。しかもご飯に行くとかじゃなくて、1発目からスタジオに来てもらって、僕の曲を何曲か覚えてきてもらった上で、フリースタイルで弾いてもらったんです。Hibikiがドラムを叩いて、クマさんはリフをそのままなぞるんじゃなくて、フリースタイルで弾いてくれて。それをスタジオでやってもらった時に、めっちゃフィーリングが良くて。「これは大丈夫だ」と思って、その日に「メンバーになってください」と直接伝えました。

クマガイ 僕も路上で演奏している時期があって、最近発覚したんですけど、CoreがCore-Boy時代に飛び入り参加してくれていたことがあって。確かに一緒にやった記憶があるんですよ。忘れていたんですけど、そういうのを友達づてに聞いて。だから実は遠からずの存在だったし、ラップバトルに出ている人、路上でもやっている人、めちゃめちゃラップが上手い人というイメージでした。

――ラップバトルもチェックしていたんですね。

クマガイ 僕自身、いろんなジャンルを分け隔てなく聴くタイプだったので、あるタイミングでヒップホップを聴き始めて、めちゃめちゃディグった結果、ちゃんと日本のラップシーンも知りたいと思ったんです。それで調べていくうちに、最近の話題としてCore-Boyが出てきたんです。

――柔軟にヒップホップを聴いているギタリストは珍しいと思うんですが、どういうところでCoreさんはフィーリングの良さを感じたのでしょうか。

Novel Core  Hibikiからクマさんを紹介してもらう前に、「music bar rpmなどのセッションバーで何回か一緒に演奏もしているし、いいギタリストなんだ」という話の流れから、ちょうどその時期はNFLスーパーボウルのハーフタイムショーでドクター・ドレーやケンドリック・ラマーが出たタイミングで。「あれを見て泣いたギタリストなんだ」と説明をされていたんです。それを聞いただけで、「あの映像を見て泣けるってことは、相当ヒップホップが好きなんだろうな」と。ヒップホップサイドに対するリスペクトが強い人なんだろうなと思っていたので、実際にスタジオで会ってみて、演奏はもちろんなんですけど、しゃべってみると人当たりもいいし、初対面から好印象でした。

――クマさんの音楽的なルーツを教えてください。

クマガイ もともとはヴィジュアル系とメタルなんですよ。X JAPANあたりから入って、ヴィジュアル系ではないですけど、L’Arc〜en〜Cielのhydeさんも好きだし、90年代のバンドがめちゃめちゃ好きで。ネオ・ヴィジュアル系が出てきた時期でもあったので、the GazettE、Dなんかも聴いていました。メタルはギターを始めてから、開拓していきましたね。

――ヴィジュアル系やメタル系のバンドをやった経験もあるんですか。

クマガイ やってなかったです。中・高では、ヴィジュアル系やメタルが好きと言っても話が合わないんですよね。だから一人で『Cure』や『SHOXX』といったヴィジュアル系雑誌のメイクコーナーを見ながら、こういうものがあるんだと見よう見まねでやってみたり、髪の毛をアレンジしてみたり、いろいろやっていました(笑)。

――初めてバンドを組んだのは幾つの時ですか。

クマガイ 中学3年生の時に、仲間とコピバンを組みました。当時コピーしていたのはJロックで、ELLEGARDENや凛として時雨、9mm Parabellum Bulletあたりをやっていて。みんなでオリジナル曲も作り始めていたんですが、学園祭ではYUKIとかYUIの曲をコピーするなど、いろんなジャンルをやっていました。

――聴くジャンルがロック以外にも広がったのは、いつ頃からでしょうか。

クマガイ その当時は毎年、好きなジャンルが変化していて、ヴィジュアル系とメタルは大きな柱としてあるんですが、そこからジャズ、90年代のグランジ、ミクスチャーとジャンルが広がっていく中で、高校3年生の時に音楽友達から、「お前、ヒップホップって知ってる?これを聴いてなかったらヒップホップを語れないぜ」という切り口で、5枚のCDを渡されて。それがライムスター、KREVA、カニエ・ウェスト、Nas、2パックだったんです。個人的にカニエ・ウェストの「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」を映像で見た時にカルチャーショックを受けて。「こういうのをやりたかったんだ!」という感覚があって、そこからヒップホップを自分でもディグって、いろいろ聴くようになりました。

――ヒップホップへの傾倒は、ギターのアプローチにも影響しましたか。

クマガイ 僕自身、ギタリストではあるんですけど、ギター自体を一番大事とは思っていない節があるというか。音楽を作ったり聴いたりする中で、ギタリストだからギターを聴くよねというよりも、曲全体がいいものの方が好きだったんです。これは今でも変わらなくて、自分で曲を作る時もギターでは作らないで、鍵盤で作ったりするくらいで。いい意味でギターというもの自体から離れて、音楽と接しているというのがあったので、ヒップホップのサンプリング文化が、当時バンドしかやったことのなかった自分には革新的でした。