ベースレスだったのがクリエイティブに考えられるきっかけになった

――初顔合わせからKT Zepp Yokohamaに立つまでの期間はどれくらいだったんですか。

Novel Core 確か2カ月くらいです。急ピッチでバンドセットでやりたいと言ったので、本当に時間がなくて。KOTAくんも急にマニピュレーションをやらなきゃいけなくなって。当初はHibikiがバンマスだったので、Hibiki主導でアレンジを作っていったんですけど、僕もバンドを組んだ経験がないし、右も左も分からない状態でクマさんに参加してもらって。気づいたらステージの上だったので、今見返すと笑えるくらい恥ずかしい(笑)。

クマガイ 恥ずかしいよね。

Novel Core アレンジも演奏も僕のパフォーマンスもすべてにおいて笑えるクオリティではあったんですが、ステージがデカかっただけで、一からバンドを組むのに似ているのかなと。それを原体験として作れたのは良かったですね。

――クマさんが路上でやっていた時に、他のラッパーとセッションすることもあったんですか。

クマガイ ありました。バンドセットでライブをやりたいって人たちと一緒にやったり、セッションバンドという形でラッパーの人たちが集まって、オープンマイクスタイルでやったり。生バンドとして、ヒップホップやラップと触れる機会は多かったです。

――DJとライブをしたことはあったんですか。

クマガイ KOTAくんが初めてでした。ただマニピュレーションのサポートがあってのライブ経験は何度かあったので、違和感はなかったですね。クラブでヒップホップをちゃんと回している人がDJ兼マニピュレーターとして入っているのは親密感があるというか、そんなに遠いものじゃない気がして、すんなりいけましたし、すぐに仲良くなれました。

――ベースレスというバンド編成はどう思いましたか。

クマガイ めちゃめちゃ挑戦的だなと思いました。最初のKT Zepp Yokohamaの時から今まで、ベースが欲しいなと思う局面はいっぱいあったんですけど、逆にベースがいないからできることというのもめちゃめちゃあって。たとえば楽曲的に自分がこういうアプローチをした方が、もっと迫力が出ると。それをベースの代わりではなく、ギターのアレンジメントとしてクリエイティブに考えられるきっかけになったんです。それが、自分がやりたいことや、自分のソロプロジェクトにも全部生きてくるようなものになったと思います。

――前回の連載で、ライブにベースを入れる可能性もあるというお話がありました。

Novel Core ベースを迎え入れるために、THE WILL RABBITSとして強くならなきゃいけない部分がいっぱいあって、そこと向き合わなきゃいけないタイミングが来ちゃったという感覚に近いのかなと。もちろん満を持してベースを入れようというのもあるけど、楽曲が生のベースを欲しているというか、ライブでやる時に生のベースじゃないと、ロー感の量もそうだし、ドラムとの調和の部分もあるし。ドラムフレーズも、ベースレスの編成で、もともとシーケンスではメタルっぽい細かいキックのパターンを踏んでいるものを打ち込みで作っているんですが、ライブではシングルのパターンに叩き替えて、タムとかに振ったとしても、どうしても隙間が生まれるので、そこを本来は生のベースで埋めないといけない。それを今まではギターだったり、うっちー(Yuki Uchimura)がサブを弾いたり、アレンジ面でクマさんを中心にバンドの中身を整理して、どうにかやってきたものを、もう一回ちゃんと整理し直して、ライブアレンジを見直して、バンドとしてのグルーヴをもっと強くしたら、むしろベースを入れる準備が整うんじゃないかという感じが今はしています。

クマガイ そうだね。この3~4年やってきたことが一区切りできると思うので、変わるとしたら今が一番いいタイミングだなと。今ベースで考えている後藤マサヒロも、6年くらい前からジャムセッションをして、ライブしたり、レコーディングをしたりと一緒にやってきているので、どういう感じがいいかというイメージは湧き出てくる。その上で、このままじゃヤバいかもという感覚もあるし、今のタイミングしか考えられない、今やらなきゃダメみたいな1年になりそうな気がしています。

――話を戻して、KT Zepp Yokohama公演の前から、THE WILL RABBITSの構想はあったのでしょうか。

Novel Core 活動初期からハウスバンドを持ちたいと思っていて。路上をやっていた頃も、その時々に集まったミュージシャンたちとバンド形式でやっていて、ベーシストもギタリストもドラムも、当時の渋谷や新宿の路上シーンには、どのバンドに行っても活躍するようなトップクラスのミュージシャンたちが揃っていたんです。たとえばスーパーベーシストとして引っ張りだこの葛城京太郎くんもいました。学生時代から自分でバンドを組みたいとか楽器をやりたいという気持ちもあったし、ロックを聴いて育ってきているので、そこに対して欠落した青春を取り戻す的な僕の中のテーマとして、バンドが欲しかったというのは当時からあると思います。