感覚的にいいと思っていたものをロジックで説明できるようになった

――クマさんとの出会いで、よりバンドのイメージが明確になった部分はありますか。

Novel Core クマさんがジョインして、Hibikiとクマさんという2軸があって、もともともといたKOTAくんがマニピュレーションをやるようになって新たな軸となる。この3軸ができた時に、自分たちにしかないスタイルのバンドを作るということへのイメージが膨らみました。バンドって、みんな同じ音楽が好きだったり、学校の同級生で一斉にスタートしたりということが多いと思うんですけど、THE WILL RABBITSの場合は、僕がソロで活動していたところに、最初はほぼサポートに近い形で始まった。でもそれぞれが違うルートで、違う経験値を持っていて。Novel Coreのプロジェクトで集まった時のパワーの出し方は、他のバンドにはない気がして、そこに希望を感じました。

クマガイ それぞれが違うタイプのルーツを持っている先人で言うと、もともと父親が大好きで聴いていたDEAD ENDというバンドのメンバーが、みんなちょっとずつ毛色が違うんですよ。そういうバンドのあり方を知っていたので、Coreから声をかけてもらった時に「面白いじゃん」と、すーっと入っていくことができました。

――迷いは一切なかったんですね。

クマガイ そこまで当時は忙しかったわけでもないですし、何より「チームとしてやっていきたいんだ」ときちんと言える人は信頼できるなと。音楽業界の中でも、サポートミュージシャン、セッションミュージシャンという存在は、やや切り離されていることが多いんです。金銭面だったり、レーベルの事情だったり、いろいろありますからね。それを最初の1発目で言ってくれたので、「Novel Coreという男は信頼できる奴だ」と、その時点で感じて。この数年間、その信頼感を一切裏切ることなく、さらに新しいチャレンジをしているんですよね。そもそもCoreは出会った時から、感性や自分の中にある哲学に確固たるものがあって、普通はないがしろにする部分も、絶対にないがしろにしない。それが音楽の作り方にも表れているんです。それでいて革新的なことを常に目指しているのはすごいなと思います。

――Coreさんのソングライティングについては、どう感じましたか。

クマガイ 作り方に共感する部分があって。僕も自分で曲を作る時は、いろんな方法を試してみるんです。なんとなくトラックを作ったり、リフから始めたり、メロディーから始めたり、言葉を大事にしたり、音を大事にしたり、そういうフレキシブルな考え方がCoreにはあって。僕自身も、自分のやり方は間違っていなかったんだなと勇気づけられた面もありました。

――CoreさんはTHE WILL RABBITSを結成したことによって、曲作りに変化はあったのでしょうか。

Novel Core 2つあって。1つはクマさんが言ってくれたようなことで。音楽を始めてから、僕の中で鳴っていたもの、見えていたものを、自分の技術のなさで表現・再現できない時間が長かったんですよ。そこに対するフラストレーションがなくなりました。クマさんたちの登場によって、「ここにこういう音があったらいいのに」「こういうフレーズから始まったらいいのに」というイメージを、クマさんたちが吸い上げてくれた上で、自分たちのエッセンスや知識を乗っけて跳ね返してくれることで、生まれるものが増えました。

もう1つは、今もそうなんですが、僕は感覚頼りで音楽を作ってきていて。自分の感性とか、耳で聴いたもの、聴こえるもの。その裏には、いろいろなロジックがあるんですが、そういうのを一旦無視して、聴覚的にいいと思うか、そう思わないかだけで判断して、ものを作ってきたんです。それは映像もしかりで。そこにプロとして楽器や楽曲制作を生業に長年やってきたミュージシャンたちとの会話が増えたことで、なぜ自分がこれをいいと思っていたのかがロジックでも説明できるようになった。感覚的に「これはいいな」「これはなんか引っかかるな」と思っていたものが、ちゃんとロジックで証明できるんだということが分かったんです。特にクマさんとの会話の中では、それを感じることがめちゃめちゃ増えました。裏付けができたことで、より自分のクリエーションに迷いがなくなってきたんです。「合っているのかな」と思いながら作っていたものが、「自分の感覚を信じて大丈夫。ロジックはみんながバックアップしてくれる」という考えになりましたね。

――結成当時から、音楽的なコミュニケーションも円滑だったんですね。

Novel Core 僕自身、聴くジャンルが広いのもあって、すべてを分かってもらえることが少なかったんですが、クマさんに関しては、「この曲は、こういう世界観で」とか「このアンビエント感が欲しいんだよね」みたいな話をした時に、共通で思い浮かぶものが必ずあるのがデカくて。同じ言語をしゃべっている感覚が最初からありました。

過去の連載記事はこちら
https://strmweb.jp/tag/novelcore_regular/

Novel Core

東京都出身、25歳。ラッパー、シンガーソングライター。SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル “BMSG” に第一弾アーティストとして所属。高いラップスキルと繊細な歌唱技術を保有しながらも、等身大の言葉で紡ぐ飾らない表現力とパワフルなライブパフォーマンスが話題を呼び、幅広い世代から強い支持を集める。ヒップホップとロックを軸に、様々なサブカルチャーを融合させた独自のミクスチャーサウンドは、ジャンルに縛られない自由な表現として高い評価を獲得。これまでに発表した全てのアルバム作品が主要チャートで日本1位を獲得するなど、その名を確かなものとしてきた。2024年1月、日本武道館での単独公演を完全ソールドアウトで成功させ、翌2025年2月には自身初となるアリーナ単独公演を決行。大型公演に限らず、全国各地のライブハウスを巡るツアーも精力的に展開し、圧倒的なライブ力と真摯な姿勢でファンダムとの強い信頼を築いている。また、ライブの総合演出をはじめ、衣装のスタイリングからアートワークのデザインに至るまで、全てのクリエイティブにおいて一貫してNovel Core自身がディレクションを担っており、その鋭い感性は音楽シーンの枠を超えて高く評価されている。FERRAGAMOやETROなどのトップメゾンのモデルにも起用されるなど、ファッション業界からの注目も高く、アーティストとしての表現領域をさらに広げている。音楽、ファッション、アートワークなど、多種多様なカルチャーへの愛とそれを裏付ける実力で、Z世代を牽引する新世代ミクスチャーアーティスト。

クマガイユウヤ

1993年東京生まれ。ギタリスト、プロデューサー、作編曲家。
現在、東京を中心に日本語・英語・中文の3ヶ国語を活かし、アジア圏を拠点として数々のサポート演奏やレコーディング、楽曲提供など、国境を越え多岐に渡る音楽活動を行う。
ソロプロジェクト・THE NAAVを立ち上げ2024年に初のワンマンライブ開催、翌年春に東名阪ツアー、秋に5箇所を回るツアーを行いこれまでに2枚のEPを制作。芥川賞候補作家·詩人の向坂くじらとのユニット・Anti-Trenchにて、ワンマンライブ、イベント出演、3枚のアルバムをリリース。
Novel Coreのハウスバンド·THE WILL RABBITSのバンドマスター兼ギタリストとしてコーラスやダンスだけでなくステージアクティングに精通しているプレイスタイルで活動。また長年HALLCA(ex.Especia)の楽曲制作やバンドマスターとしてライブに参加するだけでなく、アレンジや演出も行う。近年ではjo0jiのバンドにて演奏のほか、呪術廻戦EDテーマ曲のレコーディングに参加。戸塚祥太(ABC-Z)のバンドメンバーに起用や中日新聞140周年記念映像に楽曲提供を行うなど、数々の演奏活動を行う。また、BEAMSの40周年記念企画「TOKYO CULTURE STORY」のモデルに抜擢、ファッションブランド・SHOTA HIYAMAに2シーズン起用されるなど、モデルとしても起用されるなど、独自の世界観・Kumagaismを理念とし表現活動を広げている。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI