緊張感というのは、力みで作るものではない
――黒木さんと共演した印象はいかがでしたか。
水上 すごく力が抜けていらっしゃいました。決して派手ではなく、むしろその逆のところにいながら、米良の復讐が物語の中でちゃんと成立しているんですよね。他の役者の方が演じていたらどうなっていたかな……というのは考えたくもないくらい、米良という存在を魅力的に演じていらっしゃいました。

――緊張感のあるシーンが多かったですが、カメラが回る直前まで力が抜けているということでしょうか。
水上 直前というか、ずっと抜けているんです。緊張感というのは、力みで作るものではないですからね。僕自身は力みがちな人間なので、さすがだなと。演出家の加藤を演じる佐々木(蔵之介)さんも、脚本家の垣内を演じる小池(栄子)さんも、やっぱり力が抜けていて、お三方からは学ばせていただきましたし、たくさん刺激を受けました。
――事前に、俳優さん同士で何か話し合うことはありましたか。
水上 なかったです。僕自身が、そういう議論をあまり望んでいないんです。やるべきだとしたら、必ず俳優以外の第三者がいないと成立しないと思っていますし、俳優同士だけでやるのは相応のリスクを伴うはずです。それがうまくいった時は、ものすごいエネルギーを生み出すとも思うんですが、僕はそういうことから距離を置いています。

――劇中の夛田と米良のように、俳優同士が二人きりで読み合わせをするのはいかがですか。
水上 僕がそれをできないと思い込んでいるのは、学校のような教育機関を経ないまま、俳優としてお金をいただく立場になってしまったからなんです。だから、共通言語があればできるのではないかなと思います。
