唐田えりかさんは何も喋らずとも立っているだけでエネルギッシュ
——今回お二人が出演された映画『チルド』は架空のコンビニを舞台とした長編ホラー作品となります。作品に対する印象をそれぞれお聞かせください。
染谷将太(以下、染谷) 最初に脚本を読ませていただいたとき、ホラー映画という前置きがありつつも、コンビニを舞台にした、現代を象徴するような新たなアプローチに非常に共感しました。ホラーでありながらも人間という生き物を深く掘り下げている、魅力的な物語だと思います。
唐田えりか(以下、唐田) 私も脚本を初めて読んだとき、「面白い!」と思って、そこでまず興奮しました。自分がふだん利用しているコンビニという場所を舞台に、いろいろなことが起こっていくさまがすごく面白かったですし、怖さの中にある滑稽さ、おかしさみたいなものもとても好みで、わくわくしました。

——染谷さんは、コンビニ店員であり、どこか自分を殺しながら無感動に日々を生きている堺を演じています。年齢的にも等身大のキャラクターを演じるにあたって、大事にされたことや、共感できた部分などがあれば教えてください。
染谷 堺という人物は「無」というか、周りで何が起きても自分は何もしないし、それをしっかり受け止めもしない。触れるでもなく、触れないでもないという、ある種の器用さがある人間だなと感じました。自分を冷静に保っているという部分は、僕が現場にいるときのスタンスに似ている気がします。なるべく緊張しないために、どちらかというと「無」に近い状態でいる。そういう“逃げているようで逃げていない”微妙なスタンスには共感できました。ただ、映画の中の堺は、システム化された世界の中でずっとその状態のままで生きていくんです。そこは自分とは違いますし、ある意味で恐ろしい人間だなとも感じながら演じていました。
——染谷さんの「現場で無になる」というスタンス、唐田さんは近くで見ていて感じる部分はありましたか?
唐田 常に、ですかね(笑)。
染谷 役柄のおかげで、よりそう見えたのかも(笑)。
唐田 そうかもしれません。ただ、私の中でもまだ染谷さんを掴みきれていないところがあって、本当に不思議な方だなという印象です。

——唐田さんは、染谷さん演じる堺とは対照的に意志が強く、夢を叶えるためにコンビニでアルバイトを始める美容専門学生・小河を演じています。この物語においては、少し異質な存在ともいえるキャラクターです。
唐田 本作のキャッチコピーにもある「生きながら死んでいる」という感覚は、たぶん現代人の誰しもが持っているものだと思うんです。だからこそ、脚本を読んだ段階で、小河という意志をしっかり持っている人間が、この物語にスパイスを与えていかなければならないと、まず考えました。役と自分がリンクしているなと感じたのは、周囲に対して自分の意見をしっかり言うところ。自分で考えて言葉にするというところは私とも似ているなと思ったので、そういった共通項を自分の中で膨らませながら、小河というキャラクターに挑みました。
染谷 唐田さんは何も喋らずにそこに立っているだけでも、すごくエネルギッシュな方なんです。その力強さが小河とも見事にリンクしていて、本当にこの世界を変えにきた人に見えました。だからこそ、彼女のラストシーンを観たときは、「あんなに熱かった人が……」と、その落差が余計にショックでした。
唐田 私はそのシーンを観たとき、ちょっと笑っちゃいました(笑)。
