染谷さんはご自身の延長線上で喋るようにお芝居をされている

——先ほど「立っているだけでエネルギッシュ」というお話がありましたが、染谷さんから見て、現場での唐田さんの佇まいはどんなところが印象的でしたか?

染谷 瞬発力がすごいというか、自然体で現場に馴染んで佇んでいるのに、知らないうちに役に入り込んでスイッチが入っているんです。本当に不思議で、面白い方だなと。そういった唐田さんの感覚に触れて、自分もただの「無」になるのではなく、そんな風に自然体でいられたらなと思いました。自分は完全にセパレートしていて、本番が始まった瞬間に役に切り替えるタイプなので。

唐田 今のお話を聞いて、初めて「分けているんだ!」と驚いたくらいです。染谷さんは、こちらから見ていると常に役のままというか、「ふだんの染谷さんもこうなのかな」と思ってしまうほど自然でした。

——撮影中、それを実感した瞬間などはありましたか?

唐田 ファミレスでお話しするシーンですね。そのときの染谷さんのお芝居が本当にすごくて……。なんて言うか、ご自身の延長線上で喋るようにお芝居をされているんです。その「お芝居」と感じさせないナチュラルさがすごすぎて、私も染谷さんのトーンに合わせるようにお芝居をしていましたし、勉強にもなりました。

——さらに本作では、コンビニオーナー役の西村まさ彦さんの“怪演”も強烈なインパクトを残しています。現場で間近にそのお芝居を体感されて、いかがでしたか?

染谷 なんて言うんですかね……唯一無二の恐怖感というか。何を考えているかわからない、得体の知れない怖さがありました。

唐田 西村さんのお芝居は、笑っちゃうくらい怖かったです。ご本人はすごく面白い方なんじゃないかなと思っていて。撮影期間が一週間ほどしかなくて、あまり深い話まではできなかったんですけど、どこかチャーミングな印象もありました。だからこそ、役を離れたプライベートな一面ももっと知りたかったです。

——作品全体がホラーテイストなので、現場も同様に空気が重く、緊張感があったんでしょうか?

染谷 逆に現場はすごく穏やかで、みんなの笑い声が絶えない楽しい雰囲気でしたね。岩崎(裕介)監督も現場を和ませてくださる方ですし、スタッフさんも同世代が多かったので。和気あいあいと楽しくモノづくりをしている空間、という感じです。

唐田 変な緊張感みたいなものはなくて、逆に言えば無言でも大丈夫なくらい、空気感が似ている人が集まっていたような気がします。

染谷 現場のチームも監督が信頼してずっと一緒に仕事をされている方々で、こちらも初めてという感覚がないくらい、活き活きとしていました。

——単なるホラーにとどまらず、現代社会や人間の深い部分を抉り出すような、多面的な魅力を持つ本作ですが、映画の魅力を改めて一言ずついただけますでしょうか。

染谷 ホラー映画ではあるんですけれども、余白が多い作品でもあります。何に恐怖を覚えるかも、たぶん観る人によって全く違っていて、実際にいただいた感想も本当にバラバラなんです。爆笑する方もいれば、恐怖を感じる方もいるし、時代性や社会性を強く読み解く方もいる。どんな視点からでも間違いなく楽しめる仕上がりになっていますので、ぜひ自由に楽しんでいただけたら嬉しいです。

唐田 私は初号試写のときに、声に出して笑ってしまうくらい楽しく観させていただきました。見どころは……ちょっと一言じゃ難しいですけど、私はサラダチキンを見たら、あの染谷さんの顔がフラッシュバックするようになっていますし、たぶんみなさんもそうなるんじゃないかなって思っています(笑)