お芝居の現場で何らかの役割を自分が背負って、それが仕事として続けられたら嬉しい
——染谷さんは小学生から、唐田さんは高校生から芸能活動を始められていますが、学生時代、お仕事以外で打ち込んでいたことはありましたか?
染谷 打ち込んでいたことは……全然ないです(笑)。
唐田 子役からずっとお仕事を続けられているんですよね。
染谷 当時から仕事が楽しかったので、ほかのことには打ち込めなかったです。やろうとしたことはいろいろあったんですよ。バンドを組んでみたりとか。でも、どれも全然続かなかったです。

——仕事が忙しすぎてできなかったわけじゃなく、空いた時間もお芝居のことに集中したかった?
染谷 そうですね。休みがあっても一日中映画館にいたり……。文化系でしたね(笑)。
——唐田さんは?
唐田 打ち込んでいたこととは少しズレてしまうかもしれないですけど、「いかに放課後を楽しむか」ということに全力を注いでいました(笑)。
染谷 素敵ですね。
——それは仕事の息抜きとしての側面もあったんですか?
唐田 多少はあったかもしれないです。ただ、高校2年生で事務所に入ってはいたものの、お仕事を集中的に始めたのは卒業後から。なので、普通の学生として学校生活を人並み以上に楽しんだという実感の方が強いですね。

——お二人ともキャリアを積み上げていく中で、さまざまな作品にご出演されていますが、俳優として真剣にこのお仕事と向き合おうと思ったきっかけや意識が変化したターニングポイントはなんだったのか、教えていただけますか?
染谷 自分は、中学2年生のときに出演した『14歳』(07)という映画です。それまでも映画が好きでよく観ていたんですけど、どちらかと言えば好みがわりかし偏っていたんですよ。でも、『14歳』に出たときに、それまであまり観てこなかったジャンルの映画を試写で観る機会があって。「映画っていろいろあるんだな」と、そこから広く観るようになって、より映画が好きになったんです。もともと親の影響で映画が好きになってこの仕事に就いたので、子供のときはそんな「仕事」っていう感覚でもなかったんです。でも、その経験を経て、別に役者じゃなくてもこのお芝居の現場で何らかの役割を自分が背負って、それが仕事として続けられたら嬉しいなって思うようになりました。
唐田 私は濱口竜介監督と出会ってからです。それまでは正直、お芝居をするということがよく分かっていなくて。濱口さんにも「役作りって何をすればいいんですか?」と聞いてしまうような段階からのスタートでした。でも、あの現場を経験したときに、それまでどこかで「お芝居って力を入れて頑張らなきゃいけないものだ」と思っていた自分の中の感覚が変わったというか。もちろん、頑張らなきゃいけないことには変わりないんですけど。
——自分を偽らずに、ありのままの自分を見せることも大事なんだと。
唐田 その現場を通じて「お芝居って、お芝居をしなくていいんだ」と思えたことが自分の心をすごく楽にしてくれました。そこから、お仕事に対する意識も変わっていった気がします。
Information

『チルド』
2026年7月17日(金)よりテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル梅田ほか全国で公開
出演:染谷将太、唐田えりか、西村まさ彦、くるま、長島竜也
監督・脚本:岩崎裕介
プロデューサー:林健太郎、下條友里、井上淳
企画・プロデュース:NOTHING NEW
制作プロダクション:東北新社
配給:NOTHING NEW
©︎『チルド』製作委員会(NOTHING NEW・東北新社)
都内の某コンビニ「エニーマート倉冨町7丁目店」。コンビニ店員の堺(31)は、日々を無感動に過ごしていた。厳格な店長・今井(44)に在庫管理のことで叱責され、同僚の室田(33)や芳賀(53)と軽い世間話を交わすものの、その会話には仕事や将来への漠然とした不安、社会に対する無力感が滲む。マッチングアプリで女性と会話することで孤独を紛らわそうとするが、どのやり取りも心の空白を埋めるには至らない。そんな中、新人アルバイトとして小河(22)が採用される。美容専門学校に通う彼女は、厳しい環境の中でも美容師になる夢を持ち、前向きに働こうとするが、次第に店の異様な秩序と閉塞感に圧倒されていく。
染谷将太
1992年9月3日生まれ。東京都出身。7歳で子役として活動を開始、9歳で『STACY』(2001年/友松直之監督)に出演し映画デビュー。『パンドラの匣』(2009年/冨永昌敬監督)で長編映画初主演。『ヒミズ』(2011年/園子温監督)で第68回ヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞。主な出演作に『寄生獣』(2014年/山崎貴監督)、『バクマン。』(2015年/大根仁監督)、『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』(2018年/チェン・カイコー監督)、『爆弾』(2025年/永井聡監督)、『廃用身』(2025年/𠮷田光希監督)など。映画『国境』(2026年クランクイン/井筒和幸監督、原作:黒川博行)では伊藤英明とダブル主演が控えている。
唐田えりか
1997年9月19日生まれ。千葉県出身。2015年に俳優デビュー。映画『寝ても覚めても』(2018年/濱口竜介監督)でヒロインを務め、同作は第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品。主な出演作に『アスダル年代記』(2019年)『死体の人』(2023年/草苅勲監督)『朝がくるとむなしくなる』(2023年/石橋夕帆監督)『ナミビアの砂漠』(2024年/山中瑶子監督)『海辺へ行く道』(2025年/横浜聡子監督)『恋愛裁判』(2026年/深田晃司監督)など。Netflixシリーズ『極悪女王』(2024年)に出演。2026年はドラマ『102回目のプロポーズ』『君が死刑になる前に』に出演。
PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TETSU TAKAHASHI,HAIR&MAKE:AKEMI EZASHI (mod’s hair) ,STYLIST:AKIRA MARUYAMA
