やりたいことをやっているはずなのに追われているようなもどかしさが重なった

――ミュージカル『ETERNITY(エタニティ)』で演じるのは1960年代の伝説的なグラムロックスター「ブルードット」です。これまでグラムロックを聴くことはありましたか。

小池徹平(以下、小池) 昔から好きで聴いていましたし、演出の河原雅彦さんが大のグラムロック好きで。2017年のミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』でご一緒したときに楽屋でもグラムロックが流れていました。一口にグラムロックと言ってもアーティストによって音楽性は様々ですが、体の中で熱くなってくるようなイメージがあって。BGMとしてもいいし、舞台の本番前などに聴くと、気持ちを滾らせてくれます。

――今回のオファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか。

小池 オファーをいただいたときは、どういうお話なのか、いまいち分からなくて。韓国で再演をやっていたので、今年の1月頭に河原さんと一緒に観に行かせていただいて、そこで初めて作品の全貌を知りました。ミュージカルではありますが、どちらかというとライブに近い作品だなと感じましたし、新しいチャレンジになりそうだとワクワクしました。

――初めて台本を読んだときは、どのような感想を持ちましたか。

小池 過去と未来が交差して、時代を超えて音楽でつながっていくようなファンタジー要素と、音楽を残して宇宙へ届けたいというSF的な要素がある中で、グラムロックの世界的スターという華やかな表の顔の裏に、生い立ちを含めてブルードットの強烈な孤独感が描かれていると感じました。音楽や衣装を派手にまとっているんですが、それと相反するものを抱えているんですよね。ロックスターとして強く見えるけれど、ものすごく壊れやすくて繊細な面もある主人公だなと思いました。

――ブルードットを演じる上で、どんなことを意識していますか。

小池 ブルードットには世間に忘れ去られてしまう恐怖感があって、音楽を残すことでその孤独から救われたい、人々からの愛を求めているというメッセージが込められていると感じます。だから、ロックスターというよりも、弱い部分を大事に演じていきたいと考えています。

――小池さん自身、過去にWaTで音楽活動をされていましたが、ブルードットに共感する部分はありますか。

小池 全く同じ悩みがあったわけではないんですが、曲を作らなきゃいけないというプレッシャーやチャレンジ、世間から自分たちの音楽がどう思われるのかという不安のようなものは少なからずありました。何かを生み出さなければいけないという追い詰められる感覚、やりたいことをやっているはずなのに追われているようなもどかしさはブルードットと近しいものがあったので、そういう部分は自然と重なってくるのかなと思います。

――「もどかしさ」は、どういうところから生まれたのでしょうか。

小池 そんなに長く音楽活動をやっていたわけではないんですが、年齢とともに、自分たちがやりたいことと求められることが変わってくるということのもどかしさですね。書きたい曲を書くだけではなくなってくる感覚というか。それがブルードットと似ているかは分かりませんが、好きなことを音楽として始めたのに、それがだんだん苦しくなってくるという経験はありました。

――『ETERNITY(エタニティ)』の音楽にはどんな印象をお持ちですか。

小池 グラムロックというジャンルに縛られていなくて、ブルードットが宇宙に残す音楽へのチャレンジも、いろんなことを試しているような自由な印象があります。全曲、6人編成のバンドによる生演奏という贅沢な構成で、クラシックの要素も入っているので、自分にとっても大きなチャレンジです。

――これまで数多くのミュージカルに出演されていますが、ここまでライブが重要な役割を果たす作品の経験はありましたか。

小池 初めてです。曲数も20曲以上あって、濃密な時間を突っ走るような舞台になるので、エネルギーの消費量はかなりのものになるんじゃないかと思っています。お客様もブルードットの観客になったような感覚で、客席も含めて一体感のある演出になるでしょうし、回を重ねるうちに、日本版ならではのノリのようなものが生まれてくるとうれしいですね。