「Eastward Westward Tour 2023」は、久しぶりに親戚に会いに行くような気分でいる

――「東へ西へ」はCMのイメージにピッタリなサウンドでした。

LEO 事前にCMが太陽が沈み切らないマジックアワーのイメージと聞いていたので、スモーキーなロックとドライブ感を注入しようと意識したかもしれません。

――2曲目の「Comet」はいかがですか?

LEO 隕石のような衝撃的な出会いを歌った曲で、ストレートなバンドサウンドです。オーバープロダクションではないものに適していて、「東へ西へ」と世界観がマッチするんじゃないかなと思っています。

――ライブ映えする曲ですね。

LEO もうひとつの新曲「Slug Trails」とは対照的で、明るくてポジティブな曲です。「Slug Trails」のリフはいつか形にしたいなと思い、一年間ぐらい温めていたんです。その間に自分が影響を受けたバンドの要素を肉づけしていきました。

――曲のイメージをバンド内で共有することはありますか?

LEO あります。特にギターの夏彦とベースのシゲクニは世代が一緒で、高校時代に聴いていた音楽が似ているので伝えやすいですね。たとえば、「東へ西へ」もシゲクニに「このベーシストの、こういうフレージングみたいに」と言えば、すぐ分かってもらえましたから。

――4曲目はインディーズ時代から歌っている「Tokyo Lights」のライブバージョンです。

LEO ボーナストラックとしておまけ的な感じで加えました。2006年に出した『CITY FOLK』というアルバムに入っている曲で、ライブでずっと演奏し続けている曲です。Kimonos(向井秀徳・ZAZEN BOYSとのユニット)として2016年に録り直しましたが、LEO IMAIとしてのアップデートした音源はなかったので収録しました。

――6月からは東京・大阪・福岡の三都市を巡る3年8ヶ月ぶりのツアー「Eastward Westward Tour 2023」が始まります。

LEO 前回のツアーはコロナの直前の2019年にやった「大都会ツアー」ですが、もっと昔に感じます。今回、行く東京と大阪はよくワンマンをやっている馴染みのあるライブハウスなので、久しく会ってない親戚に会いに行くような気分です。福岡は初めてのライブハウスですが、大阪と福岡は特にお客さんが熱くてフレンドリーなので楽しみにしています。

――学生時代の話をお聞きします。小中とロンドンで生活されていたそうですが、日本に来たのはいつ頃ですか?

LEO 14歳で中学3年生の時です。

――音楽を始めたのはいつ頃ですか?

LEO 子どもの時に習い事としていろいろやっていました。ピアノは長く続きましたが、思春期に入ったらロックミュージックにしか興味がなくなり13歳の頃に辞めました。今の音楽を始めたのは、高校1年生の時にシゲクニに出会ったことが大きいですね。当時、彼はすでに宅録をしていて、それに影響を受けました。

――バンド演奏よりも、曲作りに興味を持たれたのですね。当時は珍しかったのでは?

LEO そうかもしれません。私はミレニアム世代の先駆けぐらいですから、ガッツがないんですよ。ミレニアム世代以前の人は頑張ってバイトして楽器を買って、練習しているイメージがありますが、私の世代ぐらいからソフトにのめり込んで音ばかり聴いて。ライブに行くよりも家でCDを聴いていたい人が増えたように思います。実際、私はそういう少年でしたから。

――ライブに足を運ぶことはあまりなかったですか?

LEO 特別観たいものがあれば行くという程度でした。

――『6 Japanese Covers』でも「夏の日の午後」をカバーされているeastern youthもこの頃に聴かれたのですか?

LEO そうです。初めて好きになった日本のバンドです。

――eastern youthのどこに惹かれましたか?

LEO シンプルにカッコいい!たまたま深夜のテレビを観ていた時にeastern youthの「夏の日の午後」のプロモーションビデオが流れていて。すぐに渋谷のディスクユニオンにCDを買いに行きました。

――当時は独学で曲作りをされていたのでしょうか。

LEO 自分でマルチトラックレコーダーを買いそろえたけど、機械音痴なので上手く記録することできなかったんです。それでロンドンの大学に通っていた時に、楽器屋に「バンドメンバー募集」の貼り紙を見つけて連絡してみたら、別の大学に通っているアミールという名前のマレーシア人の留学生で、音楽制作ソフトを使っていろいろ録音していたんです。アミールと組んで、彼がエンジニアリング&プロダクションとギター、私が作曲と歌担当みたいな感じでやっていました。

――なぜ、ロンドンの大学を選んだのですか?

LEO 選択肢がそれしかないように感じました。まず、アメリカは接点がないし、学費も高い。日本の大学は、日本の高校を出ていないから、それも難しい。ロンドンは馴染みもあるし、いっぱい遊べるという期待もありロンドン大学に行きました。