自分に合った仕事を引き寄せる秘訣は、やりたいものを選択する勇気を持つこと
――舞台の仕事に魅力を感じるようになったのはいつ頃ですか?
ソニン 最初は、ドラマや映画など映像の仕事をしていたのですが、舞台のオファーをいただけるようになり2度目の舞台を経験した頃に、映像のお芝居では感じなかった達成感を感じて「これは面白い!」とハマっていくようになりました。でも、舞台と他の仕事を並行するのが難しかったので、「舞台に集中したい」と当時の事務所の社長さんにお願いして。2007年くらいの時です。
――当時から、ミュージカルをやりたいと思っていましたか?
ソニン 出演し出してから、周りから「ミュージカル、合ってるよね」と言われて「そうなのか。合うのか」と徐々に自覚するようになり、後に自らミュージカル含む舞台に、全てを注ぎたいと思うまでになりました。
――デビュー当時から歌唱力の高さに定評がありましたが、ミュージカルで歌う時は歌い方を変えていますか?
ソニン 私自身は自覚がなくて、いまだに昔の癖が取れないなって思いながら歌っています。「楽譜通りにピッチを外さず」だけでなく、作曲家や演出を理解して、役に合わせて歌い方を変えていくのが役者に求められていることだと思っているので、ミュージカルだからこうじゃなきゃいけないという概念は個人的にないと思っています。
――大きな話題を呼んだ「大病院占拠」(日本テレビ)を始め、最近はドラマにも積極的に出演されています。
ソニン 舞台にとって「知名度がある」ということが武器になることもあります。舞台一筋になってから、長年経験を経て気づきました。メディア性のある人になるためには、舞台以外のことにもアプローチしていかないといけない、と。15年前、舞台に集中するために決断して離れていましたが、演技を始めるきっかけとなった映像を、またやりたいですと事務所にお願いしました。
――以前に比べて、舞台と映像のバランスがとれるようになりましたか?
ソニン 経験が成長させてくれたので、昔に比べればメンタルの余裕はあります。一番大変なのはスケジュール調整です。舞台はすごく早くから決まるけど、映像の仕事は直前じゃないと決まらないので、スケジュールを空ける勇気、断る勇気、自分で踏み込む勇気が求められます。良いもの、やりたいものを選択していく勇気を持つことが、今の自分に合った仕事を引き寄せる秘訣かなと。久しぶりに映像の現場に戻ると「ああ、そうだった。舞台とは全然違うな」と不器用な面に対面しつつも、楽しんでいます。
――では最後に、若い世代の読者に向けて、メッセージをお願いします。
ソニン 年を取るとリスキーになることも増えるし、できることも限られてくるけど、若い頃は恐れる理由がないと思います。失敗という名の学びはあるけど、できなかったのにやらなかったという後悔はいつまでもついてくるから、やりたいと思ったことはやったほうがいいです。周りからいろいろ言われても、あなたの人生はあなたのものでしかないし、何を選択しても間違いも正解もない。私の場合、ニューヨークでの留学もそうですし、チャレンジして大変だったことはたくさんあるけど、経験したことは全て血や肉になったから、やって良かったと思っています。冒険はその人の魅力になって、面白い将来につながっていくから、犯罪を起こさない限りと何をやってもいいと思う。「Be Ambitious」の精神でチャレンジしてください。ちなみに、私の今年の目標は「やりたいこと、やらなきゃいけないことは全部する」です(笑)。
ソニン
1983年3月10日生まれ、高知県出身。2000年に音楽ユニットEE JUMPとしてデビュー、02年にソロ活動を開始。主な出演舞台に、「ミス・サイゴン」(08)、「モーツァルト!」(14)、「ビューティフル」(17)、「FACTORY GIRLS~私が描く物語~」(19)、「17AGAIN」(21)、「キンキーブーツ」(19、21)など。ドラマ出演作は、「となりのチカラ」(22/テレビ朝日系)、「探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り~」(22/読売テレビ・日本テレビ系)、「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(22/日本テレビ系)、「プリズム」、(22/NHK)、「大病院占拠」(日本テレビ系)など多数。
PHOTOGRAPHER:YU TOMONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:ERIKO ISHIDA,STYLIST:TAKASHI YAMAMOTO(style³)