NMB48に入って自分は全然平凡だと思い知った

――芸能界を目指したのは、いつ頃だったんですか?

矢倉 3歳ぐらいから女優さんになりたくて、とりあえず芸能界に入りたいって、ずっと思っていました。ただ入り方が分からなくて、うじうじしていたら、14歳になった時にお母さんから「芸能界に入るんやったら、これが最後のチャンスやで。ほんまにやりたいのなら、この年齢で入っとかんとあかん」と言われて。まずはオーディションを受けてみようということで、『Deview』という雑誌を買って、そこで「NMB48第2期生オーディション」を見つけたんです。ちょっと言い方は悪いですけど腕試しというか、オーディションとはこういうものだってことを知るために一回受けてみようと応募しました。

――NMB48に興味があったんですか?

矢倉 それが存在すら知らなかったんです。私の地元は田舎なので、難波もそんなに行ったことがなくて。どうやらAKB48の姉妹グループらしいと。そんなグループが大阪にできていたんだと初めて知って。それでオーディションで難波に行ったら、もうNMB48劇場も完成していて。

――アイドル自体への興味はいかがでしたか。

矢倉 アイドルのことは斜に構えて見ていて、何ならあまり好きではなかったです。AKB48って紅白歌合戦にも出てるけど、何が人気なの?みたいな。自分がNMB48に入ってから、アイドルってこんなに大変なんだ、こんなに素晴らしい職業なんだっていうことを知ってから、大好きになりました。

――NMB48に入る時も、女優さんになりたいという夢はぶれずに?

矢倉 そうですね。NMB48に入ってからも女優さんになる夢を掲げて、活動してました。

――憧れていた女優さんはいたんですか?

矢倉 女優さんに憧れる前は看護師さんになりたかったんですけど、「ナースのお仕事」というドラマを観たら、今よりも血の表現などがダイレクトで、まだ小さかったから衝撃を受けて、クラクラ貧血気味になっちゃって。私は血が苦手だから看護師さんは無理だと落ち込んでいたら、お母さんとおばあちゃんから、「観月ありささんは本物の看護師ではなくて演じているんだよ」と教えてくれて、「あ、本当だ!」と。ということは女優さんになれば看護師さんもできるんだというところから女優さんを目指すようになりました。なので観月ありささんは私にとって特別な存在です。

――だから幼稚園の頃から積極的にヒロインを演じていたんですね。

矢倉 そうですね。本当にドラマっ子で、外で遊ぶよりもお家でドラマっていうタイプだったので、演じること自体が憧れで、ちっちゃい頃から絶対ヒロイン!みたいな。

――お芝居することに恥じらいはなかったんですか?

矢倉 人見知りで、大人しい子だったんですけど、人前で演じることには全然恥ずかしさがなくて、逆にどんどんやっていきたいという自分でも不思議な感覚でした。

――NMB48のオーディションを受けることは友達に言ったんですか?

矢倉 中学2年生の春休みに受けたんですけど、友達にはダマでした(笑)。もしも合格したら、なんて言われるんやろうって発表までドキドキしてましたね。

――友達にアイドル好きはいたんですか?

矢倉 AKB48がめっちゃ流行っていたので、板野友美さんがソロでデビューされた時も、みんなCDを買って、机の上に置いているような時代でした。私が一番仲良くしていた子もまゆゆさん(渡辺麻友)と前田敦子さんのファンで、よくお話を聞いていたんです。その子の影響もあって、AKB48のことは詳しくなりました。

――それなのにNMB48の存在は知らなかったんですね。

矢倉 私がNMB48に入ってから、めっちゃ「みるきー(渡辺美優紀)に会った?」とか聞かれて。どうやら、みんなは知っていたみたいで、私だけ遅れていたんでしょうね。

――歌うことは好きだったんですか?

矢倉 大好きでした。田舎だったので、遊べる場所がカラオケしかなかったんです。小学生の頃は毎週土曜日、友達4人でカラオケに行って、2人1組で違う部屋に入って、朝の10時から夜の8時まで、喉がカラカラになるぐらい歌っていました。

――2人で10時間歌いっぱなしは凄まじいですね。今もカラオケはよく行くんですか?

矢倉 それがNMB48に入ってから、本当にカラオケは行かなくなりました。片手で数えるくらいしか行ってないと思います。

――オーディションを受ける時、歌に関しては自信がありましたか?

矢倉 めっちゃありました。歌い慣れてるっていう自信がありましたし、小学生の頃から友達や親戚に上手いって褒められていましたからね。ところがNMB48のメンバーになってからは、歌が上手いって一度も言われたことがなくて、そこまで上手くなかったんだと気づいて(笑)。

――自信を打ち砕かれたと(笑)。

矢倉 もっと言うと、オーディションを受けるまでは、ちょっと性格悪いですけど、この地域では私が一番かわいいって思っていたんです。でもNMB48にはかわいい子が当たり前にいて、歌も上手い、ダンスも上手い。私って全然平凡だって思い知りました。