やりたいことはたくさんあるので、ここからまた再発進していく

そしてクライマックスに向けて言葉を紡いだ。
「ありがとうございます。本当に今日を迎えれてよかったという気持ちです。9年やって、ずっとコンプレックスがあって。僕らは小学生の時に事務所に入って、中学生の時に出会い、はじめての初めてのステージはメガウェブ(台場)。今はもう無いんですけど、大きなステージが初めてのステージだったんです。普通に考えたら異常で、恵まれすぎていて。」

「小学校5年生の時にかっこいい音楽家になりたいって思って。僕らが憧れていた人たちって下積みみたいなのが確実にあって、それを一気に飛び越えた状態でやっているという本当に恵まれていて、でもそのことにも気がつかず。でもやっぱりやっていくうちに憧れてたものとなんかちょっと違うのかな、なんて思ったり、違う自分でいることがすごくコンプレックスでした。でも最近ようやくそれでも良かったと心から思えて。見方ひとつで全然景色が違ってて。なりたい自分になれていないなんて言っている自分が嫌だなと思って。」

「それで桜TOURを組みました。思い返してみたらもうほとんど悔しいことみたいな9年だけど、こうやってステージに立てているのは会場に来ている人とか生放送を見てくれている人とか、一人一人のおかげです。誇張とか比喩とかではなく、皆さんに生かされていると思っています。曲が出るたびに元気出ましたとかメッセージをもらうんですけど本当にやってて良かったな思うし、今、こうやってみんなと歌って、このためだけに生きていると言っても過言ではないです。」

「晩春ツアーで言ったんですけど、ここで生きてここで死にたいと思ってて、もう最後の人生の1分1秒までここにいたい。今日は貴重な時間を割いてここに集まってくれて本当にありがとうございます。次が最後の曲なんですけど、最後の最後まで僕らの全部を奥の奥まで届けられればなと思います。」

二人はさまざまな想いを観客一人一人に伝え、ラストナンバーの「お返しの約束」を披露。二人からの感謝の気持ちとファンとの強い絆を歌い上げ本編は終了した。

会場からの割れんばかりの大きな拍手につつまれてメンバーが再びステージへ。アンコールへの感謝を伝え、「次の歌が全部です。全部音で伝えたいと思います。」の言葉とともに「つぼみ」を披露。曲中でピンクと緑の銀テープが舞い散り、メンバーと会場が笑顔の中、本公演はフィナーレを迎えた。最後にロゴがリニューアルされること、10月18日には3rdアルバム「ゆくえ」がリリースされることが発表。

最後に「やりたいことはたくさんあるので、ここからまた再発進していきます。みなさんぜひついてきてください。」と伝え、鳴り止まない拍手の中、ライブは幕を下ろした。

さくらしめじ

2014年結成の田中雅功と髙田彪我によるフォークデュオ。スターダストプロモーション「EBiDAN」所属。2017年3月に初のミニアルバム「さくら〆じ」をリリース。2018年4月に初のフルアルバム「ハルシメジ」をリリースし、7月には日比谷野外大音楽堂で初のワンマンライブを開催。2020年3月には2ndアルバム「改めまして、さくらしめじと申します。」をリリースした。田中は小説の執筆、髙田はNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」にレギュラー出演するなど、音楽活動以外でも活躍中。2023年10月、3rdアルバム「ゆくえ」をリリース予定。

PHOTOGRAPHER:YURI SUZUKI