「仮面ライダーキバ」で、よりお芝居の楽しさを感じることができた

――キャリアについてお伺いします。3歳で子役デビューしたそうですが、どういうきっかけだったんですか。

小越 祖母の友達が勝手に応募したんです。その方にはお会いしたことすらないんですけどね(笑)。送り迎えなんかも大変なので、あまり親は乗り気ではなかったらしいんですけど、こうして今も続けられているので感謝しています。

――仕事と意識したのは幾つぐらいですか。

小越 初めから仕事という感覚はあったと思います。ちっちゃいときから現場に行って、大人に囲まれてっていう環境は普通ではないですし、いつも同行してくれた母親から礼儀などはちゃんとしなさいと言われていたので、お仕事の場なんだなという意識はずっとありました。

――大人に囲まれること自体は子供の頃から苦じゃなかったんですか?

小越 苦じゃなかったです。上の方と一緒にいるほうが落ち着くというか。

――あまり現場で騒がなかったんですか?

小越 現場では静かにしてました。同じ年ぐらいの子役たちがキャッキャしているのを見て、「あの子たちは怒られるだろうな」と思っていましたし、実際に怒られていました。そういう経験があったから、ちょっと人見知りになって、空気を読み過ぎる性格になったのかなとも思います。

――初対面だと構えちゃうということでしょうか?

小越 最近はそうでもないですけど、構えちゃいますね。当時は共演者の方々が自分より年上ばかりで、その中で、「こういう発言したらどう思うんだろう」って考え過ぎてしまって。会話に入りたいんだけど、どうしようどうしようって思っている間に、その会話は終わっちゃってしゃべれないみたいな。

――学校でも静かなタイプだったんですか?

小越 中学生までは友達と一緒に騒ぐタイプでした。ただ高校生になって、芸能科のある学校に通うようになってから落ち着きましたね。それまで周りに芸能の仕事をしている子はいなかったんですけど、高校では同じ仕事をしている子ばかりで。同じ年の子たちと、仕事の話もするようになったのが大きかったかもしれません。

――芸能科のある学校を選択したということは、その時点で将来も俳優でやっていく覚悟はできていたということでしょうか。

小越 その前から、その心構えはできていたように思います。中学生になるタイミングで、この先も仕事を続けるか、それとも辞めるのか、自分で決めなさいと親に言われたんです。その時点で10年ぐらい続けていたので、そこで辞めたくないという気持が強くて。その思いは3年経っても変わらなかったので、無理言って芸能科のある高校に行かせてもらったんです。それに、他の仕事に就く自分を想像できなかったんですよね。

――ターニングポイントになった作品は何でしょうか?

小越 「仮面ライダーキバ」です。3歳から仕事を始めて、数えきれないほどオーディションを受けて、落ちまくって。たまに受かることはあったけど、いわゆる天才子役ではなかったので、ずっと仕事があった訳ではありませんでした。それが「仮面ライダーキバ」で1年間に渡って作品に携われたことで、年上の共演者の方ともいろいろお話をしましたし、よりお芝居の楽しさを感じることができました。