役者陣の伝えたいことがストレートに伝わるドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』

――お二人が出演するドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』が7月15日にスタートしましたが、初回放送を観た印象はいかがでしたか。

萩原護(以下、萩原) 現場で感じていた緊張感を、そのまま切り取って、映像になっていたという印象です。

福崎那由他(以下、福崎) 撮影中から、このドラマはどのように見えるだろうと思うことが度々あったんですが、一話を観て、伝えたいことがストレートに伝わっているなと感じました。

――一話のクライマックスは、芦田愛菜さん演じる鵜久森が、担任教師の九条とクラスメイト全員の前で心の中にしまい込んでいたものを長セリフで吐露する感動的なシーンでした。

福崎 ドラマなので、何回も同じお芝居をして、違う角度から撮るんですが、芦田さんは全く熱量が落ちることなく、一つひとつの芝居に全力で挑まれているのがひしひしと伝わってきました。

――あの場にいるだけで凄まじい緊張感だったんじゃないですか。

萩原 そうなんですよ!

福崎 あのシーンは、クラス全体での撮影が始まって日が浅い時期に撮ったこともあって緊張感が充満していました。

――萩原さんは将来、宇宙科学に関わる仕事をするのが夢の工学研究会と天文学部に所属する日暮有河。福崎さんは同じく工学研究会に所属する機械オタクで、コミュニケーションが苦手な眉村紘一を演じています。どんな役作りを意識しましたか。

萩原 オーディションの時点で、僕たち自身がどういう人物なのかを見た上で役を設定したと思うんです。だから日暮は僕自身のパーソナルに近い役という印象を持ちました。それを踏まえて、どう演じていこうか考えたときに、日暮の人生を埋めていくというよりは、教室の中で日暮がどういう立ち位置なのかを重点的に考えて役作りをしました。

福崎 眉村は日暮と一緒にいることが多いので似た者同士ではあるんですが、もちろん違う人間。だから、どういうふうに二人を差別化して見せるかを考えました。どちらかというと眉村のほうが、フラストレーションが溜まっていて、それに日暮がついてきてくれているんですよね。

萩原 日暮はフラストレーションを自分の中で消化できるタイプですからね。

――7月29日放送の三話は眉村と日暮が重要な役割を果たす回でした。どういう意識で本番に臨みましたか。

福崎 最初に三話の脚本を読んだときはすごいプレッシャーでした。工学研究会というマイノリティな場所で、眉村は自分の好きなことに没頭する力はあるけど、コミュニケーションは苦手。でも九条先生に感化されて、工学研究会の部室を乗っ取った問題児たちに初めて反抗する。ただ分かりやすく反撃するのとは違うので、演じ方に悩みました。プロデューサーの福井雄太さんが「現実で生きている誰かを救うと思って芝居をしてほしい」と仰っていたので、その言葉を胸に秘めて演じました。

萩原 二人のいろんな思いが混ざっての行動なので、どんな気持ちなのかを深く考えました。ただ、そこに至るまで日暮と眉村の関係性を積み重ねていたので、自然と演じることができました。

――お二人は休憩中も一緒に過ごすことが多いんですか?

福崎 そうですね。控室などでも、お芝居で関わる人同士で一緒にいることが多いので、本番でも関係性が作りやすいところはあります。

――自分の高校時代を振り返って、眉村と日暮の心情を理解できる部分はありますか。

福崎 同じような出来事に遭遇した訳ではありませんが、自分たちの唯一の居場所を侵害されたときの気持ち、直接相手には言えないけど、ずっと心の中で嫌だなと思っている葛藤みたいなものは理解できました。

萩原 思っていても発言しづらい空気感は、僕にも身に覚えがあることですし、そういう意味ではすごく共感するところはあります。

――九条を演じる松岡茉優さんの印象はいかがですか。

福崎 三話が特にそうでしたが、助けていただいているなと感じます。もちろん先生役として、日暮と眉村を諭すという役割ではあるんですけど、僕たちのために提案をしてくださるシーンもあって、お芝居的な意味でも助けてもらっています。

萩原 九条先生は怖いところもありますけど、普段の松岡さんはニュートラルで柔和な方です。

福崎 みんなを常に和らげてくれるというか、役と松岡さんご本人の印象が全く違うんですよね。直前にパチッとスイッチを切り替えて本番に臨むので、その切り替えは見習いたいなと思います。