コロナ禍で集まったから、観客とのコミュニケーションに飢えていた
──テニミュ4thシーズンが始まってから、気づいたら3年以上が経ちました。いよいよ卒業が近づいていますが、この3年間で演技面やメンバー間の人間関係にも変化が生じたのではないですか?
富本惣昭(以下、富本) そうですね。たとえば今日はここにいないんですけど、主人公・越前リョーマ役を演じている今牧輝琉くん。彼なんかは最初のうち、ふざけながら「俺座長ぞ!」とか言っていまして。だけど周りは「はいはい、可愛いね」くらいの感じだったんですよ。でも、公演を重ねていくうちにだんだん座長らしくなっていったんです。人間的な器の大きさが増したし、役作りに対する向き合い方も明らかに変わりました。さらに丁寧にリョーマを作るようになり、誰よりも稽古動画や本番動画を時間かけてチェックしていたんです。公演を重ねるごとにリョーマが進化しているなと僕らもヒシヒシと感じていました。
大友 海(以下、大友) みんなそれぞれ変わったとは思うんですよ。昔のことを思い返してみると、「この人はこういう性格」「仲間の中で立ち位置はこう」といったイメージがまだ掴めていなかった気がするんです。今となってはそれぞれのキャラや居場所もはっきり分かるし、そこが信頼関係に繋がっているのかなと。
山田健登(以下、山田) うん、それは分かるな。メンバーそれぞれに“担当”があるんです。言葉にしなくても伝わる各自の立ち位置が。
大友 キャラがはっきりしてきたというかね。最初の頃なんて、塩田一期がこんなにしゃべる男だとはまったく想像もできなかった(笑)。
塩田 そうね。そこまで素が出せなかったという面はあるかもしれない。
山田 僕が感じるのは、それぞれが“役に寄っていった”ということ。当たり前だけど、最初は普段の自分と演じる役柄がかけ離れていたわけですよ。だけど時間をかけて演じているうちに、その距離が縮まっていった印象がありますね。
原 貴和(以下、原) 青学(せいがく)の全員が変化したのは間違いないと思う。みんなそれぞれ色があって、今は全体で虹色みたいな印象。このメンバーじゃないと、今の雰囲気は出せないんです。歴代の方々にも「僕たちはここまで仲いいですよ!」って胸を張って自慢したいです。
持田 たしかに。歴代「仲いい選手権」をやったとしても、負ける気はしないよね。
原 当たり前みたいに感じているけど、これって冷静に考えればすごいことなんですよ。もし青学(せいがく)メンバーが一人でもオーディションを受けられなかったら、僕たちのこの感じは出せていなかったはずですから。だから、これは本当に運命としか言いようがない。このメンバーでよかったなと改めて思いますね。
塩田 周りを見て、みんな大人になったなと感じることはあるかな。
山田 顔つきも演じているうちに自然と凛々しくなったりしてね。
塩田 あと個人的に大きかったのは、コロナが一段落して客席の声出しが解禁になったこと。各選手の名前をお客様が叫んでくれるシーンでは、マジで鳥肌が立ちましたね。
持田 あれはすごかった!コールとかもできなかったからね。
塩田 客席に降りて、直接、お客様に感謝の気持ちを伝えられたことも本当にうれしくて……。客席に降りる演出は、もしコロナがなかったら当たり前に続いていたはずなんです。だけど、僕たちはコロナ禍でスタートしたメンバーですから。ある意味、今までの歴代の方たち以上にお客様とコミュニケーションを取ることの感動を得られている気がしますね。感謝の気持ちも倍増したといいますか。