夢を追いかけているときのワクワクやドキドキを思い出した

――放映中の「ウイングマン」が初の連続ドラマレギュラー出演になりますが、決まったときのお気持ちからお聞かせください。

上原あまね(以下、上原) オーディションを経て決まったのですが、学校帰りで電車に乗っているときに、マネージャーさんから「今から電話できる?」と連絡があって。なんだろうと思って、急いで電車を飛び降りてホームの端っこで電話をしたんです。そこで「出演が決まったよ」と聞いたときは、ずっとドラマにレギュラー出演するのが夢だったので本当にうれしくて。手が震えて、心臓もバクバクして、ホームの端っこで1人泣いていました。

――「ウイングマン」は昭和58~60年に『週刊少年ジャンプ』に連載された作品ですが、初めて原作と台本を読んだときは、どう思いましたか。

上原 個性豊かで魅力的なキャラクターたちばかりで、すごく面白かったです。主人公の広野健太くんを見ていると、夢を追いかけているときのワクワクやドキドキを思い出して、何かに夢中になっているときの懐かしさみたいなものも感じました。コミックを読んだときは、どんな映像になるのか想像がつかなかったんですが、台本の設定は令和の高校生として描かれていたので、自分ごととして落とし込んで考えられました。

――上原さんが演じる森本桃子は、特撮ヒーローオタクという役柄ですが、特撮ドラマを観たことはありましたか。

上原 「ウイングマン」の出演が決まるまでは観たことがなかったです。桃子を演じるにあたって、特撮ヒーローについて調べたり、ドラマを観たりして。メモを取りながら勉強して撮影に挑みました。

――桃子が初登場するのは第4話で、いきなり『宇宙刑事ギャバン』や『超光戦士シャンゼリオン』などへの愛を炸裂させます。

上原 自分で何を言っているのか理解できていないと、説得力がないと思ったので、桃子のセリフに出て来る作品は事前に観ました。なので「このヒーローの、この技は」みたいなことを分かった上で演じていました。

――セリフに出て来るだけでも膨大な情報量ですよね。

上原 スタッフの皆さんが詳しいので、撮影までに視聴が追いつかなかったところを質問すると、分かりやすく教えてくださいました。桃子が所属するアクション演劇部の部室シーンがたくさんあるんですが、ヒーローグッズが端から端までたくさん並んでいるんです。そこからもスタッフさんたちの愛とこだわりが感じられて、それを撮影の合間に観察するのも楽しかったです。

――桃子というキャラクターに、どんな印象を抱きましたか。

上原 特撮ヒーローをこよなく愛していて、すごくピュアで、まっすぐな明るい女の子です。原作では健太くんたちと同級生ですが、ドラマでは後輩として登場していて、後輩なのにアクション演劇部の先輩たちを引っ張っていくほど快闊。特撮ヒーローと同じぐらい先輩たちのことが大好きなんだろうなと演じながら感じていました。

――特撮ドラマを観る以外で、どんな事前準備をしましたか。

上原 早口でマシンガントークをするシーンが出てくるので、滑舌を良くするために、ひたすらブツブツとセリフを唱えていました。あと映画やドラマなどでオタク役を演じている俳優さんのお芝居を参考に、自分の頭の中で桃子のイメージを膨らませました。

――専門用語も多いから余計に早口は大変ですね。

上原 人生で初めて口にする聞いたこともない言葉が多かったので、とにかく繰り返して口に出していたら、だんだん口が慣れていきました。

――坂本浩一監督からこういうふうに桃子を演じてほしいというリクエストはありましたか。

上原 撮影前に「等身大の高校生としてナチュラルに桃子を演じてほしい」と仰っていたので、原作の魅力を残しつつ、桃子が令和の高校生として生きていたらどんな感じかと考えて。坂本監督と相談しながら、令和ドラマ版の桃子像を一緒に作り上げていきました。お芝居の面で言うと、「スイッチが入ったときの桃子は空気を読まずに突っ走るので、身振り手振りで明るくかわいく演じてほしい」と言っていただきました。独走していく桃子を、皆さん微笑ましく見てくださっていたので、私も思いきり出し切ることができたかなと思っています。早口のところも、「頑張れ!」と応援してくれていたので、噛むことなくできました(笑)。

――坂本監督も特撮ドラマに造詣が深い方ですよね。

上原 桃子がヒーローポーズをするシーンが幾つかあるんですが、坂本監督はアクション監督も兼任されているので、重心、足の開き、体重の移動など、細かく指導してくださいました。

――CGのシーンは実際の映像がある訳ではないので、戸惑いもあったのではないでしょうか。

上原 何もない場所に、何かがあることを想像する力が試されました。視線に関しては助監督さんがライトで位置を指示してくれますし、セリフのタイミングも音を鳴らしてくれるのですが、それでも難しくて。私の想像力を総動員して頑張りました(笑)。