ダンスに挑戦した「アイオライト」のMVはメイキング映像にも注目

――Blu-ray『Inori Minase MUSIC CLIP BOX 2』発売おめでとうございます。アルバムやライブBlu-rayのリリースとはまた違った感覚なのかなと思いますが、今はどのような心境ですか?

水瀬いのり(以下、水瀬) 第1弾をリリースした時に、特に“Part1”や“Vol.1”とは言わなかったので、第2弾を出せるとは思ってもいませんでした。MUSIC VIDEOを作っている過程では、それがいつかクリップ集に入るということはまったく考えていなくて、本当に1曲ごとにMV撮影に向き合ってきたので、第2弾を作るという話になった時に、またクリップ集を出せるという感覚が戻ってきてとても嬉しく思いました。アルバムはもちろん新曲が含まれたりするんですけど、クリップ集は私のこれまでの歴史を皆さんに楽しんでもらうベストアルバムの映像バージョンと捉えています。それぞれの年代ごとの私の姿や楽曲ごとに異なるファッションなどを一気に楽しめるワクワクするようなミュージッククリップ集になっていると思っています。

――ジャケットはどのようなイメージで作られたのですか?

水瀬 デザイナーさんからイラストでコンセプト案を3つくらいいただいたんですけど、その中のひとつがこの“配達員いのり”というテーマでした。タイトルの『MUSIC CLIP BOX』のBOXというところに注目して、それぞれの映像作品を梱包してお届けするというコンセプトがとても可愛いなと思って、この案を選ばせていただいたんですけど、実はよく見ていただくと、ひとつひとつの箱に収録楽曲をモチーフにしたステッカーが貼ってあるんです。私が思いつきで、箱に“われもの注意”みたいなステッカーを貼ってもらえませんか?とお願いしたところ、想像していた以上のハイクオリティな仕上がりになりました。例えば、「フラーグム」は“いのりまちから届いた苺”ということになっていたり、「ココロソマリ」のBOXにはハートのエンブレムが付いていたり、「アイオライト」はグローブを着けて撮影したので、紫色のグローブを模したものになっていたり…と、この収録楽曲でなければ成立しない遊び心満載のジャケットになっています。メインのジャケットだけではなく、ブックレットの中にも色々なカットが収められているので是非色々見つけてほしいです。

――流石にそこまでは気付きませんでした。ファンの皆さんには是非細かくチェックしてほしいですね。ちなみに、日々の活動の中で過去のMVを振り返るきっかけやタイミングはあるものですか?

水瀬 私が担当しているラジオ番組宛に、ファンの方が「このMVが何万回再生を突破しましたよ」とか、「MVの公開から何年経ちましたね」とかメールを送って教えてくれるんです。それが振り返るきっかけになっていて、ありがたいなと思います。その中で、「アイオライト」が今でもたくさん再生されているということを教えてもらったんですけど、自分にとって挑戦的な映像作品だったので、多くの方に見ていただけて本当に良かったなと思っています。

――自分の昔の映像を見るというのはどんな感覚ですか?

水瀬 少しぎこちなかったりするので、今ならもっと上手にできるかもしれないなという気持ちにもなるんですけど、当時はそのぎこちなさも魅力のひとつだったと思うので、逆に作り過ぎていない自分の姿が映像として残っているというのも、振り返る上での大事なピースだなと思っています。最近はそんな昔の自分の姿を愛おしいと思って見られるようになりました。毎日この顔なので(笑)、自分ではなかなか気付かないんですけど、改めて映像で見ると少し前なのに幼く見えたりもして、自分の変化に気付けて面白いなと思います。

――先ほど、「アイオライト」の話が出ましたが、やはり今回の10曲の中では、特にチャレンジングなMVとして印象に残っていますか?

水瀬 そうですね。この曲ではダンスに挑戦したんですけど、本当に難しくて…。1つ1つのパートを覚えるごとに、普段使っていない脳の部分を使った感覚でした。しかも、ダンサーの皆さんとシンクロするダンスに挑戦したので、映像を見て覚えて、何度も練習して臨んだんですけど、本番で映像を見ずにカメラの前で踊るとなったら、全然思い出せなくなってしまって大変でした。

――そんな撮影の裏側がメイキング映像で見られるのもファンの皆さんにとっては嬉しいですよね?

水瀬 “無”な感じの顔をして、いっぱいいっぱいになっている私の姿が映っていると思います(笑)。休憩中もメイク中もずっと映像を見て確認して、カメラの前に立って何度も繰り返して撮影したので、そんな裏側も収められていると思います。この曲はレコーディングの時点ではライブでどのように歌うかあまり想像できていなかったんですけど、ダンスで表現するミュージックビデオを撮影したことで、ライブでの表現が見えてきたというか、曲の解釈が深まったなとも感じているので、映像に力をもらった曲だなと思っています。