自分たちのファンダムに対して他のカルチャーのリスペクトの持ち方を伝えたかった
――9月27・28日に開催した「BMSG FES’25」について、まず全体の感想をお聞かせください。
Novel Core 個人的な話で言うと、「左膝がもってよかった」というのが正直なところです(笑)。ゲネプロとリハーサル、本番2日間で計4日間お台場の会場にいたんですが、本番前日のゲネプロの終わりぐらいから左膝の様子がおかしくて、ハマりが悪いなと思いながら屈伸していたら、めちゃくちゃ痛くなってきちゃって。フェスの現場にはトップレベルのトレーナーさんや鍼の治療師さんが帯同してくださったので、皆さんの力をお借りして、矯正をかけてもらったり、テーピングをしたりして、本番は無理なく乗り切ることができました。

――そんなアクシデントがあったんですね。
Novel Core そのおかげでというのもなんですが、ライブに挑む姿勢や、自分に必要なスキルを改めて感じました。もっと体づくりが必要だという課題も見つかったし、一時的に体の自由が効く効かないは置いといて、フィジカルの他の部分でそれを補って、3万人以上いるお客さんを完全にロックするというのを強く意識しながらライブができたのは大きかったです。
――ここ数年、様々なフェスに出演していますが、改めてBMSGのアーティストだけが集まる空間は、どう感じましたか。
Novel Core 両軸あると思っていて、まず純粋にめちゃくちゃうれしいなと。自分たちを応援してくれている、興味を持っている人たちだけで二日間会場がパンパンに埋まっているのは本当にありがたいことです。日頃の感謝を伝えたいし、倍率が高くて落選した人、地方で来れない人、野外というハードルで来づらかった人のことも想像しながらライブをやらなきゃ、それを噛みしめながら歌わなきゃという気持ちがありました。
――もう一つの軸は何でしょうか。
Novel Core 普段、外部のフェスでいろんなレーベルや事務所のアーティストと一緒にやらせていただく中で、自分のことを知ってくれている人たち、好きな人たちだけで会場が埋まっているBMSG FESだからこそ、強く意識しなきゃいけないことがいっぱいあるなと。せっかくBMSGのアーティストが一堂に会する日が一年に1回あるなら、「ホームだからいいじゃん」という挑み方ではダメだなと自分では感じています。BMSGはカルチャーを作る会社だと日髙さんはずっと言っているし、僕もその言葉に乗っかってこの船に乗りました。カルチャーを作ると言い切るなら、自分たちのファンダムに対して他のカルチャーのリスペクトの持ち方を伝えたい。今年で言えば、フェスがどういうものなのかを会場にいる人たちに分かってほしかったんです。最近、地蔵や場所取りなどのマナーや、ダイブ・モッシュが起きる時に生まれる分断など、フェスを取り巻く問題が取り沙汰されることが増えています。僕自身、いろんなカルチャーが混ざっている人間として、両方のカルチャーの良い側面と悪い側面をちゃんと話して、「ここはユナイトしないと、お互いに譲り合わないと良くならないじゃん」という話を大きな場でする責任を感じています。それが少しでも伝わっていたらうれしいです。
――OUTERも含めて、会場の様子はいかがでしたか。
Novel Core 各ファンダムによっていろいろあったと思います。OUTERはもちろん、それぞれのファンダムが、それぞれの育ち方でいろんなものを吸収して大きくなっている。OUTERが周りの人と一緒に楽しんでいる絵も見えたし、逆に他のファンダムがOUTERを引っ張っていってくれているところも見えました。お互いの足りないところを補い合い、違うところを認め合って称え合うのがフェスの醍醐味。それが僕たちの根本的なテーマで、会場のあちこちでそれを目にできたのはうれしかったです。
乗り方一つにしても、フェスによって違うし、地域によっても違うし、それは全部正解だと思っています。激しい曲だから頭を振らなきゃいけないとか、そんなことは全然ない。いろんな人が集まっているからこそ、乗り方もバラバラ。それこそが個人的に一番見たい景色です。これから5年、10年続けていく中で、BMSG FESの混じり合いが大きくなっていくためにも、ソロアーティストの自分たちが、もっと外のシーンを開拓していって、自分たちのファンダムにいろんな景色を見せて、逆に見せてもらうことも大事だと思います。

――外に出ていく際に、ソロならではの身軽さという利点がありますよね。
Novel Core 本当にそうです。フィーチャリングも、絶対的にグループアーティストよりもやりやすい。特に自分は、いろんなジャンルの方とのフィーチャリングを経験して、まだ世には出ていないですけど、海外アーティストの方々やジャンル違いの人たちとも何曲か作っています。そういうことも、もっと力を入れてやっていきたいし、特にヒップホップやロックと距離の近いダンスミュージック、レゲエカルチャーなどと混ざり合いは意識してやっていきたいです。
――日髙さんも早い段階から海外の市場を意識されていますよね。
Novel Core 日髙さんはグローバルであることの必要性や、まずはアジアの中にBMSGの理想をちゃんと作っていくというのは当初から言っていました。ソロにしてもグループにしてもBMSGの全アーティストが、世界に向けて発信することを意識しています。
