女性は悔しい思いや怒りを原動力にできる

――今回、仲さんが主演とプロデュースを務める舞台「女郎蜘蛛」の企画はどのように立ち上がったのでしょうか。

仲 万美(以下、仲) 4年前に第1回のプロデュース公演を行ったんですが、ずっとまたやりたいと思ってアイデアを練っていたんです。ただ、自分のやりたいことを追い求めていたら4年も経ってしまいました。ようやく企画が固まって、脚本と演出を誰にお願いするか考えた時に、スタッフさんから『中屋敷さんはどう?』とご提案いただいて。もともと接点はなかったんですが、自分が一方的に知っていてずっと憧れていた方でした。

――中屋敷さんの反応はいかがでしたか。

仲 お忙しい方なのに「やりたいです」とご快諾いただいて、「本当ですか!?」と。それで「強い女性を演じたい」「心身ともにボロボロな女性をやりたい」という核の部分だけをお伝えしたんです。それで中屋敷さんが一度持ち帰って、後日打ち合わせをしたときに「毒婦はいかがでしょうか?」と提案してくださいました。実在の人物を題材にするというのも完全に中屋敷さんが持ってきてくださったものです。

――8人の毒婦が登場しますが、知っている女性はいましたか。

仲 雷お新さんは刺青がすごい人物として知っていました。夜嵐お絹と、私が演じる高橋お伝も名前を聞いたことがあるくらいには知っていました。

――実在する人物を演じる上で稽古まで、どのような準備を進めましたか。

仲 自分を含めて、みんな何も分からない状態からのスタートでした。2.5次元作品に出演されているキャストが多いので、普段の舞台は原作というお手本があるんですが、今回は実在する人物なので、まずはその人がどんな人間だったのかを各々が掘り下げていこうと。毒婦というものを知ろうと思って、たくさんの本を読んだんですが、資料によって全然違うことが書いてあるんです。

――その本によって脚色もされていますからね。

仲 どれが本当のことなのか分からない葛藤はありましたが、それが逆に面白いなと思って。毒婦は今の若い世代に馴染みのない言葉ですし、中屋敷さんが描く毒婦はどんなものになるんだろうと楽しみでした。

――キャスティングはどのように決めていったのでしょうか。

仲 まずは「歌唱力が高い人」を第一に考えました。皆さん本当に歌がお上手ですが、歌えるだけではなく、伝える力がある人を重視しました。

――毒婦を演じるキャストで、もともと面識があった方はいらっしゃいましたか。

仲 面識があったのは岩佐美咲さんと西葉瑞希さんの二人で、以前同じ舞台に出演した時、二人の歌声があまりにも素敵で。自分の舞台をやるなら、この二人には絶対に出演してほしいと思っていました。その数ヶ月後に今回の舞台が決まったので、すぐにオファーしました。蘭舞ゆうさんは昔から存じ上げていて、ビジュアル的にも絶対合うと思いました。太田夢莉さんは2.5次元作品の舞台を観たことがあって、一筋縄ではいかないような役が多くて、この子がいたら面白いなと。安川摩吏紗さんはミュージカル「美少女戦士セーラームーン-かぐや姫の恋人」で活躍されているのを観ていて、伝える力が強いと感じていました。なかねかなさんはTikTokやInstagramですごくバズっていて。キャスティングの打ち合わせでスタッフさんから名前が出た時、「聞いたことある!」と思って検索したら、めちゃくちゃ見たことがあったんです。他のメンバーとは、また異なる視点を持つ彼女だからこそ、そのパンチがあったら面白いよねという話になって、オファーさせていただきました。永田紗茅さんは、中屋敷さんが代表を務める劇団「柿喰う客」に所属する俳優さん。狂気的な役が似合う人が欲しいよねという話になった時に、中屋敷さんからご推薦をいただいて決まりました。

――キャスト全員女性というのは最初から決めていたんですか。

仲 はい。男性がいてもいいとは思ったんですが、自分が女性だからというのもありますし、女性が集まった時のパワーは強いものがあると思っていて。そこに男性がいると、リズムが変わってしまうなと。女性は負けず嫌いで、見返してやるとか悔しい思いや怒りを原動力にできると思うんです。それが今回の舞台にも合うなと思ったんですよね。

――メインビジュアルもかなり攻撃的ですよね。

仲 攻撃力しかない舞台になっています(笑)。