海外の大学に進学してからアマダクションを起業するまでの経緯 なぜエンタメに着目したのか

――稲留さんと鶴見さん。お二人の関係を教えてください。

稲留慶司(以下、稲留) 鶴見さんはマーケターでありクリエイターです。事業全体へのアドバイスやクリエイティブディレクションを依頼しています。ご一緒するきっかけは、日本のガールズカルチャーを海外に発信するWebメディア「Tokyo Girls’ Update」を運営されていて、弊社主催の女子大生アイドル日本一決定戦「UNIDOL」の審査員をお願いしたことでした。

株式会社AmaductioN 代表取締役 稲留慶司

鶴見至善(以下、鶴見) 僕は元々、博報堂でクリエイティブに関わり、社内ベンチャー制度で株式会社オールブルーを立ち上げて、その時期に稲留さんと出会いました。先のWebメディアで描いていた成功パターンを稲留さんがつくっていた印象があって、将来の構想も聞いていたし、独立するのも間近で見ていました。僕は2018年8月に独立しましたが、先に起業した稲留さんから学ぶことが多く、お互いがメンターのような存在です。

稲留 鶴見さんとは一緒に事業を手がけていても意見が割れることもないですし、補い合う関係でもあります。僕からしたら、お兄ちゃんのようでありがたいです。ビジネスを通して「人が集まる仕組み」や「事業同士を繋げる仕組み」を作るのが好きで、いつもそういったお話で盛り上がっています。

鶴見 僕らの経験してきたことを伝えることは、AmaductioNにジョインしたいと考える人の役にも立つと思っていて。僕もこの先、エントリーを考える方のメンターとしてお話してみたい気持ちもあります。

稲留 鶴見さんはクリエイティブの視点からビジネスを考えるプロフェッショナルです。事業の構想段階で、見せ方などの意見をいただく機会も多いです。

――稲留さんのキャリアを学生時代から振り返ってもらえますか。

稲留 高校卒業後の進路を考える時に「他の人とは違うことがしたい」と思っていました。高校は地元の進学校だったので、有名国立大学への進学が多かったですが、北京五輪や上海万博を控えていたこともあり、上海の大学へ進学しました。

――高校卒業後すぐに日本を飛び出されたんですね。その後のキャリアも教えてもらえますか。

稲留 ファーストキャリアは総合広告代理店です。レアな人材になりたいと思い、総合広告代理店に入社し四川省・成都へ支社を立ち上げ予定であったのですが、立ち消えになったので退職し帰国しました。

――帰国後、どのような会社に転職されたのでしょうか。

稲留 日本に戻ってメディア系のベンチャー企業に転職し、海外支社の代表や事業デベロップメントとして、エンタメ事業、海外向け人材派遣事業の立ち上げやメディアやマーケティングソリューションの販売をおこなっていました。そのひとつが「UNIDOL」です。関わるうちに「日本のエンタメ事業は面白そう」だと感じるようになりました。関わるうちに「日本でエンタメ事業を展開すれば唯一性を確立できるのでは」と考えるようになりました。当時は自分と同年代の優秀な起業家はIT分野に進む人が多かったので、いち早くエンタメ分野でビジネスを確立すれば高い参入障壁のなかで唯一性の高い企業をつくれると確信し、そのままエンタメ事業を買い取る形で独立しました。

鶴見 稲留さんのおっしゃるとおり、エンタメ事業は参入障壁が高い。なにかのきっかけで参入できたとしても、簡単に成功できる業界でもない。ただ、稲留さんのようにイベントをきっかけに、創業時点から上手くコネクションをつくれれば、ビジネスを展開しやすい部分もある。業界的にコンテンツが生まれては消えるサイクルが早いので、AmaductioNが展開するイベントコンテンツのように、競合が登場しづらい市場でポジションを確立し、ブランドを発信していければ優位に立てる。それが今のAmaductioNであり、強みだと思います。

稲留 ありがとうございます。創業当初からを振り返ると、少しずつ事業の中身は変化してきています。当初は独立前の会社で経験したマーケティングソリューションの提供、
若年層向けのコミュニティ型イベントでスタートしました。