モデル活動を始めてから表に出る立場として何ができるのだろうと考えた
――キャリアについてお伺いします。もともと家族が『MEN’S NON-NO』のモデルオーディションに応募してグランプリを受賞、同誌の専属モデルになりますが、モデル活動に興味はあったんですか。
栁 モデル業界は全く分からない世界でした。ただ、いろんなことに興味があったんですよね。映画もファッションも好きでしたし、エンタメ的なものは昔から好きでした。
――音楽がテーマの映画も好きなんですよね。
栁 好きですね。そもそも、かっこいい映画には、かっこいい音楽が付きものじゃないですか。そういう作品ってファッションもかっこいいし。映画は総合芸術だから、全部かっこよくないと!みたいな感覚はありますね。だから、自分が出演する作品もそうであってほしいという気持ちもあります。
――専属モデルに決まった時点で、俳優になりたい気持ちはあったんですか?
栁 最初は将来こういう人になりたいという目標は明確になかったので、モデル活動を始めてから、表に出る立場として何ができるんだろうと考えるようになりました。
――モデルとしてのこだわりはありましたか。
栁 キメキメのモデルみたいなのが好きじゃなくて、他とは違いを出したいと思っていたから、セルフプロデュース的に髪を伸ばしてバンダナを巻くとか、周りの友達がやっていないようなことをやって。そのヒントは映画や音楽からくるものが多かったし、70年代の文化とか、90年代の音楽やファッションなどからヒントを得ながら生活することによって、おのずと周りとは違いが出ていたように思います。
――特にヒントになった映画は何でしょうか。
栁 いっぱいありますけど、パッと思い浮かぶのは『あの頃ペニー・レインと』(2000)ですね。この映画の舞台になっている70年代のロックも好きだし、曲もかっこいいし、服装もいい感じだし、出てくる男もかっこいいし、出てくる女の子もかわいいし、みたいな。この映画の世界観を丸ごと真似したくなります。
――日本映画はどうですか。
栁 日本映画も大好きですよ。特に北野武さんの映画が大好きで、初めて買うスーツは北野映画に欠かせないヨウジヤマモトのものと絶対に決めていました(笑)。武さんが昔よく着ていたクージーのニットも真似したいなと思っていました。
――モデル活動が俳優活動に活きている部分はありますか。
栁 似て非なるものではあるんですけど、どこかで活きていると思います。たとえば僕が他のモデルと違うところを見せたいと思ったのは、“動”と“静”の両方をファッションで表現したくて、その感覚を理解して使ってくれる方が多かったんですよね。写真ですけど、芝居のように一連の動きの中で“動”を表現することで、その仕草がいいって言ってくれる方も多かったです。それはもう自分のアイディアでやらないといけないものですから。映像でも、“動”ではなく“静”を表現することがあって。決して体を動かさない訳じゃなくて、自分の心の中に決めたものをどしっと持っていたほうが、映像ってより引き込まれる気がするんです。
――確かに北野武さんの映画は“静”と“動”が効果的に使われていますよね。
栁 ですよね。小津安二郎監督の映画もそうじゃないですか。一見すると北野映画とは違うテイストだけど、どこかで繋がっているところはあるんですよね。